
会議のAI要約を見て「間違いだらけだ」と言われることがあります。決定事項が抜けている、話していないことが書かれている、そもそも要約が出てこない。でも公式ヘルプを読むと、原因の多くは要約の賢さではなく、入力の側にありました。
この記事では、MicrosoftのTeams向けヘルプと、GoogleのMeet向けヘルプに書かれている内容だけを並べ、要約が欠ける条件と、その直し方を整理します。内容は各社の公式ヘルプで確認したものです。製品の仕様は更新されるため、運用を決める前には原典で最新の記載をご確認ください。
結論:要約が下手なのではなく、材料が欠けている
先に結論を置きます。要約の精度を上げようとすると、たいていプロンプトの書き方や別のツールの検討に向かいます。でも公式の記載を並べると、要約が読める範囲そのものに、はっきりした条件が付いていることが分かります。条件を外れた部分は、賢さの問題ではなく、最初から存在しません。
読める範囲は、公式に書かれている
たとえばMicrosoftのヘルプには、Teamsの会議でCopilotがチャットに書かれた内容と、会議のトランスクリプトにキャプチャされた音声コンテンツ(利用可能な場合)を使用して、包括的な情報と分析情報を提供しますと書かれています。読むのはこの2つです。つまり、トランスクリプトに入らなかった発言は、Copilotから見ると存在しません。Googleのヘルプにも、要約が不完全または不正確であったり、生成されなかったりするケースについて、具体的な理由が列挙されています。「うまくいかないことがある」ではなく、「こういう条件だとこうなる」と書かれているのが重要です。条件が分かれば、直せます。
直す順番は、入力・設定・確認
順番も決めておきます。1つ目、入力を欠けさせない。記録の開始と停止、話す言語、会議の長さ、資料の映し方。ここが本記事の中心です。2つ目、設定を合わせる。要約の長さやセクションは選べる場合があります。3つ目、出てきた要約を、決まった観点だけ確認する。全文を読み直すと自動化の意味がなくなるので、確認する項目を絞ります。この順番で手を入れると、同じツールのままで結果が変わります。プロンプトの工夫は、入力が揃ってからで間に合います。以降の節で、公式に書かれている条件をひとつずつ見ていきます。
公式に書かれている「欠ける条件」
どれもプロンプトでは埋められない。
要約は、何を読んでいるのか
まず前提です。要約の間違いを直すには、それが何を材料にしているかを知る必要があります。ここは製品によって違い、公式にはっきり書かれています。思っているより読んでいる範囲が広い部分と、狭い部分の両方があります。
Teamsはチャットとトランスクリプトを読む
Microsoftのヘルプによると、TeamsのCopilotは誰が話したか、何を言ったかなど、主要なディスカッションポイントを要約し、アクションアイテムを提案し、会議中または会議後にリアルタイムで質問に回答します。材料については、チャットに書かれた内容と、会議のトランスクリプトにキャプチャされた音声コンテンツ(利用可能な場合)を使用と明記されています。つまり、話した内容だけでなく、会議チャットに書き込まれたテキストも要約の材料になるということです。発言しづらい人がチャットに書いた意見は拾われる可能性がある一方、チャットの雑談も材料に入ります。ここは知っておくと、使い分けができます。
会議の24時間前のチャットまで含まれる
さらに広い記載があります。誰かが会議で文字起こしを開始した場合、Copilotは会議の最大24時間前のチャットデータを文字起こしに含めます。これは見落とされがちな挙動です。会議の前日に会議チャットで交わしたやりとりが、会議の要約の材料に入る可能性があるということになります。事前の段取りの相談や、参加できない人の伝言が入るのは便利ですが、議題と関係ない前日の雑談が要約に混ざる余地もあります。要約に身に覚えのない話題が出てきたとき、会議中ではなく前日のチャットから来ている可能性を疑ってみてください。
Meetは音声に加えて画面も見る
GoogleのMeetは構成が違います。自動メモ生成の設定にメモ内のスクリーンショットという項目があり、スライドや関連ドキュメントなど、プレゼンテーションに似たリソースが含まれる場合がありますと説明されています。オンにすると会議画面の上部に「Geminiは、スクリーンショットを使用してメモを改善する場合があります」というメッセージが表示され、参加者に知らせる仕組みです。この設定はメモを開始するユーザーに関係なく、デフォルトで自動的に選択されます(管理者がオフにしている場合を除く)。音声だけでなく、映した資料も材料になるという点が、Teamsとの大きな違いです。
記録が止まると、要約も止まる
ここから具体的な欠け方に入ります。いちばん大きいのが、記録そのものが動いていない区間です。当たり前に聞こえますが、実際の会議では意図せずこの状態が起きます。公式の書き方もかなり明確で、条件と結果が1対1で書かれています。
