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20代の投資ガイド|単身世帯の3人に1人は金融資産ゼロ。公的調査で見る実態と、始める前に決める4つのこと

グラフの載った資料にペンを添えて確認している手元のイメージ

「20代はいくら投資しているんだろう」。気になって検索すると、出てくるのはたいてい平均額です。

でも平均は、少数の大きな金額に引っぱられます。実際の数字を見ると、平均と中央値は7倍近く違います。

この記事では、まず公的な調査で実態を押さえます。そのうえで、始める前に決めておく4つを整理します。それぞれ詳しい記事にリンクしているので、気になるところから読んでください。

まず実態から。20歳代の3人に1人は金融資産を持っていない

使うのは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」です。

【この記事で使う数字の前提】

  • 調査主体:金融経済教育推進機構(J-FLEC)
  • 調査時期:2025年6月20日〜7月2日
  • 調査対象:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で、単身で世帯を構成する者)
  • 調査方式:インターネットモニター調査
  • 以下の「20歳代」の数字は、この調査の20歳代・単身世帯(548人)の集計です。実家暮らしや配偶者のいる人は含まれません

この前提は最後まで効いてくるので、先に置いておきます。「20代全体」の数字ではありません。

そのうえで、20歳代の金融資産保有額の分布はこうなっています。

金融資産保有額 割合
金融資産非保有 33.2%
100万円未満 24.6%
100〜200万円未満 10.2%
200〜300万円未満 7.1%
300〜400万円未満 5.5%
400〜500万円未満 3.1%
500〜700万円未満 5.8%
700〜1,000万円未満 2.6%
1,000万円以上 4.7%(1,000〜1,500万円2.4%、1,500〜2,000万円1.1%、2,000〜3,000万円0.5%、3,000万円以上0.7%の合計)
無回答 3.1%

いちばん上を見てください。33.2%が「金融資産非保有」です。約3人に1人。

ここでいう「金融資産」は、調査票で「運用の為または将来に備えて蓄えている部分」と定義されていて、「預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く」とされています。つまり生活用の口座に残っているお金は入りません。非保有=無一文、ではないということです。

それでも、将来に備えた蓄えがゼロという人が3割いる。出遅れている気がしているなら、それは多数派です。

平均255万円、中央値37万円。この差が意味すること

クリップボードの棒グラフ資料をめくって確認している手元のイメージ

同じ調査で、20歳代の金融資産保有額は平均255万円、中央値37万円とされています(いずれも金融資産を保有していない世帯を含む集計)。

① 保有額の分布(帯の幅=人数の割合) なし 33.2% 100万未満 24.6% 100〜300万 17.3% 300〜700万 14.4% 700万〜 7.3% ※無回答3.1%は帯から除いています ② 中央値と平均(帯の幅=金額) 中央値 37万円 平均 255万円 平均のほうが約7倍大きいのは、3,000万円以上が0.7%いる一方で 33.2%がゼロという偏った分布だからです。自分と比べるなら、 平均ではなく中央値のほうが実感に近くなります。 出典:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年(単身世帯調査)」より、20歳代・単身世帯548人の集計。 金融資産を保有していない世帯を含む数値です。

平均のほうが約7倍大きい。理由は分布を見れば分かります。3,000万円以上が0.7%いる一方で、33.2%はゼロ。少数の大きい数字が平均を押し上げています。

だから「20代の平均は255万円」を基準に自分を測ると、実態より厳しい評価になります。比べるなら中央値のほうが近い。

なお同じ調査では、全国(全年代)の単身世帯が平均919万円・中央値130万円とされています。年代が上がるほど差は開きます。

証券口座を持っているのは、約半分

では、実際に投資をしている人はどれくらいいるのか。

同じ調査の20歳代・単身世帯(548人)では、口座の保有状況がこうなっています。

口座の状況 割合
銀行口座および証券口座を保有している 49.3%
銀行口座のみ保有している 39.4%
いずれも保有していない 11.3%

保有している金融商品(複数回答)は、次のとおりです。

【20歳代・単身世帯が保有している金融商品(複数回答)】

  • 預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む):76.6%
  • 投資信託(MRF、MMF、REITなどを含む):25.2%
  • 株式:18.8%
  • 個人年金保険:8.6%
  • 積立型保険商品(生保・損保):7.3%
  • 債券:3.8%
  • いずれも保有していない:15.1%

投資信託を持っているのは4人に1人、株式は5人に1人弱。「みんなやっている」ほどではありませんが、「誰もやっていない」わけでもない、という位置です。

なおNISAやiDeCoについては、同じ調査で20歳代の金額が示されています。ただしNISAと確定拠出年金では、聞いている中身が違います。調査票を見ると、NISAは「各種NISA口座で保有する残高」、確定拠出年金は「これまでに拠出した総額」を尋ねています。

制度 聞いている中身 20歳代の平均
新NISA つみたて投資枠 残高 49万円
新NISA 成長投資枠 残高 68万円
企業型確定拠出年金(企業型DC) これまでに拠出した総額 51万円
iDeCo これまでに拠出した総額 31万円

