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賞味期限を過ぎても品質が保たれていることがある、と基準の原文に書いてあります|消費期限との違いを条文で読む

冷蔵庫を開けて中の食品に手を伸ばしている人の後ろ姿

冷蔵庫の奥から、期限が3日過ぎたヨーグルトが出てきた。

捨てるべきか、食べていいのか。たぶん大丈夫な気もするけれど、自信はない。

こういうとき、ネットで「賞味期限 切れ いつまで」と調べると、食品ごとの日数を書いた記事がたくさん出てきます。でも、その日数に根拠があるのかどうかまでは書かれていないことが多い。

この記事では、日数の目安を示しません。代わりに、2つの期限が法令でどう定義されているかを原文で読みます。

そこを押さえると、「何日まで大丈夫か」という問いが、そもそも誰にも答えられない形をしていることが分かります。そして、代わりに自分で確かめられることが見えてきます。

2つは、法令で別々に定義されています

根拠は食品表示基準という内閣府令です。その第2条第1項に、2つの言葉が並んで定義されています。

七 消費期限 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。
八 賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

並べて読むと、見ている対象が違うことが分かります。

消費期限は「安全性」の話。腐敗や変敗で、安全でなくなるおそれがないと認められる期限です。

賞味期限は「品質」の話。期待される品質が十分に保たれると認められる期限です。安全という言葉は出てきません。

農林水産省は、これをもっと平たく説明しています。消費期限は「安全に食べられる期限」で、弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなどに表示されるもの。賞味期限は「おいしく食べられる期限」で、スナック菓子、カップめん、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料などに表示されるもの、という整理です。

賞味期限の「ただし書」が、いちばん大事です

前章の賞味期限の定義、最後まで読みましたか。

「ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。」

基準の原文に、期限を超えても品質が保持されていることがある、と書かれています。

これは誰かの見解でも、食品メーカーの言い訳でもありません。表示のルールを定めた内閣府令そのものに入っているただし書です。

農林水産省も同じことを書いています。賞味期限について「この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません」。

一方、消費期限の定義には、こうしたただし書がありません。消費期限は超えないことが前提の期限です。農林水産省も、消費期限は過ぎないようにと注意しています。

ここだけ覚えておけば十分です
・消費期限 安全性の期限。超えてはいけないもの
・賞味期限 品質の期限。超えても品質が保持されていることがある、と基準に書いてある

だから、まず見るべきなのは日数ではなく、パッケージに書いてあるのがどちらの言葉かです。

どちらが表示されるかは、食品の性質で決まります

では、どの食品にどちらが付くのか。これも食品表示基準の別表に書かれています。

「品質が急速に劣化しやすい食品にあっては消費期限である旨の文字を冠したその年月日を、それ以外の食品にあっては賞味期限である旨の文字を冠したその年月日を年月日の順で表示する。」

分かれ目は「品質が急速に劣化しやすいかどうか」です。何日という数字ではなく、食品の性質で決まっています。

だから、同じ売り場に並んでいても、弁当には消費期限、缶詰には賞味期限が付きます。

そして売る側が自由に選べるものではありません。基準がそう定めているので、表示されている言葉そのものが、その食品がどちら側のものかを示しています。

「年月だけ」の表示がある理由

買い置きの缶詰やレトルトを見ると、「2028.3」のように年月までしか書かれていないことがあります。印字がかすれたわけではありません。

同じ別表の、ただし書です。

「ただし、製造又は加工の日から賞味期限までの期間が三月を超える場合にあっては、賞味期限である旨の文字を冠したその年月を年月の順で表示することをもって…年月日の表示に代えることができる。」

製造や加工の日から賞味期限までが3か月を超えるものは、年月までの表示でよい、とされています。

つまり「2028.3」とあれば、少なくとも製造から3か月以上の期間が設定されている食品だということになります。日付が書かれていないのは手抜きではなく、基準にそう書いてあるからです。

なお、乳や乳飲料など、紙やアルミニウム箔などで密栓した容器に入ったものについては、年月日ではなく「その日」の表示に代えられる、という定めです。牛乳パックに日付だけが大きく書かれているのは、これに当たります。

