
新NISAで投資信託を選ぶとき、「オルカン」と「NASDAQ100」のどちらにするか迷う人は少なくありません。どちらも新NISAで人気上位の投資信託ですが、投資対象も、NISA制度上の扱いも異なります。
この記事では、20代が知っておきたい2つの違いと、タイプ別の選び方をまとめました。
オルカン・NASDAQ100とは何か
- オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)):世界47カ国・約3,000銘柄の株式にまとめて分散投資できる投資信託です。「オール・カントリー」の略で「オルカン」と呼ばれています。ただし内訳を見ると米国株が約62%を占めており、「全世界」といっても米国経済の影響を強く受ける構成になっています
- NASDAQ100(eMAXIS NASDAQ100インデックス):米ナスダック市場に上場する主要100銘柄に投資する投資信託です。Apple・Microsoft・NVIDIAなど、米国の大型ハイテク企業が中心の構成になっています
なお比較検討の際には、この2つに加えて「S&P500(米国主要500社)」も候補に挙がることがよくあります。S&P500はオルカンと同じく低コストで、米国株式市場に絞って投資したい人の間で人気のある選択肢です。詳しい違いは後述の比較表にまとめています。
どちらも新NISAの「つみたて投資枠」対象商品としてイメージされがちですが、ここに見落としやすい制度上の違いがあります。
【重要】NASDAQ100は「成長投資枠」限定という制度上の注意点
三菱UFJアセットマネジメント公式のよくある質問によると、eMAXIS NASDAQ100インデックスは、2026年時点で新NISAの「つみたて投資枠」の対象ファンドではありません。理由は、連動対象のインデックスが金融庁の定める「つみたて投資枠」対象要件を満たしていないためです。現在は「成長投資枠」のみで購入できます。
公式FAQでは、2027年1月の決算時点で基準計算期間が5年以上となるため、他の要件も満たしていれば「つみたて投資枠」への対象追加を届出できる見込みだとされています。ただし2026年時点では未対応のため、現時点でNASDAQ100を選ぶ場合は成長投資枠を使う前提で考える必要があります。
一方、オルカンとS&P500(後述)は、つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも購入可能です。「毎月自動でコツコツ積み立てたい」だけなら、まずはつみたて投資枠が使えるオルカンかS&P500が候補になり、NASDAQ100を組み込みたい場合は、その分を成長投資枠で購入するという枠の使い分けが必要になります。
信託報酬・投資対象の違い

信託報酬(保有中に継続的にかかるコスト)を比較すると、次のようになります。
| ファンド | 信託報酬(年率・税込) | 投資対象 | NISA対象枠 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | 0.05775% | 世界47カ国・約3,000銘柄(米国比率約62%) | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0814%(2025年1月引き下げ後) | 米国主要500社 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| eMAXIS NASDAQ100インデックス | 0.2035% | 米ナスダック上場の主要100社(ハイテク中心) | 成長投資枠のみ |
信託報酬だけを見ると、オルカンが最も低コストで、NASDAQ100は他の2つの約2.5〜3.5倍のコストがかかります。ただし信託報酬の高さは、より特定の分野(ハイテク企業)に絞り込んで運用するファンドである以上、ある程度は避けられない部分でもあります。
仮に毎月3万円を20年間、年利5%(信託報酬控除後)で運用できたとして試算すると、オルカンの信託報酬(0.05775%)とNASDAQ100の信託報酬(0.2035%)の差だけで、20年後の資産額に**約19万円**の差が生まれる計算になります(あくまで年利5%という一定の前提を置いたシミュレーションであり、実際のリターンを保証するものではありません)。信託報酬の差は小さく見えても、運用期間が長くなるほど無視できない金額になっていきます。
オルカンとNASDAQ100、実は値動きが似ている
「全世界」と「米国ハイテク」で、投資対象は一見まったく別物に見えます。しかし実際には、eMAXIS Slim全世界株式とNASDAQ100の週次相関係数は過去2年で約0.91という、非常に高い相関があるというデータがあります。オルカンの構成銘柄の中心も米国の大型ハイテク企業であるため、両方を保有しても、思ったほど値動きが分散されない可能性がある、という点は理解しておく必要があります。
タイプ別、どちらが向いているか

- 「投資はこれ1本で完結させたい」タイプ:オルカンが向いています。信託報酬が最も低く、地域も企業もあらかじめ広く分散されているため、値動きに一喜一憂しにくいのが特長です。具体的には、毎月の積立額を決めたら、あとは基本的に商品を追加で選ばずに継続するだけで済みます
- 「制度をシンプルに使いたい」タイプ:つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも買えるオルカンかS&P500がおすすめです。枠を使い分ける手間を避けられます。たとえば毎月の積立額をすべてつみたて投資枠だけで完結させたい場合、対象外のNASDAQ100は選択肢から外れます
- 「米国のハイテク成長企業に積極的に投資したい」タイプ:NASDAQ100が候補になります。ただし成長投資枠を使う必要がある点、信託報酬が相対的に高い点、オルカンとの相関が高く分散効果が限定的な点は理解した上で選びましょう。実際に組み込む場合は、まずは月々の投資額の一部(例:全体の2〜3割程度)から始め、値動きに慣れてから比率を調整する方法もあります
「両方買う」という選択肢もある
「オルカンをベースに、NASDAQ100で成長性を上乗せする」という組み合わせ方をする人もいます。ただし、両方に半分ずつ投資すると、全体に占める米国株式の割合は約80%まで高まるという試算もあり、「分散投資のつもりが、実は米国集中投資に近くなっていた」ということも起こり得ます。組み合わせる場合は、全体の資産配分の中で米国株がどれくらいの比率になっているかを、定期的に確認することをおすすめします。
まとめ
オルカンとNASDAQ100は、投資対象・信託報酬・NISA制度上の扱いのいずれも異なります。特にNASDAQ100が現時点で成長投資枠限定である点は見落とされがちな重要なポイントです。「まずはこれ1本」で始めたいなら低コストで分散されたオルカン、米国ハイテク企業への投資を積極的に増やしたいならNASDAQ100を成長投資枠で、という基準で考えると選びやすくなります。
どちらを選んでも「絶対の正解」はありません。大切なのは、自分がどの枠をどう使いたいか、コストと値動きの振れ幅をどこまで許容できるかを理解した上で、納得して選ぶことです。迷ったときは、まずはオルカン1本から始めて、投資に慣れてきた段階でNASDAQ100を成長投資枠で少しずつ組み込んでいくという進め方も、無理のない選択肢の一つです。
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