
HubSpotの画面から、そのまま電話をかけられます。通話の記録も自動で残ります。
便利な機能です。ただし、日本で使うときに知っておくべき仕様があります。
公式ヘルプには、こう書かれています。「HubSpotに登録されているどの番号からでも日本へコールをかけると、発信者番号は非表示になります」
この記事では、通話機能の制約と、日本での現実的な使い方を扱います。
先に結論:日本で使う前に3点
- 日本への発信は、発信者番号が非表示になると記載されています。
- 通話時間はアカウント単位の共有で、上限に達すると翌月まで発信できません。
- 「電話からコール」を使うと、消費する分数が2倍になります。
日本の商習慣では、非通知の着信はまず出てもらえません。ここが最大の壁です。
日本への発信は、番号が非表示になります
最初に、いちばん重要なことを書きます。
公式に明記されている仕様
公式ヘルプには、「HubSpotに登録されているどの番号からでも日本へコールをかけると、発信者番号は非表示になります」と記載されています。
登録した番号を変えても同じです。どの番号からかけても、相手の画面には番号が出ません。
日本では、非通知は出てもらえません
これは仕様の良し悪しではなく、商習慣の問題です。
非通知の着信を拒否する設定にしている人が多い。会社の代表番号でも、個人の携帯でも同じです。
つまり、新規の開拓には使えません
初めての相手にかける用途では、実質的に機能しません。出てもらえないからです。
この点を知らずに導入すると、シートの費用だけがかかります。先に確認してください。
対象はSales HubまたはService HubのStarter以上
次に、プランの条件です。
無料版にはありません
公式ヘルプの対象プランには、Sales HubのStarter、Professional、Enterprise、およびService HubのStarter、Professional、Enterpriseが挙げられています。
つまり、無料のアカウントでは使えません。有料のシートが必要です。
シートの単位で費用がかかります
以前の記事で書いたとおり、Sales Hubなどのシートは人数ぶんの費用です。
電話をかける人が5人いるなら、5つぶんの費用を見込んでください。
Starterでも使えます
上位のプランでなくても使える、という点は押さえておいてください。いちばん下の有料プランから対象です。
ただし、使える分数はプランによって異なります。次の章で書きます。
通話時間はアカウントで共有します
分数の考え方が、独特です。
公式に記載されている内容
公式には、「利用できる通話時間(分数)は、サブスクリプションによって異なります。上限に近づくとアラートが送信されます」と記載されています。
そして、この分数はアカウント単位で共有されます。1人ずつに配られるのではありません。
よく話す人が、多く使います
当たり前のようですが、実務では問題になります。1人が長電話をすると、他の人のぶんがなくなります。
そして、誰がどれだけ使ったかを説明する場面が出てきます。気持ちの良い会話にはなりません。
プランごとの数は公式カタログで確認してください
具体的な分数は、公式の製品&サービスカタログで確認するよう案内されています。
契約の前に、自社の通話量と照らしてください。月に何分話しているかを、まず数えることです。
上限に達すると翌月まで発信できません
ここが、業務に直結する仕様です。
公式に書かれている挙動
公式には、上限に達した場合について「通話を完了することはできますが、分数がリセットされる翌月の1日まで新しい通話を行うことはできません」と記載されています。
つまり、途中で切られることはありません。しかし、次がかけられません。
月末に止まる、という形で起きます
使い方によっては、月の後半に上限へ達します。そして、いちばん追い込みたい時期に電話がかけられなくなります。
これは、以前の記事で書いたカードの限度額の話と同じ構造です。止まる時期が読めます。
分数は追加できます
公式には、分数のサブスクリプションを管理する導線が案内されています。スーパー管理者が操作します。
つまり、足りなければ買い足せます。ただし、その判断ができる人が不在だと止まったままです。
「電話からコール」は分数が2倍
見落としやすい仕様です。
公式に明記されています
公式には、「2つの個別の呼び出しが行われるため、使用される通話分数は2倍になります」と記載されています。
自分の電話機を経由してかける方式のことです。システムから自分の電話へ1本、相手へ1本。だから2倍です。
音質を優先すると、分数が減ります
ブラウザーからの通話は、ネットワークの状態に左右されます。音が途切れる環境では、電話機を使いたくなります。
その選択をすると、同じ会話でも消費が2倍です。意識せずに使い続けると、月の半ばで止まります。
どちらを使うか、社内で統一してください
人によって方式が違うと、消費量の予測ができません。
原則はブラウザー、音質に問題がある人だけ電話機。この形にして、人数を把握しておいてください。
国番号を必ずつけてください
操作上の注意です。
公式に記載されている形式
公式には、「米国以外の対応国へ、または対応国から電話をかける際は、国番号を必ず付けてください。国によっては、形式に+が含まれている場合があります」と記載されています。
日本の番号なら、先頭の0を外して81をつける形です。
登録されている番号の形式を揃えてください