どちらの期限にも、前提が2つあります

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

第1章の定義を、もう一度冒頭から読んでください。消費期限も賞味期限も、同じ言葉から始まっていました。

「定められた方法により保存した場合において、…」

条件付きの期限です。定められた方法で保存していなければ、そこに書かれた日付は前提を失います。

その「定められた方法」も、同じ食品表示基準の別表で表示が義務づけられているものです。

「保存の方法 食品の特性に従って表示する。ただし、食品衛生法第十三条第一項の規定により保存の方法の基準が定められたものにあっては、その基準に従って表示する。」

「10℃以下で保存してください」「直射日光を避け、常温で保存してください」。パッケージのどこかに必ず書かれています。

そしてもうひとつ。農林水産省は、どちらの期限も開封していない状態が前提だとしています。

図にすると、こうなります。

日付が意味を持つのは、下の2つが揃っているときだけ

期限の日付

開封していないこと 開けたら、期限にかかわらず早めに

表示どおりの方法で保存したこと 「定められた方法により保存した場合において」(食品表示基準 第2条)

どちらかが欠けたら、上の日付は前提を失います

※ 保存の方法は、食品表示基準の別表により表示が義務づけられています。パッケージに必ず書かれています。 ※ 未開封が前提である点は、農林水産省の説明によります。 ※ 出典 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第2条第1項第7号・第8号、同別表/農林水産省

開封したら、期限は当てになりません

前章の2段目です。

農林水産省は、どちらの期限についても、開封していない状態で表示どおりに保存した場合の期限であり、開封後は期限にかかわらず早めに食べるようにとしています。

ここは、誤解が多いところ。「賞味期限まであと2週間あるから大丈夫」と思っていた牛乳が、開けてから1週間経っている。このとき、パッケージの日付は何も保証してくれません。

開封後について、パッケージを見てください
多くの食品には「開封後は冷蔵庫で保存し、お早めにお召し上がりください」といった記載があります。
この一文があるということは、表の日付は開封前のものだという意味です。

「何日まで大丈夫か」は、誰にも言えません

ここは正直に書きます。

「賞味期限が3日過ぎたヨーグルトは食べられますか」という問いに、この記事は答えられません。理由は2つあります。

ひとつ、保存状態が分からないからです。第5章のとおり、期限は「定められた方法により保存した場合において」のものです。買ってから冷蔵庫に入れるまで何分かかったか、扉の開け閉めがどれくらいあったか、庫内のどこに置いたか。これで条件は変わります。

ふたつ、食品によって違うからです。賞味期限の定義は「期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」で、どれくらいの余裕を見るかは食品ごとに設定されます。「賞味期限の◯倍までは大丈夫」といった一律の数字は、この定義から出てきません。

ネットで見かける「卵は◯日」「牛乳は◯日」といった日数が、どこの何に基づいているのか。そこを確かめられない以上、この記事では数字を出しません。

そして消費期限のほうは、迷う余地がない。安全性の期限として定義されていて、ただし書もない。過ぎたものは食べない。ここだけは日数の議論になりません。

代わりに確かめられること

日数は分からない。では何が分かるのか。パッケージを見れば確かめられることが、3つあります。

1 書いてあるのはどちらの言葉か

「消費期限」と書いてあるか、「賞味期限」と書いてあるか。これは必ず書かれています。

消費期限なら、第7章のとおり迷いません。賞味期限なら、第2章のただし書が効く範囲の話になります。

2 保存の方法は何と書いてあるか

「要冷蔵(10℃以下)」「冷凍保存」「直射日光を避け常温で」。第5章のとおり、表示が義務づけられている項目です。

そして、自分がそのとおりに保存してきたかどうかを思い出してください。常温で持ち歩いた時間が長かった、冷蔵庫の扉のポケットに入れていた。心当たりがあるなら、日付の前提は崩れています。

3 開封したかどうか、いつ開けたか

開封済みなら、第6章のとおり表の日付は基準になりません。パッケージに書かれた開封後の案内のほうを見ます。

この3つを確かめたうえで、それでも判断がつかないなら、食べないという選択は常に正しいです。
数百円の食品のために体調を崩すのは、どう計算しても割に合いません。

冷蔵庫の前でやる3つのこと

ここからは実務です。迷う回数そのものを減らす話をします。

手前と奥を決める

期限が近いものを手前、遠いものを奥。これだけで「奥から発掘される」事態が減ります。

買い物から帰ってしまうとき、新しいものを奥に入れる。既にあるものを手前に出す。所要時間は10秒です。

開けた日を書く

開封後の期限は、パッケージに書かれていない。だから、自分で書くしかない。

マスキングテープでも、油性ペンで直接でも構いません。「10/15開封」とだけ書いておけば、次に手に取ったときに迷わずに済みます。

牛乳、ヨーグルト、ドレッシング、ジャム、開封済みのハム。開けてから日が経ちやすいものに絞って構いません。

「どちらの言葉か」で置き場所を分ける

消費期限の食品(弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど)は、目に入る場所に。賞味期限の食品は、多少奥でも構いません。