文字起こしを止めると、Copilotも止まる
Microsoftのヘルプには、シンプルに書かれています。会議の参加者が文字起こしを開始するとすぐにCopilotが起動します。文字起こしを停止すると、Copilotも停止します。この2行がすべてです。途中で誰かが機密の話をするために文字起こしを止め、そのまま再開を忘れる。よくある場面ですが、その区間は要約に反映されません。そして厄介なのは、止まっていたことが要約の側からは分からない点です。短い要約が返ってきたとき、議論が少なかったのか、記録が止まっていたのかは区別できません。記録の開始と停止を誰が管理するかは、決めておいたほうが安全です。
文字起こしされなかった部分は、会議後に消える
もうひとつ重い記載があります。会議が終了すると、文字起こしされなかった音声テキスト変換データおよびCopilotとの対話は利用できなくなります。会議中はCopilotが動いていたのに、終わってから見ると使えない、という状況がここから生まれます。関連して、会議が終了した後に会議で何が言われたかについて質問するには、会議のトランスクリプトが利用可能である必要がありますとも書かれています。会議中の体験と、会議後に残るものは別ということです。あとから読み返す前提なら、文字起こしがオンになっていることを会議の冒頭で確認するのが確実です。
定期会議では、過去の履歴が消えることがある
定期開催の会議についても注記があります。定期的な会議でのCopilotとの以前の会話履歴は、シリーズの後の会議で文字起こしされた場合、使用できなくなります。さらに、文字起こしされた会議のトランスクリプトが使用できなくなった場合、Copilotは使用できなくなり、Copilotとの以前の会話履歴はすべて削除されますとされています。定例会議で前回の議論を参照したい、という使い方は成立しない場合がある、と読めます。継続して参照したい内容は、要約の中に置いたままにせず、別の場所へ書き出しておく。これが運用としての答えになります。
言語は、一度にひとつしか選べない
次は言語です。日本語と英語が混ざる会議は珍しくありませんが、ここには明確な制約が書かれています。知らずに使うと、片方の言語の内容がそのまま落ちます。設定で回避できる部分とできない部分があるので、先に切り分けます。
複数言語の会議には対応していない
Googleのヘルプには、自動メモ生成についてヒントとして書かれています。この機能は一度に1つの言語にのみ対応し、現在のところ、複数の言語で行われる会議には対応していません。対応言語自体は、英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語が挙げられていますが、その中から1つを選ぶという構造です。日英が行き交う会議では、どちらに設定しても片方が不利になります。「精度が悪い」と感じている会議が、実は仕様の範囲外だったというケースは、ここに当てはまります。粘っても改善しない種類の問題です。
30秒という判定がある
救いになる仕組みも用意されています。会議の設定とは異なる言語が30秒以上にわたって話された場合、メモの言語を変更するオプションを含む通知が表示され、「言語を変更」または「無視」を選択できます。つまり、途中で言語が切り替わったことを検知して、聞いてくれるわけです。ただし条件があり、この場合の言語設定の更新は、今後の会議や定期的な会議には適用されません。その場限りの変更です。また、この操作を行うと、「Geminiに相談」機能、すべての実行中の会議記録、およびそれらに関連付けられたメモの言語も同時に変更されますとも書かれています。途中で切り替えると、その会議全体の扱いが変わるということです。
言語が混ざる会議は、設計で分ける
公式の記載から導ける対処は、技術的な工夫ではなく会議の設計です。日本語のパートと英語のパートが両方重要なら、会議を分けるか、片方を記録の対象外と割り切るか、どちらかになります。前者が理想ですが、現実には難しいこともあります。その場合は、記録として残す言語を先に宣言してしまうのが実務的です。「この会議のメモは日本語で作ります」と冒頭で伝えれば、参加者も重要な結論を日本語で言い直してくれます。仕様に人が合わせる、という発想です。これは逃げではなく、範囲外の使い方で粘るより確実に結果が出ます。
短い会議は、要約されないことがある
ここは意外と知られていない部分です。要約が出てこない、あるいは中身が薄いとき、原因が会議の長さにある可能性が公式に示されています。しかも具体的な数字まで書かれているので、自分の会議が対象かどうかをその場で判断できます。
15分という下限が書かれている
