
自動化で本当に困るのは、動かないことではありません。止まらないことです。
深夜にメールが届く。もう契約した相手に、まだ検討中の前提の案内が送られる。年末年始に、自動の追客が飛ぶ。
どれも、設定で防げます。そして、どれも作ったあとに気づきます。
この記事では、ワークフローを「止める」ための設定を扱います。
先に結論:止め方は4つ
- 実行する時間帯を指定する。深夜の送信を防げます
- 特定の日付に実行しない。年末年始やお盆に使います
- 登録解除のトリガーを設定する。条件を満たしたら外れます
- 除外リストを使う。最初から入れない相手を決めます
なお、ワークフローの機能そのものがProfessional以上です。無料版とStarterにはありません。
まず、対象プランを確認してください
この記事の内容は、プランの条件がついています。先に書いておきます。
Professional以上です
ワークフローの設定を扱う公式ヘルプの対象プランには、各製品のProfessionalとEnterpriseが並んでいます。
無料版とStarterは含まれていません。つまり、この記事の設定は上位プランの話です。
無料版で自動化したい場合
以前の記事で書いたとおり、フォームの自動返信は無料でも使えます。問い合わせへの1通なら、そちらで足ります。
この媒体の立場は一貫しています。手作業が回らなくなってから、有料を検討してください。
それでも、先に知っておく価値があります
有料に切り替えた最初の月に、この設定を知らないまま自動化を組むと事故が起きます。
設計の考え方は、無料のうちに理解しておいてください。知っていれば、切り替えた日から安全に組めます。
自動化で起きる事故は「止まらない」こと
実務で聞く失敗は、ほとんどが同じ形です。
深夜に届く
作業した時刻に合わせて動く設定のまま公開すると、相手の受信箱に午前3時のメールが並びます。
内容が良くても、送信時刻で印象が決まります。日本のビジネスでは、とくにそうです。
契約済みの相手に追客が届く
受注したのに、まだ検討中の前提のメールが送られ続ける。これは、登録解除の設定をしていないから起きます。
相手からすると、話が通じていない会社に見えます。信頼を落とす形の失敗です。
長期休暇に飛ぶ
年末年始、お盆、大型連休。自動化は休みません。
返信できない期間に問い合わせを促すメールを送る。受け取った側は、返事が来ないと感じます。
実行する時間帯を指定できます
1つ目の止め方です。
公式に記載されている設定
公式には、「アカウントのタイムゾーンに基づいて、レコードでワークフローのアクションを実行できるタイミングを指定します」と記載されています。
つまり、この時間帯だけ動かす、という指定ができます。
タイムゾーンの確認を先に
基準になるのはアカウントのタイムゾーンです。ここが日本になっていないと、指定した時間がずれます。
海外のテンプレートを流用した会社や、設定を触らずに使い始めた会社では、実際に起きます。先に確認してください。
何時から何時にするか
営業のメールなら、平日の9時から18時が無難です。
早朝に送ると開封率が上がる、という話もありますが、相手が法人なら勤務時間内に届けるのが基本です。
特定の日付に実行しない設定
2つ目の止め方です。日本の会社では、こちらのほうが重要かもしれません。
公式に記載されている設定
公式には、「特定の日付にアクションが実行されないようにするためにワークフローを一時停止します」と記載されています。
日付を指定して止められる、ということです。曜日ではなく、日付です。
日本の休みは日付で決まります
年末年始、お盆、ゴールデンウィーク。どれも曜日ではなく日付です。
そして、日本の祝日は海外のカレンダーには入っていません。自分で登録する必要があります。
年に1回、まとめて入れてください
期初や年末に、翌年の休業日をまとめて登録する。これが現実的なやり方です。
毎回入れようとすると、忘れた年に事故が起きます。カレンダーの予定として入れておいてください。
一時停止の日でも登録は進みます
ここが、見落としやすい仕様です。
公式に書かれている挙動
公式には、一時停止した日でもレコードは登録され、遅延や条件分岐には入ると説明されています。そして、そこを抜けたあとの次のアクションで止まると記載されています。
つまり、完全に何も動かないわけではありません。止まるのは、アクションの実行です。
再開した日にまとめて動きます
止めている間に溜まったものは、再開した日に実行されます。
長く止めるほど、再開日の送信量が増えます。ここを知らないと、連休明けに大量のメールが飛ぶことになります。
連休明けの初日は確認してください
止める設定を入れたら、再開日の朝に何件動いたかを見てください。
想定より多ければ、止める期間を分けるか、内容を見直す判断になります。
登録解除のトリガー
3つ目の止め方です。条件を満たしたら、自動で外れる仕組みです。
公式に記載されている内容
公式には、登録解除のトリガーや除外リストを追加して、ワークフローからレコードを登録解除するタイミングを管理できると説明されています。
また、コンタクトを対象にしたワークフローでは、目標を満たしたコンタクトを外すという考え方が示されています。
何を「終わり」とするかを決めてください
追客のワークフローなら、返信があった時点で終わりです。
この条件を決めずに作ると、返信した相手にも追客が続きます。いちばん失礼な形です。
