
「副業の平均月収は6万円」。そんな数字を見て、副業を始めれば誰でもそれくらい稼げると思っていないでしょうか。
実際に調査データを見ていくと、「平均」という数字にはある種のからくりがあり、多くの人の実感とはズレていることが分かります。数字だけを鵜呑みにして高い期待を抱いてしまうと、思うように稼げなかったときに「自分には向いていないのかもしれない」と早々に挫折してしまいかねません。
この記事では、副業をしている20代の最新データから、収入の実態、そして無理なく続けるための考え方までをまとめました。
【2026年最新データ】副業をする20代が急増中
パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年8月1日〜7日実施、正社員20〜50代 n=1,866)によると、正社員の副業実施率は11.0%と2018年の調査開始以来最高を記録しました。2023年調査までは微減傾向だったものが、今回一気に4.0ポイント上昇しています。
性年代別に見ると、特に男性20代の伸びが顕著で、2023年から11.4ポイント上昇して20.2%に達しました。企業側の副業容認率も64.3%(前回比+3.4pt)、副業人材の受入率も29.1%(同+4.7pt)と、いずれも上昇しています。
副業はもはや一部の人だけのものではなく、20代を中心に急速に広がっている働き方だということが、最新のデータからも分かります。
背景には、企業側の姿勢の変化もあります。社員の副業を認める「副業容認率」は64.3%(前回調査比+3.4pt)、外部の副業人材を受け入れる「副業受入率」は29.1%(同+4.7pt)と、いずれも過去最高を更新しました。さらに、副業を容認している企業が、実際に他社で副業をする社員へ何らかのサポートを行っている割合(サポート率)は36.3%で、前回調査から9.0ポイントも上昇しています。
つまり、「副業を始めたい20代」が増えているだけでなく、「副業を後押しする企業」も同時に増えているという、両輪での追い風が生まれています。
なぜ20代の副業が増えているのか
同調査によると、副業を行う理由として「副収入を得たい」「本業の収入だけでは不十分」といった収入補填型の理由は、2023年調査より減少しています。
一方で、20代では「本業では自分の好きな仕事ができない」「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」といったキャリア形成・自己実現型の理由が上昇トレンドにあります。
つまり20代にとっての副業は、単なるお小遣い稼ぎというより、本業だけに自分のキャリアを委ねないための手段になりつつあるということです。
実際、副業経験者のうち「副業先の企業へ転職した経験がある」人は全体で6.7%ですが、20代に限ると13.6%と2倍近くにのぼります。副業が「本業を選び直すきっかけ」になっているケースも少なくないようです。
副業でいくら稼げる?「平均」の裏にある実態

ここからが本題です。doda「副業の実態調査」(社会人15,000人対象)によると、副業をしている人の月収は全体平均で65,093円でした。年代別では次のようになっています。
| 年代 | 副業の平均月収 |
|---|---|
| 20代 | 27,968円 |
| 30代 | 32,281円 |
| 40代以上 | 96,564円 |
| 全体 | 65,093円 |
一見「20代でも月2.8万円は稼げるのか」と思うかもしれませんが、この「平均」には注意が必要です。同調査で月収の分布を見ると、最も割合が多かったのは「1万円未満」で48.1%、次いで「10万円以上」が13.8%という結果でした。
副業をしている人のほぼ半数(48.1%)が月1万円未満にとどまる一方、月10万円以上稼ぐ人も一定数(13.8%)存在します。この一部の高収入層が全体の「平均」を大きく押し上げているため、「平均月収65,093円」という数字だけを見ると、実態より稼げるように見えてしまいます。
つまり、多くの人にとっての現実的なスタートラインは「平均」ではなく、月数千円〜1万円台だと捉えておくほうが、期待値のズレによる挫折を防げます。もちろん、スキルや時間のかけ方次第で月10万円以上を稼ぐ人がいるのも事実です。大切なのは、「平均」を鵜呑みにして最初から高い金額を目指すのではなく、小さな金額からでも実績を積み上げていく姿勢です。
副業のもう一つのリアル:過重労働のリスク
収入面だけでなく、負担面のデータも押さえておく必要があります。パーソル総合研究所の同調査では、副業を行うことで「過重労働となり、仕事に支障をきたした」「過重労働となり、体調を崩した」と回答した人が26.9%にのぼり、調査開始以降で最も高い水準となりました。
さらに、雇用契約を結んで副業をしている人について、本業の残業時間と副業の活動時間を合計したところ、45時間を超える人が3割を超え、そのうちの半数以上が「本業先に副業をしていることを報告していない」という結果も出ています。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 副業による過重労働・体調不良を経験した人 | 26.9%(過去最高水準) |
| 本業+副業の合計労働時間が45時間超 | 3割超 |
| そのうち本業に副業を未申告 | 半数以上 |
収入を増やそうと副業を始めても、無理を重ねて本業のパフォーマンスや健康を損なっては本末転倒です。「稼げる金額」と同じくらい、「無理なく続けられる時間の範囲」を意識することが重要だと、このデータは示しています。
無理なく続けるための現実的な考え方

ここまでのデータを踏まえると、副業と無理なく付き合っていくためのポイントは次の3つに整理できます。会社に副業が禁止されていないか、会社にバレずに始める際の注意点についてまだ確認できていない場合は、始める前に一度目を通しておくと安心です。
- 「平均」ではなく「中央値に近い実態」を基準に目標を立てる:月1万円未満が最多という前提に立てば、最初の目標は「月数千円〜1万円を安定して稼ぐこと」で十分です。そこから徐々に単価や件数を増やしていく方が、挫折しにくくなります
- 収入だけでなく、スキル面のリターンも評価する:20代で伸びている副業理由が「スキルが通用するか試したい」であるように、副業を収入だけで判断せず、本業では得られない経験値としても捉えると続けやすくなります
- 労働時間の上限を自分の中で決めておく:過重労働の当事者になりやすいのは、本業に副業の存在を伝えていないケースです。無理のない範囲で活動時間を区切り、心身に負担が出ていないか定期的に振り返りましょう
まとめ:「平均」ではなく「実態」を基準にする
副業をしている20代は、この1年で急速に増えています。しかし「平均月収」という数字は、一部の高収入層に引き上げられたものであり、実際には約半数が月1万円未満にとどまっているのが実態です。
過重労働のリスクも過去最高水準にあることを踏まえると、「すぐに大きく稼ぐ」ことよりも「無理のない範囲で、小さく続ける」ことを優先するのが、20代の副業との向き合い方として現実的だといえます。
副業を始めるかどうかを判断するときは、「平均月収6万円」という一見魅力的な数字ではなく、「約半数は月1万円未満から始まる」という実態のほうを基準にしておくと、後から感じるギャップは小さくなるはずです。そのうえで、企業側の受け入れ姿勢も追い風になっている今は、小さく試してみるにはむしろ良いタイミングだといえるでしょう。
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