確定拠出年金の2つは「積み立てた元本の累計」であって、運用損益を含んだ今の資産額ではありません。NISAの2つと同じものとして並べて読まないでください。

いずれも調査票の注記によると「金融資産保有世帯のうち、各項目の金額回答世帯の平均値」です。20歳代全体の平均ではありません。

数十万円台から始まっている、というのが実際のところです。何百万円もないと始められない、という話ではありません。

始める前に決めること1:いくらから始めるか

ここからが本題です。始める前に決めておくと迷わなくなることが4つあります。

最初は金額です。

生活防衛資金を確保する前に投資へ回すと、下がった局面で現金が必要になって、いちばん悪いタイミングで売ることになります。順番としては「手取りの把握 → 生活防衛資金の確保 → 余った分で試算」です。

具体的な金額の決め方、手取りからの逆算、積立額のシミュレーションは新NISA、20代は月いくらから始める?でまとめています。

先に言っておくと、最初の金額は小さくて構いません。

ひとつ計算しておきます。月1万円なら年12万円、3年で36万円です。先ほどの中央値は37万円でした。運用の成果をまったく考えなくても、月1万円を3年続けるだけで、20歳代・単身世帯の真ん中とほぼ並びます。

もちろん投資は元本割れもあるので、この計算は「積み立てた元本だけ」の話です。それでも、始める前に思っているほど大きな金額は要らない、という感覚はつかめると思います。

始める前に決めること2:何を買うか

ノートとタブレットを並べて書き出している手元のイメージ

次に商品です。20歳代でいちばん多いのは投資信託(25.2%)で、その中でもよく候補に挙がるのが全世界株式と米国のハイテク中心の指数です。

この2つは重なっている部分があり、片方を持てばもう片方は不要になる場合もあれば、制度上そもそも同じ枠で買えない場合もあります。

違いと、信託報酬の差が長期でどれくらいの金額になるかはオルカンとNASDAQ100、20代はどっち?で比較しました。

ここで見落とされやすいのがコストです。リターンは読めませんが、信託報酬は契約時点で分かっていて、持っている限り毎年かかります。読めないものより、確実に分かっているもののほうから比べたほうが判断しやすい、というのが実務的な順番です。

始める前に決めること3:どの制度を使うか

3つめは器の話です。同じ商品を買っても、どの制度で買うかで税金と引き出しやすさが変わります。

NISA iDeCo
途中で引き出せるか 引き出せる 原則60歳まで引き出せない
掛金の所得控除 なし あり

20代にとっては「引き出せるかどうか」が効いてきます。転職、引っ越し、資格取得。お金が必要になる場面がまだ何度もあるからです。

どちらを先に始めるか、判断の順番はiDeCoとNISA、20代はどっちから?に整理しました。

判断の目安をひとつ挙げるなら、「今後10年で使う予定があるお金かどうか」です。使う予定があるならNISA、老後まで動かさないと決めきれるならiDeCoの所得控除が効いてきます。迷っているうちは、引き出せるほうから始めるほうが取り返しがつきます。

始める前に決めること4:下がったときどうするか

4つめが、いちばん軽視されがちで、いちばん効きます。

下がったときの行動は、下がる前に決めておかないと決められません。実際に含み損を見てから考えると、たいてい一番悪い判断になります。

過去の下落局面で何が起きたか、どう構えておくかは株価が暴落したらどうする?にまとめています。

決め方はシンプルで構いません。たとえばこの3行を書いておくだけでも違います。

【下がる前に書いておく3行の例】

  • 評価額が何割下がっても、積立は止めない
  • 残高を見るのは月に1回、給料日だけ
  • 売るのは、生活費が足りなくなったときだけ

内容は自分で決めて構いません。大事なのは、下がる前に文章にして、見えるところに置いておくことです。

転職したら、ひとつ確認することがあります

制度の話でもうひとつ。企業型確定拠出年金(企業型DC)に入っていた人が転職すると、手続きを放置した場合に「自動移換」という状態になります。

運用されないまま手数料だけが引かれ続けるので、心当たりがあれば早めに確認してください。期限と手続きは転職して確定拠出年金を放置するとどうなる?で解説しています。

今回の調査でも、20歳代・単身世帯で企業型DCについて金額を回答した人のこれまでの拠出総額は平均51万円でした(運用損益を含む現在の資産額ではありません)。自分が加入していたかどうかを把握していない人ほど、確認する価値があります。

