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テレアポの受付突破|ブロックされる本当の理由と、嘘をつかずに取り次がれる組み立て方

受付は門番ではなく「振り分け係」

受付突破の話は、たいてい「どう断りをかわすか」から始まります。この入口が、そもそも間違っています。

受付の仕事は、電話を切ることではありません。かかってきた電話を、正しい相手に回すことです。切られるのは、あなたが嫌われたからではなく、回す先を判断できなかったからです。判断材料が揃っていれば、受付は取り次ぎます。それが仕事だからです。

つまり受付突破とは、説得ではなく情報提供の問題です。受付が数秒で下している判断を分解すると、次のようになります。

営業電話が入る誰宛か、明確か部署名・役職名が出てくるかここで切られる用件が一言で分かるか説明が長いと判断できないここで切られる今つなぐ理由があるか後日でよいなら後回しになる「伝えておきます」で終わる担当者へ取り次ぎ受付は断っているのではなく、判断できないから切っている。埋めるべきは説得力ではなく、判断材料。

受付が数秒で下している判断。3つの関門はいずれも「情報が足りるか」で決まる。

切られる4つの原因

上の分岐を、実際の電話で起きていることに置き換えると、切られる理由は4つに整理できます。自分の架電がどれに当たっているかを先に特定してください。原因が違えば直す場所も違います。

原因 受付側で起きていること 直す場所
誰宛か分からない 「ご担当者様」だけでは、どの部署の誰に回せばいいか決められない 架電前の調査。部署名か役職名まで持ってから電話する
用件が分からない 説明が長く、要約できないので取り次ぎの判断ができない 用件を一文に圧縮する。修飾を全部落とす
今である理由がない 急ぎでないと判断され、「伝えておきます」で保留になる なぜ今なのかを一言足す。ただし急かさない
名乗りが不自然 言い回しが営業テンプレ特有で、警戒される 過剰な敬語と定型句を削る。普通の業務連絡の口調にする

この4つのうち、実務で最も多いのは1つ目であり、そして最も直しやすいのも1つ目です。話し方を練習するより、架電前に調べる時間を5分増やすほうが効果が出ます。

嘘で突破する方法を使わない

受付突破のノウハウを検索すると、次のような手法が出てきます。

  • 担当者の名前を知っているふりをして「◯◯様はいらっしゃいますか」と言う
  • 「以前お話しした件で」と、実際にはない過去の接点をほのめかす
  • 営業だと分からないように用件をぼかす

これらは使わないでください。短期的には取り次がれることがありますが、実務では割に合いません。理由は4つあります。

嘘が割に合わない理由

1. 受付は記録している。営業電話の履歴を残している会社は珍しくありません。「以前お話しした件」が記録に無ければ、その場で分かります。

2. 社名単位でブロックされる。担当者を騙して繋いだ場合、失うのはその1件ではなく、その会社への今後のすべての接点です。

3. 営業代行なら、傷つくのはクライアントの看板。自社の名前で電話しているわけではない以上、損害は依頼元に及びます。これは受注を失う以上の問題です。

4. 繋がった先で必ず不利になる。嘘で入った相手は、最初の一言で警戒しています。そこから信頼を積むほうが、正面から入るより難しい。

そして重要なのは、嘘の手法が効いて見える理由は、嘘そのものではないという点です。「◯◯様はいらっしゃいますか」が効くのは、名指しだからです。名指しは、調べれば嘘をつかなくてもできます。次章はその話です。

取り次がれる名乗りの組み立て方

ここが本題です。受付が判断できる情報を、短い順に並べるだけで、突破率は変わります。順番が重要で、要素は4つです。

4つの要素と、その順番

  1. 社名と自分の名前。ここを省略しない。省略すると警戒される
  2. 誰宛か。部署名、可能なら役職名。ここが最も効く
  3. 用件を一文で。何の話かが分かる最小限。売り込み文句は入れない
  4. 今である理由。一言。無い場合は無理に作らない

この4つを、修飾を削って並べます。実際の形にすると次のようになります。

株式会社◯◯の(自分の名前)と申します。

採用のご担当部署にお繋ぎいただけますでしょうか。

中途採用の募集方法について、
1点だけ確認させていただきたいことがあり
お電話しました。

ご担当の方のお手すきの時間だけで結構です。

名乗りの基本形。カッコ内は自社の情報に置き換えて使います。

この形が効く理由を、一行ずつ

「採用のご担当部署に」と部署で指定しているのが、この形の核心です。個人名を知らなくても、部署名なら調べられますし、知らなくても業種から推測できます。受付は「誰に回すか」さえ決まれば動けます。「ご担当者様」との差はここです。

