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家を売った年の確定申告|譲渡所得の内訳書の書き方と、特例ごとに変わる添付書類【2026年版】

確定申告書類と電卓。家を売った年の譲渡所得の内訳書の書き方

「不動産 売却 確定申告 必要書類」で検索すると、書類のリストが並んだ記事がいくらでも出てきます。売買契約書、登記事項証明書、住民票、仲介手数料の領収書、本人確認書類——ただ、そのリストがどこから来たのかは書かれていません。

実際には、添付書類は「不動産を売ったこと」では決まりません。「どの特例を使うか」で決まります。国税庁は特例ごとに提出書類を公表しており、その中身はかなり違います。マイホームの3,000万円特別控除だけを使うなら、登記事項証明書は提出書類に入っていません。一方、軽減税率の特例を併用するなら必要になります。買換え特例では、書類が10種類近くまで増えます。

そして中心にあるのは、どの特例でも共通して必要な1枚、「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」です。この用紙の各欄が何を聞いているのかが分かれば、集めるべき書類も自動的に決まります。

この記事では、国税庁が公表している内訳書の様式そのものと、タックスアンサー、租税特別措置法施行規則、法務省が公表している登記手数料の額だけを根拠に、1面から3面までを欄の順に読み、特例ごとの添付書類を並べて比べます。

1つおことわりがあります。本稿で確認したのは「令和7年分以降用」と印字された様式(令和7年11月版)です。2026年中に売った場合に実際に使うのは令和8年分の様式で、これは2026年秋以降に公表されます。計算の構造は引き継がれる見込みですが、欄の位置や番号が変わることがあるため、記入する際は必ずその年分の様式と手引きを国税庁のサイトで確認してください。

結論:添付書類は「売ったこと」ではなく「使う特例」で決まる

3,000万円控除だけなら、登記事項証明書は要らない

国税庁のタックスアンサー3302「マイホームを売ったときの特例」は、提出書類として「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」だけを挙げています。これに加えて出すよう求めているのは、売買契約日の前日の住民票の住所とマイホームの所在地が異なる場合などに限った戸籍の附票の写しなどです。

一方、タックスアンサー3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」は、内訳書に加えて「売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書」を挙げています。同じ自宅の売却でも、使う特例が1つ増えるだけで必要な書類が変わります。

この違いは根拠法令の違いから来ています。3,000万円特別控除は租税特別措置法第35条、軽減税率は第31条の3で、それぞれ別の条文が別の書類を求めているからです。

添付書類を実際に定めているのは財務省令です。租税特別措置法施行規則第18条の2第2項第1号は、措法35条2項各号に該当して同条1項(3,000万円特別控除)の適用を受ける場合の書類として、次の2つだけを挙げています。

  • イ 法第35条第1項に規定する資産の譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書(=譲渡所得の内訳書)
  • ロ イの譲渡に係る契約を締結した日の前日において当該譲渡をした者の住民票に記載されていた住所と当該譲渡をしたイの資産の所在地とが異なる場合その他これに類する場合には、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類

条文にも登記事項証明書は出てきません。タックスアンサー3302の提出書類欄は、この省令をそのまま書き写したものです。「不動産を売ったときの必要書類」という一枚のリストは、制度上は存在しません。あるのは、条文ごとのリストです。

結論:やることは3つ

整理すると、家を売った年の確定申告でやることは3つです。

  1. 譲渡所得の内訳書を、契約1件につき1枚書く(計算はこの用紙の中で完結する)
  2. 内訳書で出した金額を、申告書第三表(分離課税用)に転記する
  3. 使う特例に対応した添付書類をそろえる(特例を使わないなら内訳書だけ)

順番も決まっています。書類を集めてから内訳書を書くのではなく、内訳書を先に埋めて、空欄になったところを埋めるために書類を取りに行くほうが確実です。何が足りないかは、用紙が教えてくれます。

譲渡所得の申告で、数字が動く順番 手元の資料 売った契約書・領収書 買った契約書・領収書 譲渡所得の内訳書 2面 ①譲渡価額 3面「2」②取得費 3面「3」③譲渡費用 3面「4」A〜Eの計算 申告書 第三表 (分離課税用) Eの金額を転記 特例ごとの添付書類 登記事項証明書など 使う特例で中身が変わる 確定申告書 2月16日〜3月15日 所轄税務署へ 内訳書を先に埋めると、足りない書類が空欄として見える。書類集めはそのあとでよい。 出典:国税庁「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」令和7年分以降用