第2章のとおり、2つは性質が違います。性質が違うものを同じ場所に混ぜておくから、同じ基準で判断しようとして迷うことになります。

この3つは、どれも食品の知識を必要としません。
期限切れを前に「食べられるか」を推測するより、そもそも推測する場面を減らすほうが確実です。

買うときにできること

もうひとつ、入口の話も。

食べきれる量で買う。まとめ買いで安くなっても、期限内に食べきれなければ安くなっていません。一人暮らしなら、3個入りより1個のほうが結果的に安いことがあります。

消費期限のものは、その日に食べるぶんだけ。弁当やサンドイッチを「明日の朝ごはんに」と買うと、消費期限を超えることがあります。表示を見てから決めてください。

すぐ食べるなら、手前から取る。店頭で奥から新しいものを取る人は多いと思いますが、その日に食べるなら手前のもので足ります。自分の家の冷蔵庫でやっていることと同じです。

買い物と自炊の続け方については、別の記事でも扱っています。

今日からできること

3つあります。

ひとつめ、1分。冷蔵庫から1つ取り出して、言葉を確かめる。

「消費期限」と書いてあるか、「賞味期限」と書いてあるか。どちらが書かれているかを意識して見たことがない人は、ここから始めてください。

ふたつめ、1分。同じパッケージの「保存方法」を読む。

何℃以下と書いてあるか。そして、自分がそのとおりに保存してきたか。期限の日付は、この条件の上に成り立っています。

みっつめ、3分。開封済みのものに日付を書く。

いま冷蔵庫にある開封済みの食品に、開けた日を書いていきます。次に迷う回数が、はっきり減ります。

まとめ

消費期限と賞味期限は、食品表示基準という内閣府令で別々に定義されています。

消費期限は「腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限」。安全性の話です。

賞味期限は「期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」。こちらには続きがあり、「ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」。期限を超えても品質が保持されていることがある、と基準の原文が認めています。

どちらが表示されるかは、食品の性質で決まります。「品質が急速に劣化しやすい食品」には消費期限、それ以外には賞味期限。売る側が選べるものではありません。

製造や加工の日から賞味期限までが3か月を超えるものは、年月までの表示に代えられます。缶詰などに日付がないのは、基準にそう書いてあるからです。

そして、どちらの期限も「定められた方法により保存した場合において」という条件の上にあります。保存の方法は、パッケージへの表示が義務づけられている項目です。さらに農林水産省は、どちらの期限も開封していない状態が前提であり、開封後は期限にかかわらず早めに食べるよう案内しています。

この記事は「賞味期限が何日過ぎるまで大丈夫か」には答えません。保存状態が人によって違い、余裕の取り方も食品ごとに違うからです。根拠を確かめられない日数は書きません。

代わりに確かめられるのは3つです。書いてあるのはどちらの言葉か。保存の方法は何と書いてあり、自分はそのとおりにしてきたか。開封したのはいつか。

それでも判断がつかないなら、食べないという選択は常に正しいです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 消費期限と賞味期限は何が違いますか?

見ている対象が違います。食品表示基準第2条第1項は、消費期限を「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」、賞味期限を「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日」と定義しています。消費期限は安全性の話、賞味期限は品質の話です。農林水産省は、消費期限を「安全に食べられる期限」、賞味期限を「おいしく食べられる期限」と説明しています。

Q2. 賞味期限が切れたら食べられないのですか?

食品表示基準の賞味期限の定義には、ただし書があります。「ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」。期限を超えても品質が保持されていることがある、と基準の原文が認めています。農林水産省も「この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません」としています。ただし、これは「何日まで大丈夫」という話ではありません。期限は「定められた方法により保存した場合において」のものなので、保存状態によって前提が変わります。

Q3. 消費期限が切れたものはどうすればいいですか?

