
スマホを買い替えるとき、古いほうを下取りや買取に出す人は多いと思います。
調べると「初期化してから出しましょう」という話がすぐ出てきます。キャリアの下取りではそのとおりで、初期化されていない端末は受け付けてもらえません。
ただ、順番に落とし穴があります。初期化を先にやってしまうと、二度とできなくなる手続きがいくつかあるのです。しかもそのうちのひとつは、マイナンバーカードに関わるものでした。
この記事では、各社の提供条件書と公式ヘルプを読んだうえで、何を、どの順番でやるのかを整理します。検索すると買取業者のページばかり出てきますが、ここでは売る側ではなく出す側の立場で書きます。
初期化は下取りの条件。でも、先にやると戻せないものがある
まず前提から。キャリアの下取りでは、初期化は「やったほうがいい」ではなく、やらないと受け付けてもらえません。
- ドコモは受付不可品の例に「初期化されていない」「各種ロックが解除されていない」を挙げています(下取り価格のページ)
- ソフトバンクは提供条件書で、「初期化されていないこと」に該当する場合は特典を付与しないとしています
- auも下取りできない例に「暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない」を挙げています
ただし、Apple Storeに持ち込む場合は事情が違います。Appleは「Apple Storeで下取りに出す場合、デバイスを持ち込む前にやっておくことはiCloudにデータをバックアップすることだけです」としていて、消去は店頭で行う前提になっています(来店前にApple Accountのパスワードを確かめておくよう案内があるのはこのためです)。
とはいえ、このあと挙げる6つは誰が消去する場合でも先に済ませておく必要があるものなので、やることは変わりません。
問題はその先です。ソフトバンクの下取りプログラム提供条件書(更新日2026年8月5日)には、こうあります。
(スマホ用電子証明書について)「対象機種を送付する前にご自身で失効手続をして頂く必要があります。(…)失効手続をする前に対象機種を初期化してしまうと、失効手続ができなくなってしまいますので、初期化する前に必要な手続を行ってください。」
auの案内も同じです。「端末を初期化する前にマイナポータルアプリのマイページから必要な手続きを行ってください」。
スマホにマイナンバーカードの機能を入れている人は、先に失効手続きをしないと、あとからできなくなります。初期化は一方通行です。
順番に意味があるものが、ほかにもあります。
初期化より先にやること6つ
順番に意味があるものを、公式の記述が確認できたものだけ挙げます。
1. スマホ用電子証明書(マイナンバーカード)を失効させる
前の章のとおりです。ソフトバンクとauの両方が、初期化前にやるよう明記しました。auの案内では、マイナポータルアプリのマイページから手続きします。
スマホにマイナンバーカードの機能を登録していない人には関係ありません。ただ、登録したかどうかを覚えていない場合は、マイナポータルアプリが入っているかだけでも見ておくと安心でしょう。
2. eSIMのプロファイルを削除する
ソフトバンクの提供条件書に「eSIMのプロファイルを対象機種に設定している場合は、初期化する前に、対象機種からeSIMのプロファイルの削除が必要となります」とあります。
iPhoneの場合は、Appleの公式ヘルプに「eSIMを搭載したデバイスを売却する場合は、デバイスとeSIMプロファイルを消去するかどうかを確認する画面で、消去する選択肢を選んでください」と書かれています。消去の途中で選択肢が出るので、そこで選べば足ります。
なお、ドコモとauの下取りページには、eSIMについての記載が見当たりませんでした。各社で案内が揃っていない部分なので、迷ったら契約先に確認するのが確実です。
3. おサイフケータイのICカード内データを削除する
初期化では消えないので、別に手続きが要ります。残るのは電子マネーの残高だけではありません。乗車券や定期券の情報、各サービスの会員IDも端末のICチップ側に残ります。
ドコモの端末には、おサイフケータイ対応サービスのデータをまとめて消す機能が用意されていますが、搭載している機種は限られます。手元の端末にその機能がなければ、電子マネーごとにアプリを開いて、退会や残高の移行を1つずつ進めることになります。
ここは件数しだいで時間がかかるので、下取りを申し込む前に着手しておくほうが安全です。詳しくは次の章で書きます。
4. Apple Watchのペアリングを解除する
Appleの案内では、iPhoneを消去する前にApple Watchのペアリングを解除します。ペアリングを解除すると、Apple Watchのバックアップが自動で作成され、アクティベーションロックも外れます。