ライフサイクルの段階で判断する
以前の記事で書いたライフサイクルステージが、ここで使えます。顧客になった時点で外す、という設定です。
段階を整えておくと、すべてのワークフローで同じ条件が使えます。設計が楽になります。
除外リストという止め方
4つ目です。そもそも入れない、という止め方があります。
入れたくない相手を先に決める
公式には、除外するセグメントに追加されたコンタクトを除外できると説明されています。
つまり、あらかじめ作っておいたリストに入っている人は、対象から外せます。
日本の会社で入れておくべき相手
自社の社員、取引先の担当者、パートナー会社。これらは、営業の自動化の対象ではありません。
テストのために登録した自分のアドレスも同じです。入れ忘れると、社内に営業メールが飛びます。
1つ作れば、全部で使い回せます
除外用のリストは、1つ作って全部のワークフローで指定するのが効率的です。
ワークフローごとに条件を書くと、作り忘れが必ず出ます。共通の1本にしてください。
手動で外すこともできます
設定とは別に、個別に外す方法もあります。
1件だけ止めたいとき
公式ヘルプには、ワークフローからレコードを手動で登録解除する方法が用意されています。
「この相手にだけは送りたくない」という判断が出たときに使います。クレームの対応中などです。
手動は記録に残りません
手で外した理由は、どこにも残りません。あとから見て、なぜ外れているのか分からなくなります。
外したら、レコードにメモを残してください。前の記事で書いたスニペットが、ここで役に立ちます。
手動が増えたら、条件を見直す合図です
毎週のように手で外しているなら、条件の設計が合っていません。
何件外したかを数えてください。数が多いほど、自動化の前提がずれています。
日本の営業日に合わせる
ここからは、日本の会社での具体的な設定です。
| 場面 | 設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 平日の日中だけ送る | 時間帯の指定 | 深夜の送信を防ぐ |
| 年末年始・お盆 | 日付の指定で停止 | 返信できない期間だから |
| 受注したら止める | 登録解除のトリガー | 検討中の前提を外す |
| 社内・取引先 | 除外リスト | 営業の対象ではない |
金曜の夕方は避けてください
返信を求めるメールを金曜の17時に送ると、月曜には埋もれています。
時間帯の指定は曜日の考慮にもなります。火曜から木曜の午前中が、返信を得やすい時間です。
決算期は止めるという判断もあります
相手の業種によっては、特定の月が繁忙期です。
建設なら年度末、会計事務所なら確定申告の時期。その期間に追客しても、読まれません。
止めた期間は、記録に残してください
あとから成果を見るときに、止めていた期間を知らないと数字を読み違えます。
「反応が落ちた」のではなく「送っていなかった」。この違いは大きい。
待つ時間の決め方
ワークフローには、次のアクションまで待つ設定を入れられます。ここの数字を、感覚で決めないでください。
暦日で数えるか、営業日で考えるか
「3日後に送る」と設定した場合、金曜に登録された相手には月曜に届きます。ここまでは問題ありません。
しかし、水曜に登録されて3日後だと土曜です。時間帯の指定を入れていないと、休日に届きます。
待ちを長くすると、忘れられます
1週間待つ設定にすると、相手は問い合わせたこと自体を忘れています。
実務での目安は、最初の追客が2日後か3日後。そのあとは1週間、2週間と間隔を広げていく形です。
待っている間に状況が変わります
ここが重要です。待っている5日間のうちに、営業が電話で話しているかもしれません。
そのときに自動のメールが届くと、「話したのに、また同じ案内が来た」となります。登録解除の条件を必ず入れてください。
動いているかを確認する
作って公開したら終わり、ではありません。動いているかを見る習慣が要ります。
登録された件数を見てください
想定より少ないなら、条件が厳しすぎます。多いなら、広すぎます。
公開した翌週に1回。これだけで、設計のずれに気づけます。
止まったまま溜まっていないか
条件分岐の途中で、誰も先に進んでいない状態が起きます。
分岐の条件が、実際のデータと合っていないためです。入力されていない項目で分岐すると、こうなります。
止めたあとも残っている人がいます
ワークフローを無効にしても、すでに登録されている相手の扱いは確認してください。
公式ヘルプには、ワークフローを無効にする手順が用意されています。止める前に、いま何件が途中にいるかを見てから判断してください。
設定を決める順番
ワークフローを作るとき、アクションから考える人が多い。逆です。
1. 誰を入れるかより、誰を入れないか
除外リストを先に作ってください。これが土台になります。
入れる条件は、あとで広げられます。しかし、入れてはいけない相手に送ってしまったら、取り消せません。
2. どうなったら終わりかを決める
登録解除の条件です。ここを決めずにアクションを書き始めると、終わらない自動化ができます。
「返信があったら」「受注したら」「3回送ったら」。どれでも構いませんが、決めてください。
3. 最後にアクションを並べる
ここまで決まっていれば、アクションを書くのは短時間で終わります。
そして、時間帯と停止する日付を入れる。この順番で作れば、事故の大半は防げます。