コンタクトの電話番号が、国内の表記のまま入っていると、そのままではかけられません。
この媒体で繰り返し書いているとおり、入力の規則を先に決めることです。あとから何千件も直すのは現実的ではありません。
インポートの前に形式を決める
名刺やエクセルから取り込むときが勝負です。取り込む前に、番号の形式を変換してください。
以前の記事で書いたとおり、インポートは取り消せません。変な形式のまま入れると、あとが大変です。
日本の会社が現実的に使う方法
ここまで読むと、使えないように見えるかもしれません。使い道はあります。
| 場面 | 向き・不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 新規への架電 | 不向き | 非通知では出てもらえない |
| 約束した時間の電話 | 使える | 相手が待っている |
| 既存顧客への連絡 | 条件つき | 事前に伝えておけば出てもらえる |
| 社内での確認 | 使える | 相手が分かっている |
約束した時間にかけるなら問題ありません
「明日の14時にお電話します」と伝えてあれば、非通知でも出てもらえます。
むしろ、この使い方のほうが本来の姿です。記録が自動で残るのが目的だからです。
既存顧客には、先に伝えておく
「非通知で表示されることがあります」と、あらかじめ伝えておいてください。
メールの署名に1行入れておくだけでも違います。これで、既存の相手には通じます。
新規の開拓は、別の手段を使ってください
この媒体の立場は一貫しています。合わない道具を無理に使う必要はありません。
新規への架電は、これまでどおりの電話機で構いません。そのうえで、結果をHubSpotに記録すればいい。
通話を記録する価値
そもそも、なぜ電話をツールに繋ぐのか。目的を確認しておきます。
誰が、いつ、何分話したかが残ります
手で記録すると、必ず抜けます。とくに、忙しい日ほど残りません。
自動で残れば、あとから商談の経緯を追えます。これが、いちばんの価値です。
担当が変わったときに効きます
引き継ぎのときに、何回、いつ話したかが分かります。
この媒体で何度も書いているとおり、記録は担当者ごとに残ってこそ使えます。共有のアカウントではなく、1人1アカウントにしてください。
件数を数えられるようになります
月に何件かけたか。これを感覚で語る会社が多い。
記録が残れば、件数と結果の関係が見えます。数えられるようになってから、改善が始まります。
記録に何を残すか
自動で残るのは、かけた事実と時間です。中身は自分で書きます。
結果を選ぶ項目を決めてください
つながった、留守番電話、不在、番号違い。この分類を先に決めてください。
人によって書き方が違うと、あとから数えられません。選ぶ形にするのが確実です。
次にやることを必ず書く
電話の記録で、いちばん大事なのは次の予定です。
以前の記事で書いたタスクを、電話のあとに必ず作ってください。記録だけ残して次が決まっていないと、そこで止まります。
メモは短くていい
長く書こうとすると、書かなくなります。3行で十分です。
前の記事で書いたスニペットを使えば、観点を揃えたメモが数秒で残せます。
いまの電話環境と共存させる
すべての電話をHubSpotに移す必要はありません。むしろ、日本では移さないほうがうまくいきます。
代表番号は、これまでどおりで構いません
会社の代表番号にかかってくる電話は、いまの電話機で受けてください。
受けたあとに、誰から何の用件だったかをレコードに残す。これだけで、情報は貯まります。
携帯からかけた電話も記録できます
公式ヘルプには、モバイルアプリから電話をかける手順も用意されています。外出先での利用を想定した機能です。
ただし、日本への発信の仕様は同じです。非通知になる点は変わりません。
道具を増やすより、記録を1か所にしてください
この媒体で繰り返し書いていることです。大事なのは、どこからかけたかではありません。
記録が1か所に集まっていること。それだけが、あとから効いてきます。
かけた記録を手で残す方法
通話機能を契約しなくても、記録は残せます。
レコードに活動として残す
コンタクトのレコードに、電話をかけた事実を記録できます。これは無料の範囲でできます。
日時、相手、内容。自動ではありませんが、残ることに変わりはありません。
手で残すなら、その場でやってください
あとでまとめて書こうとすると、その日のうちに忘れます。
電話を切った直後の30秒。ここで書く習慣がつけば、通話機能がなくても回ります。
通話機能は、その習慣がある会社で効きます
記録する習慣がない会社が自動化しても、かけた事実だけが並びます。中身がないので、読み返せません。
順番としては、手で残す習慣を作ってから、自動化を検討する。この順です。
分数を使い切らないための運用
上限がある以上、管理が必要です。
月の前半で使用量を見てください
公式には、上限に近づくとアラートが送信されると記載されています。
ただし、アラートが来てからでは遅い。15日の時点で半分を超えていたら、後半を調整してください。
長くなる相手は、方式を変える
30分を超える打ち合わせは、電話ではなく別の手段のほうが向いています。
以前の記事で書いたミーティングリンクを使って、オンラインの打ち合わせに切り替えてください。分数を使いません。
使う人を絞るという判断
全員がシートを持つ必要はありません。電話を多くかける人だけで構いません。
これも以前書いたとおり、席と権限は別です。記録を見るだけの人には、通話のシートは不要です。
電話の件数を数えるという発想