順番としては、バックアップを取る、Apple Watchのペアリングを解除する、AppleCareプランを解約するか新しい持ち主へ移すかを決める、それからiPhoneを消去する、という流れです。AppleCareは放っておくと支払いが続くので、ここで決めておきます。
Androidから他社の端末に乗り換える場合は、iMessageの登録解除も案内されています。解除しないと、他の人からのSMSが届かなくなることがあります。
なおソフトバンクは、下取りに出すのがApple Watchやウェアラブル本体のときについて、別途「初期化前に当該サービスの登録情報を消去する必要があります」としています。こちらはiPhoneの話ではないので、混同しないでください。
5. 「修理を完了」が残っていれば解消する
これはiPhone特有です。部品を交換したあとに「修理を完了」の表示が残っていると、Appleの案内では下取りに出すこと自体ができません。「修理を完了できない場合、デバイスを下取りに出すことはできません」と書かれています。
6. Googleのパスワードを変えた直後なら24時間待つ
Androidの話です。Googleの公式ヘルプに「Googleアカウントのパスワードを再設定したばかりの場合は、再設定後、24時間経ってから、出荷時の設定にリセットしてください」とあります。
リセット後に端末を再び使うには、元のGoogleアカウントのパスワードを求められます。パスワードを変えた直後だと、この確認がうまくいかないことがある、ということでしょう。
- SIMカードとメモリカードを抜く。auは「下取り受付時にはメモリーカード、ストラップなどのアクセサリー・付属品などはすべてお客さまご自身で外してください」とし、「下取り受付後は、アクセサリー・付属品などはすべて廃棄します」としています。ソフトバンクはさらに踏み込んでいて、対象機種以外の物品が混ざっていた場合は所有権を放棄したものとみなして処分するとしています。入れ忘れたメモリカードは、まず戻ってきません
- AppleCareプランの扱いを決める。Appleは、解約するか新しい持ち主へ移すよう案内しています。他社の端末に乗り換えるなら、iMessageの登録解除も必要です
- 補償サービスの扱いを決める。ドコモは「補償対象機種を下取りに出した時点で提供が終了します」としています。一方で後述の買取プログラムのほうは、自分で解約しないと利用料金の請求が続くとされています
- Apple Storeに持ち込むなら、先にパスワードを確定させる。Appleは「来店前に、自分のパスワードを確認(またはわかるパスワードにリセット)しておいてください」と案内しています。「盗難デバイスの保護」を有効にしていると、店舗でのパスワード変更に1時間のセキュリティ遅延がかかることがあるためです
おサイフケータイは、初期化しても消えません
ここは独立して書きます。初期化すれば全部消えると思っていると、残ります。
ドコモのおサイフケータイのページに、はっきり書かれています。
同じページには「譲渡・廃棄・下取りなどにより、ご利用されていた機種を第三者が利用する可能性がある場合、必ず端末初期化、ICカード内データの削除を実施してください」という一文もあります。
一括で消す機能にも、例外があります。 ドコモの説明では「交通系ICカード以外の電子マネーなどICカード内データは削除されます」。つまり交通系は別扱いです。
交通系について、ドコモはこう続けています。「モバイルSuicaなど交通系ICカードはサーバー預け入れとなります。紐づくGoogleアカウントにて受け取りが可能です。端末を第三者へお渡しになる場合は、必ずGoogleアカウントも含めて削除するようご注意ください」。
残高の移し替えについては、各社とも「自分でやってください」という立場です。
- au:「ご利用されていた方(譲渡者)は各サービスの退会(解約)手続きを行ってから、ケータイ回線の譲渡手続きをしてください」
- ソフトバンク(機種変更の場合):「ソフトバンクでは、お客さまがご利用中のICカード内のデータを新しいFeliCa対応携帯電話に移し替えることはできません。お客さまご自身でデータ移行および削除をお願いいたします」
ドコモは、やらなかった場合についても書いています。「ICカード内データの移行や削除などを行わなかった場合、変更後の端末で継続利用できないことや、再発行手数料がかかる場合があります」。
なお、Androidでは少し助けがあります。Googleの案内によると、Android 15以降の端末で、使っているウォレットがこの機能に対応している場合に限り、残高のある交通系カードについて「出荷時の設定にリセットする前にバックアップするよう通知されます」。ただし通知が出るだけなので、気づかずに進めれば同じことです。
