
ショップの名前は、あとで思いつくことがあります。運営しているうちに、もっといい名前が浮かぶ。扱う商品が変わって、最初の名前が合わなくなる。
そのときに変えられるかどうかは、最初に何を選んだかで決まっていました。各カートの公式ヘルプとJPRSの規則を確かめたところ、後から変えられないものがいくつもあります。
とくに驚いたのが1つあります。1件でも注文が入ると、URLを変えられなくなるカートがありました。 この記事では、何が変えられて何が変えられないのかを、公式の記載で整理します。
ショップのURLは、後から変えられないカートがある
まずカートのURLです。無料で始めると、たいてい「店の名前.カート名.jp」のような形になります。ここの文字列を後から変えられるかどうかが、カートで分かれていました。
この部分は、看板そのものです。名刺にもSNSにも書きますし、買った人がブックマークするのもこのURLです。変えられないなら、決める前に時間をかける価値があります。
公式ヘルプの記載を並べます。
BASE
「BASEでショップを開設するときに登録したURLは、あとから変更できません。 どうしても変更したい場合は、一度退会して、あらためて別のURLにて新規登録する必要があります」
「退会後、同じURLを再利用することはできません」とも書かれています
カラーミーショップ
「ショップアカウント(サブドメインのショップURL)、ログインIDの変更はできません。 変更されたい場合は、現在の契約を一旦解約して頂き、再度お申し込みして頂く事となります」
「お申し込みごとに初期費用が必要」「残り期間の返金…などはできません」と続きます
Shopify
「myshopify.comのドメイン名を変更することもできますが、変更できるのは1回のみです」
出典:各社の公式ヘルプ
STORESは「1件でも注文があると」変えられない
STORESだけ、条件の書き方が違いました。変更できる、と書いたうえで、できないストアの条件が2つ挙げられています。
この2つ目が、今回いちばん意外だったところです。変更できるカートだと思って選んだのに、運用を始めた時点で変えられなくなる。そういう作りになっていました。
変更対象外ストア 下記いずれかに当てはまる場合は、URLの変更はできません。
独自ドメインを取得済みのストア
STORES ネットショップ または STORES モバイルオーダーでオーダー履歴があるストア出典:STORES 公式ヘルプ(2026年9月24日更新)
オーダー履歴があると変えられません。 つまり、1件でも売れたらそこで確定します。
つまり、開店前に決めきる必要がある
テスト注文を自分で入れて動作を確認する。よくやることですが、それも履歴になる可能性があります。手順の順番としては、URLを確定させてからテストするほうが安全です。
そして、本当に売れ始めてから「やっぱり店名を変えたい」と思っても、そのときにはもう遅いことになります。
名前を考える段階では、まだ何も始まっていないので早く進めたくなります。ただ、ここだけは時間をかけたほうがいい部分でした。1日考えて決まらないなら、2日かけても損はありません。
STORESで取った独自ドメインの所有者は、STORES
独自ドメインを使えば自由になるかというと、これも取り方によります。STORESの公式ヘルプに、はっきりした記載がありました。
取得した独自ドメインの所有者は STORES となります。
「オーナー様がお持ちのドメインを利用することや、STORESで取得した独自ドメインを外部サイトへ移管することはできません」とも書かれています
出典:STORES 公式ヘルプ(2026年8月6日更新)
自分のドメインのつもりで使っていても、所有者は自分ではありません。外に持ち出せないということは、カートを乗り換えるときにURLが変わるということです。
取れる形式も「.com」「.net」「.shop」の3種類で1つだけ、利用できるのはベーシックプランかスタンダードプランに限られる、とされていました。
逆の選択肢もあります
カラーミーショップの公式ヘルプには、エコノミー以上のプランでは追加料金なしで独自ドメインを設定できる、フリープランでは月額550ポイントのオプションで設定できる、と案内されていました。こちらは自分で取ったドメインを使う形です。
BASEも「独自ドメイン App」で反映できるとされていて、ドメインそのものは他社のサービスで取得する前提の書き方になっています。
つまり、自分で取ったドメインを載せる形と、カートが取って持っている形の2種類があります。後者は手軽ですが、出ていくときに持ち出せません。
独自ドメインなら、カートを移っても残る
ここまでの話をまとめると、方針は1つに絞られます。自分で取った独自ドメインを最初から当てておく。
そうすれば、カートのURLが変えられなくても関係ありません。お客さんが見るのは独自ドメインのほうだからです。カートを乗り換えても、同じURLのまま引っ越せます。
年に千円台から数千円の維持費はかかります。ただ、無料で始めて売れ始めてから移ろうとすると、それまでのブックマークも検索結果も全部作り直しになります。
始めるときにやることは2つだけ
1つ目、ドメインを取る。2つ目、カートの設定でそれを当てる。どちらも1時間もかかりません。
迷うのは、どのカートを使うかが決まっていない段階です。ただ、ドメインはカートより先に取っても困りません。どのカートにも当てられます。先にドメインを押さえておくほうが、選択肢が減りません。
なお、STORESで取得する形を選ぶ場合は、上で書いた所有者の話があります。手軽さと引き換えに何を渡すのかを、先に知っておいてください。
ドメイン名そのものも、後から変えられない
では、独自ドメインなら名前を変えられるのか。ここも調べました。JPRSはJPドメイン名を管理している組織で、規則を公開しています。
結論として、汎用JPドメイン名には、文字列を変更する手続きがありませんでした。 申請の種類を並べたページにも、規則本文にも、その手続きは見当たりません。