「1点だけ確認させていただきたいことがあり」は、用件の圧縮です。売り込みの言葉を一切入れていません。入れた瞬間に営業電話として処理されます。ここで伝えるべきなのは商品価値ではなく、何の話題かだけです。

「お手すきの時間だけで結構です」は、受付の負担を下げる一言です。受付がためらう最大の理由は「担当者の時間を奪う電話を通していいのか」という判断です。ここを先に軽くしておきます。

部署名が分からない業種のとき

会社によっては、公式サイトを見ても部署の呼び名が分からないことがあります。中小企業では、そもそも部署が明確に分かれていないことも珍しくありません。そのときは部署名ではなく、機能で指定します。「何をしている人か」で言えば、受付は社内の役割分担を知っているので回せます。

たとえば「経理部の方」ではなく「請求書の処理をご担当されている方」、「情報システム部の方」ではなく「社内のパソコンやシステムをご担当されている方」と言い換えます。部署名を間違えるより、機能で言うほうが確実です。間違った部署名を出すと、その時点で社外の人間だと分かってしまい、警戒が上がります。

株式会社◯◯の(自分の名前)と申します。

社内で使われているパソコンやシステムの管理を
ご担当されている方にお繋ぎいただけますでしょうか。

セキュリティ対策の見直しについて、
現在どのような状況か伺えればと思いお電話しました。

担当の方のお名前が分からず、恐れ入ります。

機能で指定する形。最後の一言で、名前を知らないことを正直に伝えている。

最後の「お名前が分からず、恐れ入ります」は省略しないでください。知らないことを先に開示すると、受付は「調べずにかけてきた迷惑電話」ではなく「調べたが分からなかった相手」として扱います。ここを隠そうとするから、名前を知っているふりをする方向に流れてしまうのです。

架電前に調べておく3つ

上の形を使うには、電話の前に情報が要ります。1社あたり数分で終わる範囲で構いません。

  • 担当部署の呼び名。同じ機能でも会社によって呼び方が違います。採用なら「人事部」「人材開発部」「採用グループ」。公式サイトの会社概要か採用ページで確認できます
  • 直近の公開情報。新サービス、出店、採用強化など。「今である理由」に使えることがあります。無理に使わなくてよいので、あれば拾う程度で構いません
  • 問い合わせ窓口の形。代表電話しかないのか、部署直通があるのか。直通があるなら受付を経由しません

やりがちな言い方と、その直し方

やりがちな言い方 受付にどう聞こえるか 直した形
「ご担当者様はいらっしゃいますか」 誰に回せばいいか決められない 「採用のご担当部署にお繋ぎいただけますか」
「お世話になっております」(初回で) 取引があると誤認させる言い方。後で分かると印象が悪い 「初めてお電話いたします」と正直に言う
「弊社は◯◯を提供しておりまして…」と説明を続ける 長い。要約できないので判断できない 話題だけ一文で言い、詳細は担当者に話す
「少しだけお時間よろしいでしょうか」 受付にとっては答えようのない質問。自分が判断者ではない 受付には時間を聞かず、取り次ぎだけを依頼する
「社長様はいらっしゃいますか」 役職が高すぎると、かえって取り次ぎのハードルが上がる 実務の担当部署を指定する

口調について

敬語は正確であれば十分で、丁寧にすればするほど良いわけではありません。過剰な敬語は営業電話の特徴として認識されています。目指すのは、取引先からの普通の業務連絡と同じ温度です。早口も避けてください。早口は聞き取れないだけでなく、台本を読んでいる印象を与えます。

取り次がれた直後の30秒

受付突破の解説は、たいてい取り次がれたところで終わります。しかし実務では、そこからが本番です。せっかく繋がっても最初の30秒で切られるなら、突破率を上げても意味がありません。

担当者に代わった直後に起きていることを整理します。担当者は、受付から「営業の電話です」とだけ聞いて出ています。何の用件かを知らないまま、作業を中断して電話に出ている状態です。ここで受付に言ったのと同じ説明を繰り返すと、担当者にとっては初耳の話が唐突に始まることになります。

最初に言うべき3つ

  1. もう一度名乗る。受付が社名を正確に伝えているとは限りません
  2. 今話せるかを確認する。受付には聞かなかった質問を、ここでは必ず聞きます。担当者は判断できる立場にいるからです
  3. 用件を、受付に言ったときより一段だけ具体的にする。受付向けは「何の話題か」でしたが、担当者向けは「何を聞きたいか」まで進めます
お忙しいところ恐れ入ります。
改めまして、株式会社◯◯の(自分の名前)と申します。