初期化でデータは消えるのか。iPhoneとAndroidで事情が違います

「初期化しても業者なら復元できる」という話を見かけます。ここは、確認できたことだけを書きます。
iPhone:Appleが仕組みを説明しています
AppleのAppleプラットフォームのセキュリティに、消去の仕組みが書かれています。ファイルを1つずつ消すのではなく、暗号の鍵のほうを消すという作りです。
「重要: このようにして鍵を消去すると、すべてのファイルが暗号の仕組みによってアクセス不可になります。」
原文は「復元不能」ではなく「暗号の仕組みによってアクセス不可になります」です。意味は近いのですが、書き換えずにそのまま受け取るほうが正確でしょう。
もうひとつ注意点があります。同じページの記述は「A9以降のSoCのSecure Enclaveでは」という限定つきです。かなり古い機種では事情が違う可能性があるので、「全部のiPhoneで同じ」とは言えません。
Android:同じ説明は見つかりませんでした
Googleの出荷時の設定にリセットするページには、「出荷時の設定にリセットすると、スマートフォンの全データが消去されます」とあります。ただし、暗号の鍵を消すという説明はありません。
端末の暗号化そのものは、新しいAndroidでは必須です。互換性定義文書(CDD)では、アプリのデータ領域の暗号化が必須とされています(共有ストレージについては「恒久的で取り外し不可能な場合」という条件つきです)。初期設定が終わった時点で有効になっていることも求められます。
ただしここにも条件があります。CDDは「このドキュメントよりも前のAPIレベルでリリースされたデバイスは、セクション9.9.2と9.9.3の要件を免除されます」としており、代わりにそのデバイスがリリースされたAPIレベルのCDDが適用されます。古い端末では、暗号化が既定で有効になっていない場合がありました。
結論としては、iPhoneとAndroidを同じ強さでは書けません。 Appleには鍵を消すという明確な説明があり、Androidには同等の一次情報が見つかりませんでした。これは「Androidが危ない」という意味ではなく、公式が説明している範囲が違うということです。
「業者なら復元できる」の出どころ
総務省の使わなくなった機器を放置しないようにしように、こう書かれています。
これはパソコンとハードディスクの話です。 同じページのスマートフォンの項には「初期設定状態にする機能が付いている場合は、購入初期状態にしてから廃棄しましょう」とあるだけで、復元のリスクには触れていません。
IPAも、機器全般の話として「製品に保存された情報は、購入時の状態に戻す(初期化)等をしないと完全に削除ができません」としています。こちらも、初期化を勧める方向の記述です。
よく見かける「初期化しても復元される」という話は、このPCの記述が混ざっている可能性があります。スマートフォンについて、公的機関や提供元の一次情報で「初期化後も復元できる」と書かれたものは見つかりませんでした。 かといって「絶対に復元できない」と断言できる材料もないので、ここは広げずに置いておきます。
減額される条件、そもそも受け付けてもらえない条件

ここは各社で書き方が違うので、条件が揃っていないという前提で読んでください。
| 会社 | 受け付けてもらえない例(原文から) |
|---|---|
| ソフトバンク | 電源が入らない/各種ロックが解除されていない/初期化されていない/製造番号が確認できない/改造(シールの貼付、塗装、刻印、部品交換など)やメーカー保証の対象外/SIMカードが取り出しできない。あわせて適用条件としてネットワーク利用制限の対象でないことも求めています |
| au | 電源が入らない/充電ができない/オールリセットが実施されていない/水濡れシールに水濡れ反応がある/製造番号が確認できない、改造など/基板が見えている、液晶面全体が蜘蛛の巣状に割れている |
| ドコモ | 初期化されていない/各種ロックが解除されていない/メーカー保証が対象外(改造など)/ネットワーク利用制限がかかっている/基板が断裂している |
auの「所有権がない」「ネットワーク利用制限されている」という2条件は、公式ページ上では「他社からのお乗りかえの場合」に限って挙げられています。 機種変更一般の話として読むと不正確なので、ここは分けて見てください。
減額の幅は、公式の価格表から読み取れます
ドコモは査定を「良品」「画面割れ品」「機能不良品」の3段階に分け、それぞれの金額を公開しています。しかも価格表は「ドコモが販売したiPhone」と「au/Softbank/Rakutenが販売したiPhone」の2つに分かれていました。