食べないでください。消費期限は「安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限」として定義されており、賞味期限にあるような「期限を超えても品質が保持されていることがある」というただし書がありません。農林水産省も、消費期限は過ぎないようにと案内しています。弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、品質が急速に劣化しやすい食品に表示されるものです。日数を議論する余地のある話ではありません。

Q4. 賞味期限が3日過ぎたヨーグルトは食べられますか?

この記事では答えられません。理由は2つあります。ひとつ、期限は「定められた方法により保存した場合において」のものなので、買ってから冷蔵庫に入れるまでの時間や庫内のどこに置いたかで条件が変わり、保存状態が分からない以上、判断の前提が揃いません。ふたつ、どれくらいの余裕を見て期限が設定されているかは食品ごとに違うため、「賞味期限の何倍までなら」といった一律の数字が定義から出てきません。確かめられるのは、書いてあるのがどちらの言葉か、保存の方法はどうか、開封したのはいつか、の3つです。それでも判断がつかないなら、食べないという選択は常に正しいです。

Q5. どの食品にどちらが付くかは、お店が決めているのですか?

いいえ、基準で決まっています。食品表示基準の別表は「品質が急速に劣化しやすい食品にあっては消費期限である旨の文字を冠したその年月日を、それ以外の食品にあっては賞味期限である旨の文字を冠したその年月日を年月日の順で表示する」としています。分かれ目は食品の性質で、売る側が自由に選べるものではありません。だからこそ、表示されている言葉そのものが、その食品がどちら側のものかを示す手がかりになります。

Q6. 缶詰に「2028.3」のように年月しかないのはなぜですか?

基準にそう書いてあるからです。食品表示基準の別表は、年月日で表示するとしたうえで「ただし、製造又は加工の日から賞味期限までの期間が三月を超える場合にあっては、賞味期限である旨の文字を冠したその年月を年月の順で表示することをもって…年月日の表示に代えることができる」としています。製造や加工の日から賞味期限までが3か月を超えるものは、年月までの表示でよいということです。印字が欠けているわけではありません。

Q7. 牛乳パックに日付だけ大きく書いてあるのはなぜですか?

こちらにも定めがあります。食品表示基準の別表は、乳、乳飲料、発酵乳、乳酸菌飲料及びクリームのうち、紙、アルミニウム箔その他これに準ずるもので密栓した容器に収められたものについて、「消費期限又は賞味期限の文字を冠したその日の表示をもってその年月日の表示に代えることができる」としています。年月日ではなく「その日」の表示に代えられる、という定めです。

Q8. 開封したあとも、書いてある期限まで大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。農林水産省は、どちらの期限も開封していない状態で表示どおりに保存した場合の期限であり、開封後は期限にかかわらず早めに食べるようにとしています。多くの食品のパッケージに「開封後は冷蔵庫で保存し、お早めにお召し上がりください」といった記載があるのは、表の日付が開封前のものだからです。開封後の期限は書かれていないので、開けた日を自分で書いておくのが現実的です。

Q9. 「定められた方法により保存した場合において」とは何のことですか?

パッケージに表示されている保存の方法のことです。食品表示基準の別表は、保存の方法について「食品の特性に従って表示する。ただし、食品衛生法第十三条第一項の規定により保存の方法の基準が定められたものにあっては、その基準に従って表示する」としており、表示が義務づけられています。「要冷蔵(10℃以下)」「直射日光を避け常温で」といった記載です。消費期限も賞味期限も、この条件の上に成り立つ期限なので、そのとおりに保存していなければ日付は前提を失います。

Q10. 迷う回数を減らすには、どうすればいいですか?

食品の知識を増やすより、仕組みを変えるほうが確実です。3つあります。ひとつ、期限が近いものを手前、遠いものを奥に置く。買い物から帰ったときに、新しいものを奥に入れるだけです。ふたつ、開封した日をパッケージに書く。開封後の期限は書かれていないので、自分で書くしかありません。牛乳、ヨーグルト、ドレッシングなど、開けてから日が経ちやすいものに絞って構いません。みっつ、消費期限の食品と賞味期限の食品で置き場所を分ける。性質が違うものを同じ場所に混ぜておくから、同じ基準で判断しようとして迷うことになります。

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