
同じ会社が、2件も3件も登録されている。どの会社でも起きます。
そして、気づいたときには手遅れに近い。1件ずつ確認して統合する作業が待っています。
大事なのは、何を基準に「同じ会社」と判定されているかを知ることです。ここを理解すれば、防げます。
この記事では、会社レコードの名寄せを扱います。
先に結論:3つだけ
- 会社は「会社ドメイン名」のプライマリーの値で判定されます。会社名ではありません
- 1つの会社に、複数のドメインを登録できます。
- すでに他社にあるドメインを足しても、自動では統合されません。
判定の基準が会社名ではない。ここを知らないと、対策の方向を間違えます。
重複の判定に使われるもの
まず、公式に書かれている基準を確認します。
対象は「すべての製品とプラン」です
重複の除去について扱う公式ヘルプの対象には、「すべての製品とプラン」と記載されています。
つまり、判定の仕組み自体は無料でも動いています。知らないうちに働いている、ということです。
コンタクトはメールアドレスです
公式には、新しいコンタクトが追加されたとき、Eメールのプロパティーで一致する値を探すと記載されています。
この媒体の最初の記事で書いたとおり、メールアドレスが同じなら、別のレコードにはなりません。
会社はドメイン名です
そして、会社については別の基準が使われます。ここが本題です。
次の章で詳しく書きます。会社名ではない、という点だけ先に覚えてください。
会社はドメイン名で判定されます
ここを知らない人が、とても多い。
公式に記載されている基準
公式には、会社の重複について「会社ドメイン名」のプロパティーのプライマリーの値で判定されると記載されています。
つまり、ホームページのアドレスが同じかどうかを見ています。
会社名は見られていません
ここが重要です。会社名がまったく同じでも、ドメインが違えば別の会社として登録されます。
逆に、会社名の表記がばらばらでも、ドメインが同じなら同じ会社として扱われます。
ドメインが空の会社は、判定できません
前の記事で書いたとおり、フリーメールの相手は会社に紐づきません。
同じように、ドメインが入っていない会社レコードは、重複として検出されません。手で作った会社が溜まる原因です。
1社に複数のドメインを登録できます
日本の会社では、ここが効きます。
公式に記載されている内容
公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。そして、1つの会社レコード内にすべてのドメイン名を値として追加できると記載されています。
つまり、本体とサービスサイトでドメインが違っても、1つにまとめられます。
こういう会社が対象です
コーポレートサイトと、サービスの専用サイト。ドメインが分かれている会社はよくあります。
そして、担当者のメールアドレスがサービス側のドメインだったりします。これで別の会社レコードが生まれます。
気づいたら、まとめてください
1つの会社に、そのドメインを追加する。これで、以降は同じ会社に紐づきます。
ただし、すでに作られてしまったレコードは自動では消えません。次の章で書きます。
既存のドメインを足しても、統合されません
ここが、いちばんの落とし穴です。
公式に明記されている挙動
公式には、他の会社レコードにすでに存在するドメイン名を追加した場合について、「レコードはマージされず、両方の会社レコードのアクティビティーが取り込まれるわけではありません。今後は、追加の会社ドメインのみが適用されます」と記載されています。
つまり、ドメインを足しただけでは、過去のやりとりは統合されません。
「今後は」という言葉が重要です
この設定が効くのは、これから先だけです。過去の記録は、元の会社レコードに残ったままになります。
片方に問い合わせの履歴、もう片方に商談の記録。この状態は、実際によく見ます。
統合するなら、マージの操作が必要です
過去の記録もまとめたいなら、レコードのマージを行ってください。
この媒体の最初の記事で書いたとおり、マージは元に戻せません。実行の前に、どちらを残すかを決めてください。
一意の値を求める項目は10個まで
独自の基準で重複を防ぐ方法があります。
公式に記載されている上限
公式には、「オブジェクトごとに、一意の値を必要とするカスタムプロパティーを最大10個作成できます」と記載されています。
つまり、自社の管理番号などを重複の判定に使えます。
日本の会社で使えるもの
法人番号。社内の顧客コード。取引先コード。すでに社内で使っている番号があるなら、これが最適です。
会社名やドメインよりも、番号のほうが確実です。表記のゆれがありません。
ただし、入力されていないと機能しません
当然ですが、その番号が入っていないレコードは判定できません。
すでにある会社に、あとから番号を振る作業が発生します。件数を見てから決めてください。
日本の会社名は、ゆれます
ここからは、日本での実態です。
| ゆれの種類 | 例 | 結果 |
|---|---|---|
| 株式会社の位置 | 前につくか、後ろにつくか | 別の会社として登録されます |
| 略記 | 株式会社と(株) | 別の会社として登録されます |
| 全角と半角 | 英数字の表記 | 別の会社として登録されます |
| 屋号と法人名 | 名刺と登記で違う | 別の会社として登録されます |
名前で防ぐのは、無理があります
表記のゆれを全部そろえるのは、現実的ではありません。