2026年10月1日以降の価格として掲示されているもので、iPhone Air 256GBを見るとこうなっています。ドコモが販売したものなら良品57,000円、画面割れ品17,100円、機能不良品17,100円。他社が販売したものだと良品と画面割れ品は同じですが、機能不良品は9,800円まで下がります(いずれも税込)。
画面が割れているだけで、ちょうど7割下がるということです。これは実際の公開価格なので、割れた画面を直してから出すか、そのまま出すかを考える材料になります。
auは破損品価格(iPhoneはDランク)が適用される条件を細かく出しました。画面割れや筐体の欠けのほか、「バッテリーが純正品ではない」「リアカバーが純正では無い」も入っています。非正規店で修理した端末は、ここに引っかかる可能性があります。
もっと該当者が多そうなのは、キズの条件です。auは「指の腹をあて、引っ掛かりがあるキズ」「背面、側面に擦りキズがあるもの」も破損品の条件に挙げています。割れていなくても、使い込んだ端末なら当てはまり得るということです。
付属品にも条件があります
ドコモは「装着しないと操作できない・正常に機能しない付属品(例:デュアルスクリーンなど)は本体と合わせて返却が必要です。返却がない場合は機能不良品扱いとなります」としています。
一方でauは、アクセサリー類は自分で外せという立場です。「下取り受付後は、アクセサリー・付属品などはすべて廃棄します」。
社によって逆なので、出す前にその会社のページを見てください。
送ったあとは戻せません。キャンセルできる最後の瞬間
ここが、この記事でいちばん伝えたい実務の話かもしれません。
ソフトバンクの提供条件書に、こうあります。
申し込みの画面で「減額なら返してほしい」と言っておくかどうかで、後戻りできるかが決まります。 言わずに送ると、提示された金額が想定の3分の1でも、そのまま確定します。
ほかの会社も同じ方向です。
- ソフトバンク:「お客さまが対象機種を回収に出した後は、本プログラムの申し込みを撤回し、又は取消すことはできません」
- Apple:「デバイスを発送済みの場合は、下取りのキャンセルはできません」。ただし続けて「ただし、デバイスの検査後に、新しい下取り額として最初に知らされていた額よりも低いものが通知された場合は、これを拒否することができます」とあり、拒否すれば「Appleは下取りをキャンセルし、デバイスをお返しします」
- ドコモ:「下取り申込み受付後の機種やアクセサリーの返却はお受けできません」
- au:返却は「回収キットに同封の特典利用申込書にてお申し出いただいた場合に限り」
期限もあります。Appleは「新しいデバイスを受け取ってから14日以内に、下取りに出すデバイスがAppleのパートナー会社に到着する必要があります」。ソフトバンクは申込から14日以内に送付キットを受け取り、受け取ってから14日以内に到着、という二段構えです。
さらに、受け取らずに放置した場合の扱いも決まっていました。ドコモは「3か月以内に受け取りがない場合は下取り申込機種を処分」、ソフトバンクは「3ヵ月以内に(…)お受け取りいただけないときは、所有権を放棄したものとみなし(…)処分します」としています。
Appleには、もうひとつ注意点があります。分割払いで購入して下取り分の割引を先に受けている場合、「状態が情報と異なっていた場合は、ご購入時の支払い方法に差額を請求させていただきます」とされています。ただしその際は「下取りを進めることをまだご希望されるかを確認いたします」とも書かれているので、黙って請求されるわけではありません。
残債があるのと、支払いが滞っているのは別の話です
ここは混同されやすいところなので、分けて整理します。
残債があっても、下取りには出せます。 ただし支払いは続きます。auは「下取り機種に分割支払いの残債がある場合は、引き続きお支払いいただきます」、ドコモも「下取り申込機種などに分割払いの未払い残高がある場合は、継続してお支払いいただきます」としています。
滞納している場合は、下取りそのものができません。 ドコモは申込み条件に「その購入において不備・不正・未払いがないこと」を挙げています。ソフトバンクも「対象機種の査定が完了するまで、お客さまが当社に負担する債務の支払いを怠っていないこと」を条件にしています。
そしてここが効いてきます。支払いを止めると、ネットワーク利用制限の対象になり得ます。
auのネットワーク利用制限のページは、対象に「代金債務(立替払などに係る債務を含む)の履行がなされていない携帯電話機」を挙げました。ソフトバンクのページにも同じ趣旨の事由が並びます。