提出するのは3点。どれが欠けても計算が成立しない

確定申告書と、申告書第三表(分離課税用)

国税庁のタックスアンサー2020「確定申告」は、提出書類として確定申告書等を挙げたうえで、「土地や建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得がある場合などには申告書第三表(分離課税用)を(中略)申告書と併せて使用します」としています。

土地・建物の譲渡所得は、給与や事業の所得と合算せずに税額を計算する分離課税です。通常の申告書だけでは記入する場所がないため、第三表を足します。会社員で年末調整を受けている人も、この年は自分で申告書を作ることになります。

譲渡所得の内訳書は「一の契約ごとに1枚」

内訳書の1面には、記載上の注意事項としてこう書かれています。「この内訳書は、一の契約ごとに1枚ずつ使用して記載し、『確定申告書』とともに提出してください」。

用紙の右上には「提出  枚のうちの  」という欄があり、複数枚出すことが前提になっています。同じ年に土地と建物を別々の契約で売った場合や、2件の不動産を別々の買主に売った場合は、契約の数だけ内訳書を書きます。

そのうえで、長期譲渡所得または短期譲渡所得のそれぞれで2つ以上の契約があるときは、いずれか1枚の内訳書の3面「4」各欄の上段に、その合計額を二段書きで記載するよう指示されています。合計は別紙ではなく、内訳書のうちの1枚の中に書きます。

使う面が、特例によって変わる

内訳書は1面から5面まであり、全部を書くわけではありません。1面の注意事項が、3つのパターンを示しています。

使う特例 記入する面
交換・買換え(代替)の特例も、被相続人の居住用財産の特別控除も使わない場合 1面・2面・3面
交換・買換え(代替)の特例を使う場合 1面・2面・3面(「4」を除く)・4面
被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を使う場合 1面・2面・3面・5面

5面は1面から4面とは別のPDFで配布されており、必要な人だけがダウンロードします。5面を使う場合は、1面の下部にある「5面」の欄に○を付けるよう指示があります。

マイホームを売って3,000万円特別控除を使うだけなら、いちばん上の行、1面・2面・3面の3枚です。1面は住所・氏名・職業・電話番号と関与税理士名を書く欄と注意事項だけなので、実質的に書くのは2面と3面の2枚になります。

内訳書2面:どこの不動産を、いつ、誰に、いくらで売ったか

(1)所在地は「所在地番」と「住居表示」を分けて書く

2面の最初の欄は所在地で、上段が「所在地番」、下段が「(住居表示)」と分かれています。この2つは別のものです。所在地番は登記に使われる土地の番号で、住居表示は郵便物を届けるための「○番○号」です。

同じ建物でも両者は一致しないことがあります。所在地番は、売買契約書や登記識別情報通知、固定資産税の納税通知書に記載されています。手元の資料を見るときは、「住所」と書いてあるものではなく、登記に使われている表記を探してください。

(2)土地・建物の種類、面積、利用状況、2つの日付

次の欄はチェックボックスが並びます。土地は「宅地/田/山林/畑/雑種地/借地権/その他」、建物は「居宅/マンション/店舗/事務所/その他」。面積は土地が「(実測)」と「(公簿等)」の2段に分かれており、実測していない場合は公簿の面積を書きます。

利用状況は「自己の居住用/自己の事業用/貸付用/未利用/その他」で、自己の居住用を選んだ場合は居住期間(年月〜年月)を書く欄が付いています。3,000万円特別控除も軽減税率も、自宅として使っていたことが要件なので、この欄が判定の入口になります。

日付は2つあります。「売買契約日」と「引き渡した日」です。用紙は両方を書かせる作りになっています。

所有期間の長短は税率に直結し、判定は譲渡した年の1月1日時点で行います。境目にいる場合はこの2つの日付が効いてくるため、どちらを譲渡の日とするかは所轄税務署または税理士に確認してください。税率がどれだけ変わるかは家を売って手元に残る金額に表で載せています。