今日からできること

自宅の机でノートに書き出している人のイメージ

順番に3つだけ。投資を始めるかどうかは、3つめまで来てから決めて構いません。

ステップ1(今日・15分):いま自分がどこにいるかを数える

分布表に自分を当てはめます。将来に備えて蓄えているお金(生活用口座の残高は除く)を合計して、先ほどの表のどの行かを見てください。

中央値は37万円です。ここより上か下かが分かれば、焦る必要があるのかどうかも見えてきます。33.2%はゼロなので、ゼロでも異常ではありません。

ステップ2(今週・30分):生活防衛資金の額を決める

投資に回す前に、手をつけない現金をいくら残すかを決めます。ここが決まっていないと金額も決められません。

目安の考え方は新NISA、20代は月いくらから始める?に書いていますが、先に数字を紙に書くことが肝心です。頭の中にあるうちは、いつでも動いてしまいます。

ステップ3(今月・1時間):下がったときのルールを先に書く

「何%下がっても売らない」「積立は止めない」「見るのは月1回」。どれでも構いません。下がる前に書いて、見えるところに置いておく。

ここまでやってから口座を開いても遅くありません。逆に、ここを飛ばして始めると、最初の下落で止めることになりがちです。

まとめ

金融経済教育推進機構の2025年調査によると、20歳代・単身世帯の33.2%が金融資産非保有。保有額は平均255万円、中央値37万円で、平均のほうが約7倍大きい数字です。

証券口座を持っているのは49.3%、投資信託を持っているのは25.2%、株式は18.8%。全員がやっているわけでも、誰もやっていないわけでもありません。

始める前に決めることは4つ。いくらから、何を買うか、どの制度で、下がったらどうするか。とくに4つめは、下がってからでは決められません。

数字はいずれも単身世帯の調査で、インターネットモニター調査です。自分の状況に当てはめるときは、そのつもりで見てください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 20代の金融資産は平均いくらですか?

金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」によると、20歳代・単身世帯(548人)の金融資産保有額は平均255万円、中央値37万円です(金融資産を保有していない世帯を含む集計)。平均は一部の大きな金額に引き上げられるため、実感に近いのは中央値のほうです。なおこれは単身世帯を対象とした調査で、実家暮らしや配偶者のいる人は含まれません。

Q2. 貯金ゼロの20代はどれくらいいますか?

同じ調査では、20歳代・単身世帯の33.2%が「金融資産非保有」と回答しています。ただしこの調査でいう「金融資産」は「運用の為または将来に備えて蓄えている部分」と定義されており、「預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く」とされています。つまり生活用口座の残高は含まれないため、非保有イコール手元にお金がない、という意味ではありません。

Q3. 平均と中央値はどちらを見ればいいですか?

自分と比べる目的なら中央値です。20歳代・単身世帯では平均255万円に対して中央値37万円で、平均のほうが約7倍大きくなっています。これは3,000万円以上を保有する人が0.7%いる一方で33.2%が非保有という分布のためで、平均が集団の「真ん中の人」を表していないからです。

Q4. 20代でどれくらいの人が投資をしていますか?

同調査の20歳代・単身世帯では、銀行口座および証券口座を保有しているのが49.3%、銀行口座のみが39.4%、いずれも保有していないのが11.3%です。保有している金融商品(複数回答)は、預貯金76.6%、投資信託25.2%、株式18.8%、債券3.8%となっています。投資信託はおよそ4人に1人という水準です。

Q5. NISAやiDeCoを20代はいくら積み立てていますか?

同調査によると、20歳代・単身世帯の平均は、新NISAのつみたて投資枠が49万円、成長投資枠が68万円、iDeCoが31万円、企業型確定拠出年金(企業型DC)が51万円です。ただし調査票を見ると、NISAは「各種NISA口座で保有する残高」を尋ねているのに対し、確定拠出年金は「これまでに拠出した総額」を尋ねています。つまりiDeCoと企業型DCの金額は積み立てた元本の累計であり、運用損益を含んだ現在の資産額ではありません。またいずれも「金融資産保有世帯のうち、各項目の金額回答世帯の平均値」とされており、20歳代全体の平均ではない点にも注意してください。

Q6. 何から始めればいいですか?

口座開設より前に決めることが4つあります。いくらから始めるか、何を買うか、どの制度を使うか、下がったときどうするか、です。特に4つめは、実際に含み損を見てからでは冷静に決められないため、始める前に文章にしておくことをおすすめします。それぞれの詳細は本文中の各リンク先で解説しています。

Q7. この調査の数字はどこまで一般化できますか?

限定的に見るべきです。この調査は20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する人を対象とした全国2,500世帯のインターネットモニター調査で、20歳代の回答者は548人です。実家暮らしの人や配偶者のいる人は対象に含まれていません。また調査方式がインターネットモニターであるため、対象の偏りが生じる可能性もあります。目安として使い、自分の状況に置き換えて考えてください。

Q8. 投資を始めるのに遅すぎるということはありますか?

20代について言えば、データ上は出遅れというより多数派の位置です。20歳代・単身世帯の33.2%が金融資産非保有で、中央値は37万円です。また各制度の平均額も数十万円台であり、まとまった資金がなければ始められないという状況ではありません。ただし投資には元本割れの可能性があり、始める時期よりも、生活防衛資金を確保したうえで続けられる金額にすることのほうが重要です。



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