利用制限がかかると、ドコモでは受付不可品になり、ソフトバンクも適用条件を満たさなくなります。しかもソフトバンクは「利用制限が実施された携帯電話機の利用制限解除はいたしません」としています。
つまり、自分が払わないと、その端末を次に使う人が使えなくなるということです。中古で買うときにIMEIで確認するよう各社が案内しているのは、このためです。IMEIの調べ方は会社によって案内が違い、ソフトバンクはダイヤルキーで「*#06#」と入力する方法を載せています。
端末の返却を前提にした購入プログラムに入っている場合、下取りに出すと特典が受けられなくなることがあります。auは「スマホトクするプログラム+/スマホトクするプログラムで購入した機種を下取りに出した場合、加入中のプログラムの特典は受けられなくなります」としています。ソフトバンクも、新トクするサポート等との併用はできないとしています。
ドコモは買取プログラムについても注意を出しています。「スマホおかえしプログラム」や「いつでもカエドキプログラム」に加入している人が買取プログラムを申し込んだあとで機種の返却を申し込むと、違約金が発生する可能性がある、という内容です。
どちらが得かは残債と下取り額の比較になるので、出す前に両方の金額を出して比べてください。
買取店に売る場合の違い
キャリアの下取りではなく、買取店に売る選択肢もあります。違いについては、ドコモが自社ページで比較表を出しました。
ドコモの「買取プログラム」は株式会社Belongが提供するサービスです。ドコモ自身の説明はこうです。「ドコモが提供する下取りプログラムとは対象機種・価格が異なる場合がございます。また、ドコモはその買取や買取価格に関して何ら保証するものではなく、お客さまと『株式会社Belong』との間で買取に関して生じた問題についてドコモは責任を負いかねます」。
還元の形も違います。下取りは機種代金の割引かdポイント、買取は現金振り込み。対象も、下取りはそのキャリアで買った人に限られますが、買取は誰でも出せます。
本人確認について、よくある説明は正確ではありません
「買取には法律で本人確認が必要」と書かれているのをよく見かけます。ただ、条文を読むと少し事情が違います。
古物営業法第15条は、古物商に相手方の確認を義務づけました。ただし同条第2項に例外があり、「対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合」は、その措置が不要になります。
その金額は、古物営業法施行規則第16条で1万円と定められています。例外から外れる品目も列挙されていますが(自動二輪車、ゲームソフト、光ディスク、書籍など7項目)、携帯電話・スマートフォンはそこに入っていません。
つまり、法律上は、1万円未満のスマホ買取で本人確認の措置は求められていません。
ただし実務は別です。ソフトバンクは提供条件書で「古物営業法に基づく本人確認を受けたこと」を適用条件にし、「当該手続きに従わない場合は、本プログラムの適用を受けることはできません」としています。ドコモのページでも、買取プログラム(株式会社Belong)について運転免許証・マイナンバーカード・在留カードのいずれかを準備するよう案内があります。
法律が求めていないことと、会社が求めないことは別です。身分証は用意しておくものと考えてください。
なお、auの条件には「ご契約者が未成年の場合、下取りには保護者・親権者の同伴または同意書が必要です」という一文もありました。
今日からできること
3つあります。順番そのものが大事です。
ひとつめ、5分。初期化する前に、6つのうち自分に当てはまるものを確認する。
マイナンバーカードの機能を入れていないか。eSIMを使っているか。おサイフケータイに残高があるか。Apple Watchを使っているか。非正規店で修理したことがあるか。最近Googleのパスワードを変えたか。
当てはまるものがひとつでもあれば、初期化はまだです。 とくにマイナンバーカードの機能は、初期化してしまうと失効手続きができなくなります。
ふたつめ、10分。出す前に、自分の端末がどの査定に落ちるか調べる。
ドコモは「良品」「画面割れ品」「機能不良品」の金額を公開しています。画面が割れているなら、公開価格を見て、修理してから出すかを比べられます。auは破損品の条件を細かく出しているので、「バッテリーが純正品ではない」などに当てはまらないかを見ておきます。
あわせて、端末の返却を前提にしたプログラムに入っていないかを確認してください。入っているなら、下取りに出すと特典を失う可能性があります。残債と下取り額を並べて比べる、ということです。
みっつめ、1分。申し込み画面で「減額なら返却」を選べるなら、選ぶ。