共有なら、自分の持分と共有者の持分

共有の場合の欄には、「あなたの持分(土地・建物)」「共有者の住所・氏名」「共有者の持分(土地・建物)」を書きます。土地と建物で持分が違うことがあるため、欄も土地と建物に分かれています。

夫婦共有の自宅を売った場合、譲渡所得は持分に応じて各自に発生し、3,000万円特別控除も要件を満たせば各自が使えます。その場合は各自が自分の確定申告書と内訳書を出すことになり、内訳書には相手をお互いに共有者として記載する形になります。

持分の割合は登記事項証明書に記載されています。売買代金の分け方が持分と一致していないと、贈与とみなされる可能性があるという別の論点も出てくるため、持分と受領額が食い違う場合は税務署または税理士に確認してください。

(3)(4)買主と譲渡価額、そして参考事項

買主の欄には住所(所在地)、氏名(名称)、職業(業種)を書きます。買主が個人なら職業、法人なら業種です。売買契約書に記載があります。

「(4) いくらで譲渡(売却)されましたか」の欄が、① 譲渡価額です。この①が、3面「4」のA収入金額にそのまま入ります。

その下の【参考事項】には、代金の受領状況(1回目・2回目・3回目・未収金の日付と金額)と、「お売りになった理由」のチェックボックスがあります。理由の選択肢は「買主から頼まれたため/他の資産を購入するため/事業資金を捻出するため/借入金を返済するため/その他」です。税額の計算には直接影響しませんが、記入欄である以上は埋めます。

内訳書3面「2」:取得費を確定させる。建物は償却する

土地と建物を分けて書く。小計が(イ)と(ロ)

3面の「2」は、売った不動産を「どなたから、いつ、いくらで購入(建築)されましたか」を書く表です。土地の行が3行、建物の行が3行あり、それぞれに購入(建築)先・支払先の住所と氏名、購入・建築年月日、金額を書きます。土地の小計が(イ)、建物の小計が(ロ)です。

金額欄の見出しは「購入・建築代金又は譲渡価額の5%」です。取得費が分からないときに譲渡価額の5%を使う取扱いは、この用紙の列の名前として印刷されています。

表の下には注記があります。「土地や建物の取得の際に支払った仲介手数料や非業務用資産に係る登記費用などが含まれます」。買ったときに払った仲介手数料と登記費用は、購入代金に足して取得費にできます。ここを落とすと取得費が小さくなり、譲渡所得が大きくなります。

建物の行の下には「建物の構造」のチェックボックスがあり、「木造/木骨モルタル/(鉄骨)鉄筋/金属造/その他」から選びます。これは次の償却率を決めるためのものです。

建物の償却費相当額(ハ)=(ロ)×0.9×償却率×経過年数

建物は、買ったときの金額がそのまま取得費になりません。3面「(2) 建物の償却費相当額を計算します。」の欄に、算式が印刷されています。

建物の購入・建築価額(ロ) × 0.9 × 償却率 × 経過年数 = 償却費相当額(ハ)

償却率の表は、内訳書の1面にあります。国税庁のタックスアンサー3261「建物の取得費の計算」(令和8年4月1日現在法令等)にも同じ表があり、非業務用建物、つまり自宅として使っていた建物の償却率です。

区分 償却率
木造 0.031
木骨モルタル 0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート 0.015
金属造①(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3mm以下) 0.036
金属造②(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3mm超4mm以下) 0.025

経過年数の端数処理にも決まりがあります。タックスアンサー3261は、「経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます」としています。18年2か月なら18年、18年8か月なら19年です。

もう1つ上限があります。同じく3261の注記と、内訳書3面の注記の両方に、償却費相当額は建物の取得価額の95パーセントを限度とすると書かれています。築年数が非常に古い建物でも、建物の取得費がゼロになることはありません。

② 取得費=(イ)+(ロ)-(ハ)