2〜3分だけお時間いただいてもよろしいでしょうか。

中途採用の募集について伺いたく、
現在は求人媒体と人材紹介の
どちらを中心に進めていらっしゃいますか。

取り次がれた直後の型。最後を質問で終えて、相手に話してもらう形にしている。

なぜ最後を質問で終えるのか

ここで自社サービスの説明を始めると、担当者は聞く側に固定されます。聞く側に固定された相手は、区切りのいいところで断ります。逆に最初に質問を置くと、相手が話す側になります。相手が話している間は、電話は切られません。

質問は、答えやすいものを選んでください。「何かお困りごとはありますか」のような漠然とした質問は、答えるのに考える負荷がかかるため「特にありません」で終わります。上の例のように二択で聞くと、相手は選ぶだけで答えられます。そして返ってきた答えが、そのまま次の質問の材料になります。

「2〜3分だけ」を省略しない

時間を先に区切ると、相手は終わりが見えるので聞く姿勢を作れます。区切らないと「長くなりそうだ」と判断された時点で切られます。そして言った時間は守ってください。3分と言って10分話すと、次の接点は失われます。話が続きそうなら、自分から一度区切って改めて時間をもらうほうが、結果的に前に進みます。

「資料を送っておいて」と言われたら

取り次がれた直後に最も多く返ってくる言葉です。ここで素直に送って終わると、ほぼ何も起きません。断りの定型句として使われていることが多いためです。

送る前に、一往復だけ挟んでください。「どの部分を重点的にまとめればよろしいでしょうか」と聞きます。ここで具体的な要望が返ってくれば、関心があります。「とりあえず一式で」と返ってくれば、断りの定型句です。前者なら要望に沿った資料を作って送り、後者なら資料を送らずに、次に連絡してよい時期だけ確認して引くほうが接点は残ります。

この一往復は、相手の時間を奪いません。10秒で終わりますし、こちらの手間も減ります。読まれない資料を作る時間が浮くからです。

一度断られた後の一往復

「間に合っています」「結構です」と言われた後の対応です。ここで粘る方法を探す人が多いのですが、粘っても取り次がれません。受付には決裁権がないので、押しても判断が変わらないからです。

やることは2つだけです。

1. 断りが「受付の判断」か「担当者の判断」かを確認する

受付が自分の判断で断っている場合と、担当者に確認したうえで断っている場合では、次の打ち手が変わります。確認する言い方は、詰問にならないようにします。

承知いたしました。ありがとうございます。

念のための確認なのですが、
ご担当の方にはすでにお話がいっている状況でしょうか。

もしまだでしたら、改めてご都合のよい時期に
ご連絡さしあげたいと思っております。

断られた直後の一往復。粘るためではなく、状況を把握するための質問。

2. 次に繋がる形で引く

ここで引き際を誤ると、社名を覚えられて次回が難しくなります。引くときは、次の接点を残す形で終えます。具体的には「いつ頃であれば」を聞いておく、あるいは自分から時期を提示して確認を取る。どちらでも構いませんが、何も残さずに切らないことです。

時期を提示する場合は、幅を持たせずに具体的に言うほうが返事をもらえます。「またご連絡します」では相手に何も残りません。「来月の中旬あたりに改めてご連絡してもよろしいでしょうか」と、月と時期まで言い切ってから確認を取ります。断られればその場で分かりますし、了承されればそれが次回の入り口になります。

なお、断られた際に資料送付へ切り替える方法がよく紹介されますが、これは慎重に扱ってください。送ること自体が目的化しやすく、送付後に何も起きないケースが多いためです。資料を送るなら、送った後に何をするかまで決まっているときだけにします。決まっていないなら、送らずに時期を確認して引くほうが次に繋がります。

受付突破は、リストの質で半分決まる

ここまで話し方の話をしてきましたが、実際には架電する前の段階で勝負の半分がついています。

担当部署が分かっているリストと、社名と代表電話しか入っていないリストでは、同じ人が同じトークで架電しても結果が変わります。前者は「採用のご担当部署に」と言えますが、後者は「ご担当者様」としか言えないからです。切られる原因の1位を、リスト側で先に潰しておくという考え方です。

リストに持っておくと効く列は、次の3つです。

  • 担当部署の呼び名。公式サイトから拾える範囲でよい
  • 問い合わせ窓口の形。代表電話のみか、部署直通があるか、フォームのみか
  • 受付の反応の記録。断られた理由と時期。次回に同じ入り方をしないため