だからこそ、ドメインか、番号で管理するのです。名前は、人が読むためのものだと割り切ってください。
それでも、表記の規則は決めてください
判定には使われなくても、探すときには使います。
この媒体で繰り返し書いているとおり、規則を決めるのはデータが少ないうちです。「株式会社は前につける」の1行で足ります。
読み方の項目を持つ手もあります
ふりがなを入れる項目を作っておくと、並べ替えと検索が楽になります。
以前の記事で書いたプロパティーの追加は、無料の範囲でできます。
取り込みの前にやること
重複がいちばん増えるのは、取り込みのときです。
ファイルの中で重複を消してください
取り込む前に、表計算ソフトで重複を確認する。これだけで、かなり防げます。
ドメインの列で並べ替えて、同じものが並んでいないかを見る。5分で終わります。
ドメインの列を必ず用意する
会社名だけのファイルを取り込むと、判定ができません。すべて新規として作られます。
ドメインが分からない会社は、取り込む前に調べるか、後回しにしてください。
取り込みは取り消せません
この媒体で何度も書いています。インポートは元に戻せません。
少ない件数で試してから、全件を入れてください。10件で試せば、問題は見つかります。
名寄せの作業手順
すでに重複がある状態から始める手順です。
1. 書き出して、全体を見る
以前の記事で書いたエクスポートで、会社の一覧を出してください。
画面で1件ずつ見るより、表計算ソフトで並べ替えるほうが速い。
2. ドメインで並べ替える
同じドメインが並んでいれば、それが重複の候補です。
ドメインが空の行も、まとめて別に見てください。手で作られた会社が、ここに集まります。
3. 残すほうを決めてから統合する
マージの前に、どちらを残すかを決めてください。取引が紐づいているほうを残すのが基本です。
そして、1件ずつ確認しながら進めてください。まとめて処理すると、違う会社を統合します。
統合すると何が起きるか
マージの操作をする前に、何が起きるかを理解しておいてください。
残すほうの値が優先されます
どちらを残すかを選ぶ操作になります。選んだほうの情報が基準になります。
だから、情報が多く入っているほう、取引が紐づいているほうを残してください。
元に戻せません
この媒体の最初の記事でも書きました。統合は取り消せない操作です。
不安なら、先に書き出して手元に残してから実行してください。5分の保険です。
関連付けは引き継がれます
紐づいていたコンタクトや取引は、残したほうのレコードにまとまります。
ここは安心してください。消えるのはレコード自体で、紐づいていた情報ではありません。
重複が生まれる4つの入口
どこから増えているのかを知ると、対策が具体的になります。
1. 手で作っている
いちばん多い原因です。検索せずに新規作成を押しています。
そして、ドメインを入れないまま保存されます。この会社は、以降ずっと判定の対象外です。
2. 取り込みのファイル
名刺の一覧や、展示会のリスト。ファイルの中にすでに重複があります。
そのまま取り込むと、そのぶんだけ会社が増えます。前に書いたとおり、取り込みは取り消せません。
3. ドメインが分かれている会社
本体とサービスサイト。担当者によって、使っているアドレスが違います。
この場合は、1つの会社に両方のドメインを登録すれば防げます。
4. 他のツールとの連携
フォーム、チャット、外部のサービス。自動で流れ込んでくる経路があります。
流入の経路が増えるほど、入口の数だけ重複の可能性が増えます。月に1回は確認してください。
どこまでやるかを決める
全部をきれいにする必要はありません。
取引がある会社から
商談や受注が紐づいている会社を、先に整えてください。数字に影響するのは、ここだけです。
1度も取引のない会社は、後回しで構いません。
件数と時間を見積もってください
1件あたり2分として、100件なら3時間以上かかります。
この時間を取れるかを先に考えてください。取れないなら、範囲を絞る判断になります。
終わりを決めてから始める
「きれいになるまで」と決めると、終わりません。今週は取引のある会社だけ、と決めてください。
中途半端に途中で止まった状態が、いちばん分かりにくくなります。
増やさないための運用
整えたあとが本番です。
手で会社を作らない
コンタクトを登録すれば、ドメインから会社が自動で作られます。前の記事で書いたとおりです。
手で作ると、ドメインが空のまま登録されることがあります。これが重複の元です。
作る前に、検索する習慣
新しい会社を登録する前に、まず検索する。これだけで大半は防げます。
名前で見つからなくても、ドメインで検索すれば見つかります。
月に1回、ドメインが空の会社を見る
これを習慣にしてください。10分で終わります。
空の会社にドメインを入れれば、次からは自動で判定されるようになります。
重複があると、何が困るのか
作業の話を続けてきましたが、なぜ直すのかを整理しておきます。
会社ごとの数字が出せません
1社が3件に分かれていると、その会社との取引額が3つに割れます。
上位の取引先を出したときに、本当は1位の会社が、順位から消えます。判断を間違えます。
同じ会社に、別々の人が連絡します
営業が2人、別のレコードを見ている。相手には、連携が取れていない会社に見えます。
実際に起きるのは、同じ提案を2回されるという場面です。信頼を落とします。
履歴が途切れます