記録が残ると、数えられるようになります。ここからが本題です。
何件かけて、何件つながったか
多くの会社が、この数字を持っていません。「たくさんかけた」で終わっています。
100件かけて20件つながり、そのうち3件が商談になった。この数字があれば、次の月の計画が立ちます。
つながる時間帯が分かります
日時が残っていれば、どの時間帯につながりやすいかが見えます。
業種によって違います。飲食店なら午後の早い時間、建設なら朝か夕方。自社のデータで確かめてください。
数字を持つと、会話が変わります
「もっとかけろ」という指示は、数字がないから出ます。
つながる率が低いのか、商談になる率が低いのか。どちらの問題かが分かれば、打つ手が変わります。
導入前に確認する4つ
契約する前に、この4つを確認してください。
1. 新規の架電に使う予定があるか
あるなら、非通知の仕様が致命的です。用途を変えるか、導入を見送る判断になります。
ここを確認せずに契約すると、使われないシートが残ります。
2. 月に何分話しているか
いまの通話時間を、1か月ぶん数えてください。携帯の明細で分かります。
その数字と、プランに含まれる分数を比べる。これが正しい検討の順番です。
3. 電話番号の形式が揃っているか
国番号をつけた形式に、直せる状態になっているか。
数千件あるなら、変換の作業に時間がかかります。その工数も見込んでください。
4. 誰が分数を管理するか
上限に達したときに、追加を判断できる人を決めておいてください。
この媒体で繰り返し書いているとおり、担当者を決めていない作業は実行されません。止まったまま月末を迎えます。
まとめ
通話機能は便利ですが、日本では前提が違います。
- 日本への発信は、登録しているどの番号からでも発信者番号が非表示になると記載されています。
- 対象はSales HubまたはService HubのStarter以上です。無料版にはありません
- 通話時間はアカウント単位で共有され、上限に達すると翌月1日まで発信できません。
- 「電話からコール」は、消費する分数が2倍になります。
- 対応国への発信には国番号が必要です。番号の形式を先に揃えてください
新規の開拓には向きません。約束した時間の電話と、記録を残す用途で使ってください。
よくある質問(FAQ)
日本の相手にかけると、番号は表示されますか
表示されません。公式ヘルプには、HubSpotに登録されているどの番号からでも日本へコールをかけると発信者番号は非表示になる、と記載されています。登録する番号を変えても同じです。非通知の着信を拒否している相手には、つながりません。
無料版で電話をかけられますか
かけられません。公式ヘルプの対象プランは、Sales HubのStarter、Professional、Enterprise、およびService HubのStarter、Professional、Enterpriseです。有料のシートが必要になります。記録を残すだけであれば、通話の結果を手で記録する方法もあります。
通話時間の上限は1人あたりですか
アカウント単位で共有されます。公式には、利用できる通話時間はサブスクリプションによって異なり、上限に近づくとアラートが送信されると記載されています。1人が長く話すと、他の人のぶんが減ります。具体的な分数は公式の製品&サービスカタログで確認してください。
上限に達したらどうなりますか
公式には、通話を完了することはできるが、分数がリセットされる翌月の1日まで新しい通話を行うことはできない、と記載されています。通話中に切られることはありませんが、次がかけられません。分数を追加する導線も用意されており、スーパー管理者が操作します。
自分の電話機からかけると何が違いますか
消費する分数が変わります。公式には、2つの個別の呼び出しが行われるため使用される通話分数は2倍になる、と記載されています。音質を優先してこの方式を選ぶと、同じ会話でも倍の分数を使います。社内で方式を統一しておいてください。
電話番号はどう入力すればいいですか
公式には、米国以外の対応国へ、または対応国から電話をかける際は国番号を必ず付けるよう記載されています。国によっては形式に+が含まれます。取り込みの前に番号の形式を揃えてください。インポートは取り消せないため、あとから直すのは大変です。
通話機能を契約しなくても記録は残せますか
残せます。コンタクトのレコードに、電話をかけた事実を活動として記録する方法は無料の範囲でも使えます。自動ではありませんが、日時と相手と内容が残ることに変わりはありません。むしろ、手で残す習慣がない会社が自動化しても、かけた事実だけが並んで中身のない記録になります。
新規開拓には使えませんか
日本では現実的ではありません。非通知の着信は、まず出てもらえないためです。約束した時間にかける電話や、既存の顧客への連絡には使えます。新規への架電はこれまでどおりの電話機で行い、結果だけを記録する、という使い分けが現実的です。
参考にした公式ドキュメント
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コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。通話機能はSales HubまたはService HubのStarter以上が対象ですが、顧客管理そのものは無料で始められます。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。