3面の「(3) 取得費を計算します。」の欄に、この式が印刷されています。土地の小計に建物の小計を足して、建物の償却費相当額を引く。これが② 取得費です。

数字を入れてみます。以下は仮定値による計算例です。

  • 2008年4月に鉄筋コンクリート造のマンションを購入。契約書で土地2,000万円、建物1,800万円と区分されていた
  • 2026年6月に引き渡した(経過年数18年2か月 → 6か月未満を切り捨てて18年)

償却費相当額(ハ)は、1,800万円 × 0.9 × 0.015 × 18 = 437万4,000円。95パーセント限度額は1,800万円 × 0.95 = 1,710万円なので、限度内です。

したがって② 取得費は、2,000万円 + 1,800万円 - 437万4,000円 = 3,362万6,000円になります。

ここで注意したいのは、土地と建物が契約書で分かれていない場合です。建物だけを償却する必要があるのに、内訳が分からないと計算できません。内訳書には「□標準」というチェックボックスがあり、建物の標準的な建築価額による建物の取得価額の計算をしたものはここに印を付けるよう指示されています。この計算方法については、用紙自体が国税庁の「譲渡所得の申告のしかた」を見るよう案内します。

内訳書3面「3」:譲渡費用に入るもの、入らないもの

用紙にあらかじめ印刷されている2行

3面の「3 譲渡(売却)するために支払った費用について記載してください。」の表は、費用の種類の1行目に「仲介手数料」、2行目に「収入印紙代」があらかじめ印刷されています。残り2行は空欄で、自分で費目を書きます。それぞれの行には、支払先の住所・氏名、支払年月日、支払金額が入ります。

この表の合計が③ 譲渡費用です。

「修繕費、固定資産税などは譲渡費用にはなりません」

表のすぐ下に、この一文が印刷されています。売る前にリフォームした費用や、その年に払った固定資産税は、原則としてここには書けません。

国税庁のタックスアンサー3255も、譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義し、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用は譲渡費用にならないとしています。同じ趣旨が、用紙とタックスアンサーの両方に書いてあります。

空欄の2行に何を書くかは、売却のために直接支払ったかどうかで判断します。判断に迷う費目がある場合は、領収書と内容の記録を残したうえで税務署または税理士に確認してください。

買ったときの費用と、売ったときの費用を混ぜない

間違えやすいのが、買ったときに払った仲介手数料です。これは「3」の譲渡費用ではなく、「2」の購入代金に含めます。3面「2」の注記が「取得の際に支払った仲介手数料や非業務用資産に係る登記費用などが含まれます」としているとおりです。

逆に、売ったときに払った仲介手数料と印紙代は「3」です。同じ費目でも、買ったときのものは②、売ったときのものは③。領収書を分類するときは、日付ではなく「どちらの取引に対する支払か」で分けてください。

内訳書3面「4」:5つの列を埋めて、第三表へ転記する

A〜Eの5列

3面の最後、「4 譲渡所得金額の計算をします。」の表は3行あり、列は次の5つです。

列 中身 計算例
A 収入金額 ①(2面の譲渡価額) 4,200万円
B 必要経費 ②+③(取得費+譲渡費用) 3,508万8,000円
C 差引金額 A-B 691万2,000円
D 特別控除額 適用を受ける特別控除 691万2,000円
E 譲渡所得金額 C-D 0円

計算例の前提は、さきほどの② 取得費3,362万6,000円に、売ったときの仲介手数料145万2,000円と印紙代1万円を足した③ 譲渡費用146万2,000円を加えたものです。仲介手数料は宅地建物取引業法に基づく告示の上限額(4,200万円 × 3.3% + 6.6万円)で計算しています。

D 特別控除額に注目してください。3,000万円特別控除を使う場合でも、書けるのは3,000万円ではなくC 差引金額を限度とした金額です。C が691万2,000円なら D も691万2,000円で、E はゼロになります。控除額がまるまる3,000万円書かれることは、C が3,000万円を超える場合に限られます。

特例適用条文の欄

各行の左には「区分(短期・長期)」と「特例適用条文」の欄があります。条文欄は「所・措・震」のいずれかを選び、条番号を書く形式です。所は所得税法、措は租税特別措置法、震は東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律です。

マイホームの3,000万円特別控除なら措法第35条、軽減税率なら措法第31条の3です。使う特例を条文で特定させる欄があるということは、特例は自動では適用されないということでもあります。