Googleのヘルプには、会議の要約が不完全または不正確であったり、生成されなかったりする場合がありますとしたうえで、理由が3つ挙げられています。会議のコンテンツがGoogle Meetの利用規定に準拠していない。会議中に接続の問題が発生した。会議の長さが推奨される15分以上になっていない。3つ目が重要です。推奨される15分以上になっていないと明記されています。10分で終わる短い定例で要約が薄い、出てこない、というのは、ツールの不調ではなく想定の範囲内だということになります。短い会議に要約を期待するのは、そもそも設計と合っていません。
接続の問題も、理由として挙がっている
もうひとつ、見落としやすいのが接続です。同じリストに会議中に接続の問題が発生したとあります。参加者の回線が不安定だった会議で、要約の一部が抜けることがある、と読めます。これも要約側の工夫では直りません。重要な意思決定をする会議ほど、回線の安定した環境から参加する。当たり前のようですが、記録の品質に直結するという理由づけがあると、社内で言いやすくなります。移動中にスマートフォンから参加した人の発言が、要約に残っていない可能性がある、という前提で確認するのも有効です。
短い会議は、要約より別の手段を使う
では10分の定例はどうするか。公式の記載からは、要約以外の手段に寄せるのが素直です。たとえば、会議の最後に決定事項だけを口頭で読み上げて、その部分を誰かがチャットに書く。前の節で見たとおり、Teamsの場合はチャットの内容も材料になります。あるいは、複数の短い会議をまとめて1つの長い会議にする。会議の長さは、要約の品質に効く変数だったということです。ツールを変える前に、会議の設計を見直したほうが早い場面があります。このあたりは、AIの話というより会議運営の話になります。
資料は、映っていた時間で扱いが変わる
資料の扱いにも、具体的な数字が書かれていました。会議で見せたスライドが要約に反映されないとき、その理由がここにあることがあります。条件は非常に単純で、知ってさえいれば会議中のちょっとした行動だけで対応できる種類のものです。
10秒以上、画面に表示された場合に限られる
Googleのヘルプには、メモ内のスクリーンショットについてこう書かれています。スクリーンショットが含まれるのは、プレゼンテーションが10秒以上画面に表示された場合に限られます。つまり、さっと1枚だけ見せて次に進んだ資料は、メモに入らない可能性があります。会議では、補足のために一瞬だけ画面を共有することがよくあります。その資料が記録に残らない、という挙動は、言われてみれば納得ですが知らないと気づけません。要約に残したい資料は、10秒以上映す。これだけで扱いが変わります。
スクリーンショットは既定でオンになる
この機能の既定値についても記載があります。メモを開始するユーザーに関係なく、この設定はデフォルトで自動的に選択/オンになります(管理者がこの機能をオフにしている場合を除く)。そしてオンにすると、会議画面の上部に「Geminiは、スクリーンショットを使用してメモを改善する場合があります」というメッセージが表示されます。参加者に知らせるための表示です。意図せず資料が記録される可能性があるということでもあるので、社外を含む会議では、何が記録されるかを冒頭で共有しておくと安心です。表示が出ることを知らないと、参加者が驚きます。
記録に残したくない部分は、止められる
逆に、残したくない場面への備えも書かれています。メモの作成の停止と再開について、主催者の組織内の参加者であれば、いつでも自動メモ生成を停止することができます。これにより、機密性の高い会話やセンシティブな会話を概要から外すことが可能になります。ただし、主催者向けの設定がオンになっている会議では、メモの開始と停止を行えるのは主催者と共同主催者のみです。止められる人が限られる設定がある、という点は運用上の注意です。止めたら再開する、をセットで決めておかないと、前の節で見たとおり、その区間がまるごと欠けます。
直す順番は、入力から
ここまでの条件を、実際の手順に落とします。すべてを毎回やる必要はありません。会議の性質に応じて、どれを守るかを決めておくのが現実的です。ここでも推測は混ぜず、公式に書かれている条件だけで組み立てていきます。
会議の冒頭で、3つを確認する
まず会議の入口です。1つ目、記録が始まっているか。Teamsなら文字起こしがオンか、Meetならメモ生成が開始されているか。2つ目、言語の設定が、実際に話す言語と合っているか。3つ目、記録していることを参加者に伝えたか。3つ目はマナーの話に見えますが、実務的な意味があります。記録されていると分かっていると、参加者は結論を言い直してくれるからです。曖昧なまま終わりかけた議題に対して「じゃあ結論としては」と誰かが言う。この一言が要約の質を大きく変えます。ツールの設定より、この一言のほうが効くことも珍しくありません。
会議中は、長さと映し方を意識する