ソフトバンクの場合、申し込みの時点でこれを申し出ていないと、どんな査定結果でもキャンセルできません。たった1クリックですが、後戻りできるかどうかがここで決まります。
送ってしまってからでは遅いので、申し込みの画面をよく読んでください。「このまま進む」を押す前に、返却条件の記載を探す。それだけです。
まとめ
スマホを下取りに出すとき、キャリアの下取りでは初期化が必須です。Apple Storeに持ち込む場合はAppleが「持ち込む前にやっておくことはiCloudへのバックアップだけ」としていますが、下に挙げた6つは、誰が消去する場合でも先に済ませておくものです。
ただし初期化は一方通行で、先にやると戻せない手続きがあります。公式が「初期化する前に」と明記しているのは、スマホ用電子証明書(マイナンバーカード)の失効とeSIMプロファイルの削除。そしておサイフケータイのICカード内データは、初期化しても消えません。
データが消えるかどうかは、iPhoneとAndroidで公式の説明量が違います。Appleは「鍵を消去すると、すべてのファイルが暗号の仕組みによってアクセス不可になります」と仕組みまで書いていますが、Androidに同等の記述は見つかりませんでした。なお「初期化しても業者なら復元できる」という話について、スマートフォンでそれを裏づける一次情報は見当たりません。総務省が復元に触れているのは、パソコンとハードディスクの箇所です。
減額の幅は小さくありません。ドコモの公開価格では、ドコモが販売したiPhone Air 256GBが良品57,000円に対して画面割れ品17,100円。割れているだけでちょうど7割下がります。
そして、送ったあとは戻せません。 ソフトバンクは、申し込みの時点で「減額なら返却」を申し出ていないと、いかなる査定結果でもキャンセルを受け付けないとしています。Appleは発送後のキャンセルはできないものの、当初より低い下取り額を通知された場合はそれを拒否でき、拒否すれば返却されます。
残債があっても下取りには出せますが、支払いは続きます。滞納している場合は下取り自体ができず、さらにネットワーク利用制限の対象になり得ます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 下取りに出すとき、初期化は必要ですか?
キャリアの下取りでは必要です。ドコモは受付不可品の例に「初期化されていない」を挙げ、ソフトバンクは提供条件書で「初期化されていないこと」に該当する場合は特典を付与しないとしています。auも下取りできない例に「オールリセットが実施されていない」を挙げています。一方でApple Storeに持ち込む場合、Appleは「デバイスを持ち込む前にやっておくことはiCloudにデータをバックアップすることだけです」としており、消去は店頭で行う前提です。ただしどちらの場合も、初期化より先に済ませておく手続きがあるので順番には注意してください。
Q2. 初期化する前にやらないといけないことは何ですか?
公式が「初期化する前に」と明記しているのは2つです。ひとつはスマホ用電子証明書(マイナンバーカード機能)の失効手続きで、ソフトバンクは「失効手続をする前に対象機種を初期化してしまうと、失効手続ができなくなってしまいます」としています。もうひとつはeSIMプロファイルの削除です。このほか、おサイフケータイのICカード内データの削除、Apple Watchのペアリング解除、iPhoneで「修理を完了」が残っている場合の解消、Androidでパスワードを変えた直後なら24時間待つこと、が案内されています。
Q3. 初期化すればおサイフケータイの残高も消えますか?
消えません。ドコモは「初期化操作では、端末内ICカードに登録されているおサイフケータイ対応サービスのICカード内データは削除されません。別途、ICカード内データの削除が必要です」と明記しています。一括消去の機能にも例外があり、ドコモの説明では「交通系ICカード以外の電子マネーなどICカード内データは削除されます」とされています。交通系はサーバー預け入れでGoogleアカウントに紐づくため、端末を渡す場合はGoogleアカウントも削除するよう案内されています。
Q4. 初期化したデータは、専門業者なら復元できるのですか?
スマートフォンについて、それを裏づける公的機関や提供元の一次情報は見つかりませんでした。総務省のページに「フォーマットしただけでは復元が可能」という趣旨の記述がありますが、これはパソコンとハードディスクについての箇所で、同じページのスマートフォンの項では復元のリスクに触れていません。なおiPhoneについては、Appleが「鍵を消去すると、すべてのファイルが暗号の仕組みによってアクセス不可になります」と説明しています。
Q5. AndroidもiPhoneと同じように安全に消えますか?