第三表への転記

表の下の注記はこうです。「ここで計算した内容(交換・買換え(代替)の特例の適用を受ける場合は、4面の「6」で計算した内容)を「申告書第三表(分離課税用)」に転記します」。

買換え特例を使う場合だけ、転記元が3面「4」ではなく4面「6」に変わります。1面の注意事項で「3面(「4」を除く)・4面」となっていたのは、このためです。

添付書類は特例ごとに違う。3つの特例で比べる

並べて比べる

国税庁がタックスアンサーで公表している提出書類を、3つの特例について並べます。

特例 提出書類(国税庁の記載)
3,000万円特別控除
(措法35条・No.3302)
譲渡所得の内訳書。売買契約日の前日の住民票の住所と物件所在地が異なる場合などは、戸籍の附票の写しなど居住していたことを明らかにする書類
軽減税率の特例
(措法31条の3・No.3305)
譲渡所得の内訳書、売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書。住所が異なる場合の戸籍の附票の写しなども同じ
特定の居住用財産の買換え特例
(措法36条の2・No.3355)
譲渡所得の内訳書、売った資産が要件に該当する事実を記載した書類、売った資産の登記事項証明書等(所有期間10年超を明らかにするもの)、買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写し、売却代金が1億円以下であることを明らかにする売買契約書の写し、ほか複数

3,000万円特別控除:内訳書1枚で足りることがある

3302が挙げているのは内訳書だけで、戸籍の附票の写しなどは「マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合など」という条件付きです。措規18条の2の文言は「異なる場合その他これに類する場合」で、住所が一致していれば必ず不要と言い切れる書き方にはなっていません。住所が食い違っているなら確実に必要、一致していても「類する場合」に当たらないかは所轄税務署に確認する、という読み方が安全です。

もっとも、要件を満たしていることを税務署が確認できる状態にしておく必要はあります。売買契約書や購入時の契約書は、提出書類には挙がっていなくても、金額の根拠として手元に残しておくものです。

軽減税率:所有期間10年超を登記で示す

軽減税率の特例は所有期間が10年を超えることが要件です。だからこそ、取得の時期を客観的に示す資料として登記事項証明書が提出書類に入っています。売った年の1月1日時点で10年を超えているかどうかが判定基準なので、登記された取得の日付がそのまま判定材料になります。

3,000万円特別控除と軽減税率は併用できます。両方を使うなら、3302と3305のうち書類の多い3305のほうがそろっていれば足ります。内訳書3面「4」の特例適用条文欄には、行を分けて措法第35条と措法第31条の3の両方を記載することになります。

買換え特例:書類が一気に増え、提出期限も別にある

3355は、買い換えた資産に関する書類について、「マイホームを売った年の翌年にマイホームを買い換える場合は、その買い換えたマイホームを取得した日から4月を経過する日までに提出してください」としています。確定申告期限とは別の期限です。

さらに、買い換えたマイホームが建築後使用されたことのない家屋で令和6年1月1日以後に居住の用に供した(供する見込みの)場合は、特定居住用家屋に該当しないことを明らかにする書類として、確認済証の写しや検査済証の写し、家屋の登記事項証明書、住宅用家屋証明書、低炭素建築物や長期優良住宅の認定通知書の写しなど、いくつかの選択肢のいずれかが求められます。買換え特例を検討する場合は、売る前に3355の全文を読んでおくことをおすすめします。

登記事項証明書は「取らない」で済ませられる

不動産番号等の明細書に、13桁を書く

タックスアンサー3305には、こう書かれています。「土地・建物の登記事項証明書については、『譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書』に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます」。

この明細書は国税庁が様式を公表しています。書くのは、不動産の種別(土地/建物)、特例適用条文(措・震と条項番号)、資産の区分(譲渡資産/買換(代替・交換取得)資産)、所在及び地番または家屋番号、そして不動産番号です。1枚に5件まで書けます。

様式の注記に、不動産番号の在りかが書かれています。「不動産番号は、13桁の番号で、登記事項証明書等(例えば、登記事項証明書の表題部の『不動産番号』欄)に記載されています」。過去に取得した登記事項証明書や、購入時に受け取った書類に載っていれば、新たに取りに行く必要はありません。