次に会議中です。短い会議では要約が生成されないことがある、という記載を踏まえると、10分程度で終わる会議は、要約に頼らない前提で進めるのが無難です。決定事項をチャットに書く、あるいは口頭で明確に宣言する。資料については、要約に残したいものを10秒以上表示する。そして、機密の話で記録を止めたなら、その場で再開する。止めたまま終わると、それ以降がまるごと欠けます。会議中にやることは、この3つだけです。どれも難しい操作ではなく、知っているかどうかだけの差になります。
会議後は、確認する項目を絞る
最後に会議後です。要約を全文チェックすると、自動化の意味がなくなります。確認するのは、決定事項に含まれる固有名詞、担当者、期限の3つに絞るのが実務的です。Googleのメモにはクイックメモと完全なメモの2つのタブがあり、前者はアクションアイテムなど、会議の最も重要なポイントのみの短い要約、後者は要約、決定事項、アクションアイテム、詳細など、会議のより長く詳細な概要とされています。ベータ版では決定事項のセクションが結果を「調整済み」「さらなる議論が必要」「意見の相違あり」「保留中」として追跡します。この分類が合っているかを見るだけでも、読み直しより速く済みます。
まとめ
AI要約が間違う場所は、モデルの賢さではなく入力の側にありました。Microsoftのヘルプは、Teamsの会議でCopilotがチャットに書かれた内容と、会議のトランスクリプトにキャプチャされた音声コンテンツ(利用可能な場合)を使用するとしています。そして文字起こしを停止すると、Copilotも停止します。さらに会議が終了すると、文字起こしされなかった音声テキスト変換データおよびCopilotとの対話は利用できなくなります。記録が動いていない区間は、あとから取り返せません。
言語には明確な制約があります。Googleのヘルプは、自動メモ生成が一度に1つの言語にのみ対応し、現在のところ、複数の言語で行われる会議には対応していませんとしています。会議の設定とは異なる言語が30秒以上にわたって話された場合は変更を促す通知が出ますが、その変更は今後の会議には適用されません。日英が混ざる会議は、設定ではなく会議の設計で対応するしかありません。
そして数字が2つあります。要約が不完全または不正確であったり、生成されなかったりする理由として、会議の長さが推奨される15分以上になっていないことが挙げられています。また、メモ内のスクリーンショットが含まれるのはプレゼンテーションが10秒以上画面に表示された場合に限られます。記録を動かす、言語を1つに決める、15分未満は要約に頼らない、残したい資料は10秒以上映す。プロンプトを直す前に、この4つを確認してください。
よくある質問(FAQ)
会議の途中から要約が薄くなったのはなぜですか
記録が止まっている可能性があります。Microsoftのヘルプには、会議の参加者が文字起こしを開始するとすぐにCopilotが起動し、文字起こしを停止するとCopilotも停止する、と書かれています。機密の話のために止めて、再開を忘れているケースが考えられます。
会議中は使えたのに、あとから見ると要約が見つかりません
Microsoftのヘルプには、会議が終了すると、文字起こしされなかった音声テキスト変換データおよびCopilotとの対話は利用できなくなる、と書かれています。また、会議終了後に何が言われたかを質問するには、会議のトランスクリプトが利用可能である必要があるとされています。
日本語と英語が混ざる会議の精度が上がりません
Googleのヘルプには、自動メモ生成は一度に1つの言語にのみ対応し、現在のところ複数の言語で行われる会議には対応していない、と書かれています。設定とは異なる言語が30秒以上話された場合は変更を促す通知が表示されますが、その変更は今後の会議には適用されません。
短い会議で要約が生成されないことがあります
Googleのヘルプは、要約が不完全または不正確であったり生成されなかったりする理由として、会議のコンテンツが利用規定に準拠していない、会議中に接続の問題が発生した、会議の長さが推奨される15分以上になっていない、の3つを挙げています。
会議で見せた資料がメモに入っていません
Googleのヘルプには、メモ内のスクリーンショットが含まれるのは、プレゼンテーションが10秒以上画面に表示された場合に限られる、と書かれています。一瞬だけ共有した資料は入らない可能性があります。
要約に、会議で話していない話題が出てきました
Microsoftのヘルプには、誰かが会議で文字起こしを開始した場合、Copilotは会議の最大24時間前のチャットデータを文字起こしに含める、と書かれています。前日の会議チャットのやりとりが材料に入っている可能性があります。
自分の環境の条件を確かめる
仕様と対象プランは更新されます。運用を決める前に、Teams で Microsoft Copilot を使用して会議に追いつく(Microsoft Support)で最新の記載をご確認ください。