3つ目は特に軽視されがちですが、蓄積すると効きます。同じ会社に3か月後に架電するとき、前回何を言って何と言われたかが残っていれば、入り方を変えられます。残っていなければ、前回と同じ入り方を繰り返すことになります。営業リストの作り方そのものについては、営業リスト作成をAIでやる方法で手順まで書いています。

「受付突破率20%」を鵜呑みにしない

受付突破について調べると、「受付突破率の平均は20%程度」という数字が複数のサイトで見つかります。ただし、この数字の一次的な出典にはたどり着けませんでした。各社が互いを参照している状態に見えます。

突破率は、業種・商材・リストの質・架電する時間帯で大きく変わります。他社の平均値を目標に置いても、自社の改善には使えません。使えるのは自分の数字だけです。

測るのは3つだけ

数字 数え方 これが低いときに直す場所
接続数 ÷ 架電数 そもそも人が出た割合 架電する時間帯、リストの電話番号の鮮度
受付通過数 ÷ 接続数 受付が取り次いだ割合 名乗りの組み立て、リストの担当部署の情報
担当者接触数 ÷ 受付通過数 取り次がれた後、実際に担当者と話せた割合 架電する時間帯、担当者の不在パターン

この3つを分けて数えると、詰まっている場所が特定できます。「アポが取れない」という1つの数字だけを見ていると、原因がリストなのか名乗りなのか時間帯なのか分かりません。分けて数えることが、改善の前提です。

記録は複雑にしないでください。架電のたびに、日時・接続の可否・受付通過の可否・断られた理由の4項目だけ残せば足ります。項目を増やすと記録が続かなくなり、結局何も残りません。

まとめ

  • 受付は門番ではなく振り分け係。切られるのは断られたからではなく、回す先を判断できないから
  • 切られる原因は4つ。最も多く、最も直しやすいのは「誰宛か分からない」
  • 嘘で突破する手法は使わない。社名単位でブロックされ、営業代行ならクライアントの看板を傷つける
  • 名乗りは4要素(社名と名前/誰宛か/用件を一文/今である理由)を、修飾を削って並べる
  • 「ご担当者様」ではなく部署名で指定する。個人名を知らなくても調べられる
  • 断られたら粘らない。受付の判断か担当者の判断かだけ確認し、次に繋がる形で引く
  • 他社の平均突破率は使わない。接続率・受付通過率・担当者接触率の3つを自分で分けて数える

受付突破は話術の問題として語られがちですが、実際には準備の問題です。架電前に部署名を調べる数分と、断られた理由を記録する数十秒。この2つを積むほうが、切り返しのフレーズを100個覚えるより早く効きます。

よくある質問

担当者の名前が分からないときはどうすればいいですか

個人名ではなく部署名で指定してください。「採用のご担当部署にお繋ぎいただけますか」であれば、受付は回す先を判断できます。個人名を知っているふりをするのは避けてください。記録と照合されて発覚した場合、その会社への今後の接点を失います。

受付に「どういったご用件ですか」と聞かれたら何と答えますか

用件を一文で答えます。売り込みの言葉は入れず、何の話題かだけを伝えてください。「中途採用の募集方法について確認したいことがあります」のような形です。ここで商品説明を始めると、受付は要約できず、取り次ぎの判断ができなくなります。

「お世話になっております」は使わないほうがいいですか

初回の架電では避けてください。取引があると誤認させる言い方であり、後で初回だと分かったときに印象が悪くなります。「初めてお電話いたします」と正直に言うほうが、その後の会話が進みます。

断られたときに資料を送るのは有効ですか

送った後に何をするかが決まっているときだけにしてください。資料送付は断りの受け皿として使われやすく、送ること自体が目的になりがちです。後続の打ち手が無いなら、送らずに次に連絡してよい時期を確認して引くほうが接点は残ります。

受付突破率はどのくらいが目標になりますか

他社の平均値を目標に置くことはおすすめしません。業種・商材・リストの質・時間帯で大きく変わるためです。まず自社で、接続率・受付通過率・担当者接触率の3つを分けて数えてください。改善は他社との比較ではなく、自社の前月との比較で判断します。

電話がつながりやすい時間帯はありますか

会社の業種と職種によって変わるため、一般論として断定できる時間帯はありません。自社で測るのが確実です。架電記録に日時を残しておけば、数週間で自社の対象リストにおける傾向が見えます。始業直後と昼休み前後は避けるのが無難ですが、これも業種によります。

受付に何度も断られている会社には、もう架電しないほうがいいですか

断られた理由によります。「担当者が不在だった」と「担当者が不要と判断した」では意味が違います。記録に理由が残っていれば判断できますが、残っていなければ判断できません。だからこそ、断られた理由を記録する運用が効いてきます。

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