もう1つ注意書きがあります。「地番・家屋番号は、住居表示番号(○番○号)とは異なりますので、注意してください」。2面の所在地欄と同じ論点です。

明細書すら要らない場合もある

様式の本文には、さらにこう書かれています。「登記事項証明書の写しなど不動産番号等の記載があるものを提出いただくことで、登記事項証明書の添付(提出)を省略することもできます(その場合、この明細書の提出は不要です。)」。

つまり、手元に登記事項証明書の写しがあるなら、それを出せば原本を取り直す必要はありません。この省略が使えるのは、法令上「登記事項証明書」の添付(提出)が規定されているものに限られます。

省略の対象になる主な特例

様式の裏面に「登記事項証明書の添付(提出)省略の対象となる主な譲渡所得の特例一覧表」があります。載っているのは、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31条の3)、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法33条)、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33条の3)、農地保有の合理化等のための譲渡所得の特別控除(措法34条の3)、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除(措法35条3項)、特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除(措法35条の2)、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36条の2)、特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37条)、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の課税の特例(措法37条の5)、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41条の5)、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41条の5の2)です。

それでも取るなら、600円・520円・490円

不動産番号が手元の資料から分からない場合は、登記事項証明書を取ることになります。法務省が公表している登記手数料(令和7年4月1日~)は次のとおりです。

請求方法 手数料額
書面請求(登記所の窓口・郵送) 600円
オンライン請求・送付 520円
オンライン請求・窓口交付 490円

1通の枚数が50枚を超える場合は、超える枚数50枚までごとに100円が加算されます。

国税庁のタックスアンサー3305にも、法務局からのお知らせとして「オンラインによる請求は、手数料が安く、平日は21時まで可能です」と記載されています。土地と建物で2通必要になることが多いので、オンライン請求・送付なら1,040円です。

なお、売却で手元に残る金額そのものの計算手順は、家を売って手元に残る金額で4つの引き算として整理しました。

いつ、どこへ、どうやって出すか

申告期間は2月16日から3月15日

タックスアンサー2020は、申告等の期間を「原則として、その年の翌年2月16日から3月15日まで」、申告および納付の期限を「原則として、その年の翌年3月15日」としています。2026年中に売ったなら、2027年2月16日から3月15日です。提出先は所轄税務署です。

作成については、国税庁が確定申告書等作成コーナーを用意しています。3302の関連リンクには「画面の案内に沿って金額を入力することによりご自宅等で確定申告書等の作成・提出ができます」「必要な付表や明細書も、入力することで自動的に作成されます」とあります。内訳書も画面上で作れます。

納付についても注意があります。2020は「申告書の提出後に、税務署から納付書の送付や納税通知書等によるお知らせはありません」と明記しています。振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング等、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)、現金納付の7つの方法が挙げられており、自分で選んで期限までに納めます。申告書を出しただけでは、納付は終わりません。

まとめ

家を売った年の確定申告で提出するのは、確定申告書、申告書第三表(分離課税用)、譲渡所得の内訳書の3点です。内訳書は一の契約ごとに1枚で、使う面は特例によって変わります。3,000万円特別控除だけなら1面・2面・3面です。

計算は内訳書の中で完結します。2面で①譲渡価額を確定させ、3面「2」で②取得費(土地の小計+建物の小計-償却費相当額)、3面「3」で③譲渡費用を出し、3面「4」でA収入金額からB必要経費を引いてC差引金額、そこから特別控除を引いてE譲渡所得金額。Eを申告書第三表に転記します。

建物の償却費相当額は、建物の購入・建築価額×0.9×償却率×経過年数です。償却率は構造で決まり、鉄筋コンクリートなら0.015。経過年数の6か月以上の端数は1年に切り上げ、6か月未満は切り捨て。償却費相当額は建物の取得価額の95パーセントが限度です。

添付書類は、売ったことではなく使う特例で決まります。3,000万円特別控除は内訳書のみ、軽減税率は登記事項証明書が加わり、買換え特例では書類が一気に増えて提出期限も別にあります。自分がどの条文の特例を使うのかを先に決めれば、必要な書類は国税庁のタックスアンサーが教えてくれます。