公式が説明している範囲が違います。Appleは暗号の鍵を消去する仕組みまで公開していますが、Googleの消費者向けページには「全データが消去されます」とあるだけで、鍵についての説明はありません。Androidの端末暗号化そのものは新しいバージョンでは必須ですが、互換性定義文書は「このドキュメントよりも前のAPIレベルでリリースされたデバイスは、セクション9.9.2と9.9.3の要件を免除されます」としており、そのデバイスがリリースされたAPIレベルのCDDが適用されます。古い端末では既定で暗号化が有効でない場合がありました。Androidが危険という意味ではなく、公表されている情報の量が違うということです。
Q6. 画面が割れていると、下取り額はどれくらい下がりますか?
ドコモは査定を「良品」「画面割れ品」「機能不良品」の3段階に分けて金額を公開しており、価格表は「ドコモが販売したiPhone」と「au/Softbank/Rakutenが販売したiPhone」で分かれています。2026年10月1日以降の価格で、iPhone Air 256GBはドコモが販売したものなら良品57,000円・画面割れ品17,100円・機能不良品17,100円、他社が販売したものなら機能不良品だけ9,800円です(税込)。画面割れでちょうど7割下がる計算になります。機種によって金額は違うので、出す前に公式の価格表で自分の機種を確認してください。なおauは破損品価格が適用される条件として、画面割れのほかに「バッテリーが純正品ではない」「リアカバーが純正では無い」なども挙げています。
Q7. 査定額に納得できなかったら、返してもらえますか?
条件つきです。ソフトバンクは「本プログラムに申し込みをする時点で、特典を減額する査定結果であるときは対象機種の返却を希望することを申し出ていた」場合に限り返却するとしており、「当該返却の申し出を行わなかった場合は、いかなる査定結果であっても、その後のキャンセルは受付られません」としています。auも回収キットに同封の申込書で申し出た場合に限るとしています。Appleは「デバイスを発送済みの場合は、下取りのキャンセルはできません」としていますが、続けて「デバイスの検査後に、新しい下取り額として最初に知らされていた額よりも低いものが通知された場合は、これを拒否することができます」とあり、拒否すればデバイスは返却されます。ドコモは「下取り申込み受付後の機種やアクセサリーの返却はお受けできません」としています。申し込みの画面で返却条件を確認してから進めてください。
Q8. 分割の残債が残っていても下取りに出せますか?
出せます。ただし支払いは続きます。auは「下取り機種に分割支払いの残債がある場合は、引き続きお支払いいただきます」、ドコモも「分割払いの未払い残高がある場合は、継続してお支払いいただきます」としています。残債があることと、支払いが滞っていることは別です。滞納している場合は下取り自体ができず、ドコモは申込み条件に「不備・不正・未払いがないこと」を挙げています。また端末の返却を前提にしたプログラムに加入している場合、下取りに出すと特典を受けられなくなることがあります。
Q9. 買取店に売るときは、必ず身分証が必要ですか?
法律上は、必ずではありません。古物営業法第15条は古物商に相手方の確認を義務づけていますが、同条第2項で「対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引」は除かれ、その金額は施行規則第16条で1万円と定められています。例外から外れる品目は自動二輪車・ゲームソフト・光ディスク・書籍など7項目で、携帯電話はそこに入っていません。ただし実務では各社が自社の条件として本人確認を求めており、ソフトバンクは「当該手続きに従わない場合は、本プログラムの適用を受けることはできません」としています。ドコモも買取プログラムについて運転免許証などの準備を案内しています。身分証は用意しておくものと考えてください。
Q10. 下取り価格は、いつの時点のものが適用されますか?
会社と申込形態で違います。auは「au Online Shopにて注文が完了し当社審査後、登録完了時点の条件が適用されます」とし、不備で再申込になった場合は「再注文時点の条件」になるとしています。ドコモは機種変更なら注文完了日時点、新規契約やのりかえなら「ドコモ側の本登録が完了した日の価格」で、申込から本登録まで3日から1週間ほどかかるとしています。Appleは「下取り額は、新しいデバイスを受け取ってから14日間有効」です。auは「時期により条件・下取り対象機種・還元ポイント数が変更または終了する場合があります」ともしています。
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