去年の問い合わせが片方に、今年の商談がもう片方に。どちらを開いても、全体が見えません。
この媒体で繰り返し書いているとおり、記録は1本につながっていることに価値があります。
グループ会社の扱い
最後に、判断が分かれるところを書きます。
親会社と子会社は、別のレコードです
ドメインが違うなら、別の会社として登録されます。これは正しい状態です。
統合しないでください。担当者も、取引も違います。
関係を記録する方法
公式ヘルプには、既存の会社レコードに親会社や子会社を追加する方法が用意されています。
別のレコードのまま、関係だけを記録できます。これが正しいやり方です。
売上をどちらで見るかを決める
前の記事でも書きました。請求先が親、担当者が子、という形はよくあります。
取引をどちらに紐づけるかで、集計が変わります。先に決めておいてください。
担当者を1人決めてください
最後に、続けるための話です。
全員でやると、誰もやりません
データの整理は、担当を決めないと実行されません。
この媒体で何度も書いてきたとおりです。月に10分、見る人を1人決めてください。
見るのは2つだけ
ドメインが空の会社と、同じドメインが並んでいないか。この2つを見れば足ります。
全件を見る必要はありません。並べ替えて、上から数十行を眺めるだけです。
月初の10分をカレンダーに入れる
予定にしておかないと、忙しい月から飛びます。そして、二度と戻りません。
この10分が、半年後の3時間を消します。
まとめ
会社の名寄せは、基準を知ることから始まります。
- 会社の重複は「会社ドメイン名」のプライマリーの値で判定されます。会社名ではありません
- 1つの会社レコードに、複数のドメイン名を登録できます。
- すでに他社にあるドメインを追加しても、レコードはマージされません。今後のぶんにだけ適用されます
- 一意の値を必要とするカスタムプロパティーは、オブジェクトごとに最大10個です。
- 日本の会社名は必ずゆれます。名前ではなく、ドメインか番号で管理してください
整えるより、増やさないほうが速い。手で会社を作らない。これだけ決めてください。
よくある質問(FAQ)
会社の重複は、何を基準に判定されますか
会社ドメイン名のプロパティーのプライマリーの値です。公式にそう記載されています。会社名は判定に使われません。つまり、名前がまったく同じでもドメインが違えば別の会社として登録され、名前の表記がばらばらでもドメインが同じなら同じ会社として扱われます。
1つの会社に複数のドメインを登録できますか
できます。公式には、1つの会社レコード内にすべてのドメイン名を値として追加できると記載されています。対象は「すべての製品とプラン」です。コーポレートサイトとサービスサイトでドメインが分かれている会社に有効です。
ドメインを追加すれば、重複したレコードは統合されますか
されません。公式には、他の会社レコードにすでに存在するドメイン名を追加した場合、レコードはマージされず、両方の会社レコードのアクティビティーが取り込まれるわけではない、今後は追加の会社ドメインのみが適用される、と記載されています。過去の記録もまとめたい場合は、マージの操作が別に必要です。
自社の管理番号で重複を防げますか
防げます。公式には、オブジェクトごとに一意の値を必要とするカスタムプロパティーを最大10個作成できると記載されています。法人番号や社内の顧客コードを使えば、表記のゆれに左右されません。ただし、その番号が入力されていないレコードは判定できないため、既存分に番号を振る作業が発生します。
会社名の表記ゆれは、どう対処しますか
名前で防ごうとしないでください。株式会社の位置、略記、全角と半角、屋号と法人名。日本の会社名は必ずゆれます。判定はドメインか番号で行い、名前は人が読むためのものと割り切ってください。ただし、探すときには使うので、表記の規則自体は決めておいてください。
親会社と子会社は、統合するべきですか
統合しないでください。ドメインが違うなら、別の会社として登録されるのが正しい状態です。担当者も取引も違います。公式ヘルプには、既存の会社レコードに親会社や子会社を追加する方法が用意されています。別のレコードのまま、関係だけを記録してください。
統合すると、紐づいていた情報は消えますか
消えません。紐づいていたコンタクトや取引は、残したほうのレコードにまとまります。消えるのはレコード自体です。ただし、どちらを残すかを選ぶ操作になるため、情報が多く入っているほう、取引が紐づいているほうを残してください。そして、この操作は元に戻せません。不安なら、先に書き出して手元に残してから実行してください。
重複があると、具体的に何が困りますか
会社ごとの数字が割れます。1社が3件に分かれていれば、取引額も3つに分かれ、上位の取引先を出したときに本来1位の会社が消えます。また、営業が別々のレコードを見て、同じ提案を2回してしまうことも起きます。そして、履歴が途切れます。どちらを開いても全体が見えません。
取り込みのときに重複を防ぐには
取り込む前に、ファイルの中で重複を消してください。ドメインの列で並べ替えて、同じものが並んでいないかを見る。それだけで、かなり防げます。また、会社名だけのファイルでは判定ができず、すべて新規として作られます。ドメインの列を必ず用意してください。取り込みは元に戻せません。
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