そして、登記事項証明書は取らずに済ませられる場合があります。不動産番号等の明細書に13桁の不動産番号を書くか、不動産番号の記載がある写しを出せば足ります。取る場合でも、オンライン請求・送付なら1通520円です。

よくある質問(FAQ)

会社員ですが、売った年は自分で確定申告するのですか

はい。土地や建物の譲渡所得は分離課税で、年末調整では処理されません。タックスアンサー2020は、土地や建物の譲渡所得がある場合などには申告書第三表(分離課税用)を申告書と併せて使用するとしています。譲渡所得の内訳書も自分で作成します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力することで内訳書と申告書を作成でき、必要な付表や明細書も自動的に作成されます。勤務先での手続きではないため、期限は自分で管理することになります。

土地と建物を1本の契約で売りました。内訳書は1枚ですか2枚ですか

1枚です。内訳書1面の注意事項は「この内訳書は、一の契約ごとに1枚ずつ使用して記載し」としており、基準は契約の数です。土地と建物を同じ契約書で売ったなら契約は1つなので、1枚の中で土地と建物を分けて記載します。3面「2」の表は土地の行と建物の行が分かれており、それぞれの小計が(イ)と(ロ)になります。逆に、同じ年に別々の契約で2件売った場合は2枚必要で、用紙右上の「提出  枚のうちの  」欄にその旨を記載します。

買ったときの契約書に、土地と建物の内訳がありません

建物だけを償却する必要があるため、内訳が必要になります。内訳書3面の償却費相当額の欄には「□標準」というチェックボックスがあり、建物の標準的な建築価額による建物の取得価額の計算をしたものはここに印を付けるよう指示があります。計算方法については、内訳書の注記が国税庁の「譲渡所得の申告のしかた」を参照するよう案内しています。金額の影響が大きい論点なので、手元の資料(消費税額の記載がある契約書、購入時のパンフレットなど)を集めたうえで、税務署または税理士に確認してください。

特別控除額の欄には3,000万円と書くのですか

C差引金額を超える金額は書けません。3面「4」のE譲渡所得金額はC-Dで計算する構造になっており、Dに3,000万円と書いてCがそれ以下ならEがマイナスになってしまいます。3,000万円特別控除は「3,000万円を限度として控除できる」ものなので、Cが691万2,000円ならDも691万2,000円、Eはゼロです。なお、控除の結果として税額がゼロになる場合でも、確定申告は必要です。特例は申告して初めて適用されるためです。

不動産番号はどこを見れば分かりますか

「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」の注記は、不動産番号を13桁の番号とし、登記事項証明書等(例えば、登記事項証明書の表題部の「不動産番号」欄)に記載されているとしています。購入時や住宅ローンの借入時に取得した登記事項証明書が手元にあれば、そこに載っているはずです。同じ注記には、地番・家屋番号は住居表示番号(○番○号)とは異なるという注意も書かれています。手元に資料がない場合は登記事項証明書を取得することになり、法務省が公表している手数料は書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円です。

申告書を出したら、納付書が送られてきますか

届きません。タックスアンサー2020は「申告書の提出後に、税務署から納付書の送付や納税通知書等によるお知らせはありません」と明記しています。納付方法として挙げられているのは、振替納税、ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)、インターネットバンキング等、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)、現金で納付する方法の7つです。納付の期限は申告期限と同じく原則として翌年3月15日なので、申告を済ませた時点で納付方法まで決めておくと、期限を過ぎる事故を防げます。

様式と提出書類は、国税庁のページで確認できます

譲渡所得の内訳書の様式は申告書添付書類一覧から、特例ごとの提出書類はタックスアンサーからダウンロード・確認できます。書類を集める前に、この2つを開いて自分が使う特例を確定させてください。

国税庁 申告書添付書類一覧
国税庁 マイホームを売ったときの特例

本記事は一般的な情報提供を目的としています。本文の計算は仮定値による計算例です。個別の物件・税務の判断は、税理士または所轄税務署にご相談ください。様式は「令和7年分以降用」(令和7年11月版)、手数料は令和7年4月1日以降のものです。令和8年分の様式は2026年秋以降に公表されます。

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