手作業に戻すという判断
最後に、自動化そのものを見直す話をします。止める設定を入れても解決しない場合があります。
件数が少ないなら、自動化は不要です
月に10件の問い合わせなら、手で返信したほうが速くて、内容も良い。
この媒体で繰り返し書いているとおり、自動化は、手が回らなくなってからです。件数が少ないうちに組むと、管理の手間だけが増えます。
内容が毎回違うなら、型にできません
問い合わせの内容がばらばらな会社では、自動で送れる文面が薄くなります。
薄い文面を自動で送るより、前の記事で書いたテンプレートを使って、手で送るほうが成果が出ます。
止める設定が多いなら、設計を疑ってください
除外の条件をいくつも足している。それは、対象の決め方が間違っているということです。
足す方向で直し続けると、誰も全体を理解できない自動化になります。一度消して、条件から作り直すほうが速い。
公開する前のチェック
最後に、公開の直前に確認することを挙げます。
自分を1件登録して通してください
テスト用のコンタクトを1件作り、実際に最後まで動かしてください。
この媒体で繰り返し書いているとおり、画面の設定を見て確認するのと、実際に動かすのは違います。
既存のレコードが何件入るかを見る
公開した瞬間に、条件を満たしている既存のレコードが一気に入ります。
何件になるかを先に確認してください。想定の10倍だった、という話はよくあります。
止め方を、作った人以外も知っている状態にする
作った本人が休みの日に問題が起きます。止め方を共有してください。
公式ヘルプには、ワークフローを無効にする手順も用意されています。緊急時の手順として、1行書いておいてください。
まとめ
自動化は、止め方を決めてから作ってください。
- ワークフローの設定はProfessional以上です。無料版とStarterにはありません
- アカウントのタイムゾーンに基づいて、実行する時間帯を指定できます。
- 特定の日付を指定して、一時停止できます。日本の長期休暇に使ってください
- 停止中でも登録は進み、遅延や条件分岐には入ります。止まるのは次のアクションです
- 登録解除のトリガーと除外リストで、送る相手を絞ってください。
動かすより、止めるほうが難しい。作る前に、終わり方を決めてください。
よくある質問(FAQ)
ワークフローは無料版でも使えますか
使えません。ワークフローの設定を扱う公式ヘルプの対象プランには、各製品のProfessionalとEnterpriseが並んでいます。無料版とStarterは含まれていません。問い合わせへの1通の自動返信であれば、フォームの機能で無料でも設定できます。
深夜にメールが送られるのを防げますか
防げます。公式には、アカウントのタイムゾーンに基づいて、レコードでワークフローのアクションを実行できるタイミングを指定する、という設定が記載されています。まずアカウントのタイムゾーンが日本になっているかを確認し、そのうえで時間帯を指定してください。
年末年始だけ止めることはできますか
できます。公式には、特定の日付にアクションが実行されないようにするためにワークフローを一時停止する、という設定が記載されています。日本の長期休暇は日付で決まるため、期初に翌年ぶんをまとめて登録しておくのが現実的です。
停止している日は、何も起きませんか
登録は進みます。公式には、一時停止した日でもレコードは登録され、遅延や条件分岐には入り、そこを抜けたあとの次のアクションで止まる、と説明されています。止めている間に溜まったぶんは再開日に動くため、連休明けの初日は件数を確認してください。
受注した相手に追客が続いてしまいます
登録解除のトリガーを設定していないためです。公式には、登録解除のトリガーや除外リストを追加して、ワークフローからレコードを登録解除するタイミングを管理できると説明されています。ライフサイクルステージが顧客になった時点で外す、という条件にしておくと、すべてのワークフローで同じ設計が使えます。
社内のアドレスに営業メールが飛ぶのを防ぎたいです
除外用のリストを1つ作り、すべてのワークフローで指定してください。公式には、除外するセグメントに追加されたコンタクトを除外できると説明されています。自社の社員、取引先、テスト用に登録したアドレスをまとめて入れておくのが基本です。
公開したあと、何を見ればいいですか
まず登録された件数です。想定より少なければ条件が厳しすぎ、多ければ広すぎます。次に、条件分岐の途中で溜まっていないかを確認してください。入力されていない項目で分岐すると、誰も先に進まない状態が起きます。公開した翌週に1回見るだけで、設計のずれに気づけます。
待つ日数は、どのくらいが適切ですか
最初の追客は2日後か3日後、そのあとは1週間、2週間と間隔を広げるのが実務での目安です。ただし、待っている間に営業が電話で話している可能性があります。登録解除の条件を必ず入れてください。また、暦日で数えると休日に届くことがあるため、時間帯の指定と組み合わせて使ってください。
1件だけ止めたいときはどうしますか
公式ヘルプには、ワークフローからレコードを手動で登録解除する方法が用意されています。ただし、外した理由は記録に残りません。レコードにメモを残してください。手動で外す件数が増えているなら、それは条件の設計が合っていない合図です。
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