あるのは廃止と、廃止した後の再登録についての規定です。
第24条(廃止された汎用JPドメイン名の再度の登録) 廃止された汎用JPドメイン名(廃止されたものとみなされる汎用JPドメイン名を含む)は、廃止日から1か月間、再度の登録申請ができないものとする。
出典:JPRS「汎用JPドメイン名登録等に関する規則」
つまり、名前を変えたければ新しく取り直すことになります。手放したドメインは1か月間、誰も登録し直せません。
使える文字にも決まりがある
取る前に知っておくと早いので、書いておきます。汎用JPと都道府県型JPの英数字ドメイン名は「半角英数字(A〜Z、0〜9)・半角のハイフン『-』」で、長さは「3文字以上63文字以下」とされています。
ハイフンについては別の注意もありました。先頭と末尾には使えません。それから、3文字目と4文字目にハイフンが連続しているドメイン名も登録できない、と例示されています。
日本語のドメイン名も取れますが、メールで送ったりSNSに書いたりしたときの見え方が変わることがあります。入力してもらう場面を想像して決めてください。
co.jpは会社しか取れない
信頼感を出したくて co.jp を考える人もいると思います。ここには登録の条件がありました。
JPRSの公式ページには、co.jpについて「日本国内で登記を行っている会社が登録できます」と書かれています。株式会社、合同会社などが挙げられていました。
そして、属性型・地域型のJPドメイン名については「原則、一つの組織で一つのドメイン名が登録できます」とも書かれています。いくつも持てるものではありません。
個人で始めるなら、汎用JPか他の形
一方、汎用JPと都道府県型JPは「日本国内に住所をもつ個人・団体・組織であれば誰でもいくつでも登録できます」とされていて、登録数に制限はありません。
個人事業として始めるなら、こちらになります。あとで法人化したときに co.jp へ移るという選択肢は残りますが、そのときはURLが変わります。
なお、属性型・地域型のJPドメイン名には、汎用JPには無い変更の規定が置かれていました。会社になってから考える話なので、ここでは深く扱いません。
WHOISで隠せるのは、登録者名だけ
個人でドメインを取るときに気になるのが、登録者情報の公開です。ここは誤解しやすい部分でした。
JPRSの公式ページには「JPドメイン名の登録情報は、Whoisで公開することを原則としております」とあります。そのうえで、2014年から非表示にできる機能が提供されています。
ただし、非表示にできる範囲が限られていました。
本機能の利用が可能なドメイン名は、汎用JPドメイン名・都道府県型JPドメイン名です。…Whoisの検索結果から[登録者名]、[Registrant]の情報を非表示
出典:JPRS「Whois登録者情報非表示設定」(中略は筆者)
非表示になるのは登録者名です。同じページには「公開連絡窓口には、登録者に確実に連絡のつく情報を登録してください」という注意も書かれていました。
自宅で運営しているなら、確認しておく
自宅の住所で開業している場合、ここは一度自分の目で確かめておく項目です。取得した後に、自分のドメインをWHOISで検索してみてください。
登録を代行している事業者によって、公開連絡窓口に何を入れられるかが変わります。事業者の情報を代わりに出せる仕組みを持っているところもあります。取る前に、その事業者の案内を読んでおいてください。
ちなみに、特定商取引法に基づく表示のほうにも住所と電話番号の話があります。そちらは別の記事にまとめています。
名前を決める前に、商標を調べる
最後に、名前そのものの話です。同じ名前や似た名前が、すでに商標として登録されている場合があります。
商標法には、権利者ができることが書かれていました。知らずに使っていた、という言い分が通る話ではないので、先に調べておく項目になります。
商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
出典:商標法 第36条第1項(e-Gov法令検索)
さらに第37条は「侵害とみなす行為」として、登録商標に類似する商標の使用なども挙げています。同じでなくても対象になるということです。
調べるのは無料でできます
特許庁が公開しているJ-PlatPatで検索できます。特許庁の公式ページには、読み方から調べる手順が案内されていました。商標検索を選び、出願・登録情報を選んで、検索項目で「称呼(類似検索)」を選び、読み方を全角カタカナで入れる、という流れです。
費用はかかりません。名前の候補が出た段階で、一度ここを通しておく。 看板を作ってから気づくより、ずっと安く済みます。
自分で商標を取る場合の費用も条文で確かめました。商標法第40条第1項は、登録料を「三万二千九百円を超えない範囲内で政令で定める額」に区分の数を掛けた額としています。出願の手数料は別表に上限が定められていて「一件につき六千円に一の区分につき一万五千円を加えた額」となっていました。実際の金額は、この範囲内で政令が定めます。 特許庁の手数料一覧のページには今回アクセスできなかったので、現在の額はそちらで確かめてください。
この記事で確認した内容のまとめ
変えられるものと変えられないものを、公式の記載で分けて並べます。この記事でいちばん伝えたいのは、後者のほうです。
後から変えられないものは、決めるときの重みが違います。急いで決めていい部分と、時間をかけるべき部分を分けるために使ってください。
それから、確かめられなかったことも書いておきます。金額は、公式で確認できたものだけを載せています。
カートのURL(サブドメイン)
BASE:変更できない。退会して別URLで新規登録。同じURLの再利用も不可
カラーミーショップ:変更できない。解約して再申し込み(初期費用がかかる)
STORES:変更できるが、オーダー履歴があると不可。独自ドメイン取得済みも不可
Shopify:myshopify.comの部分は1回だけ変更できる
独自ドメイン
STORES:所有者はSTORES。外部への移管はできない。ベーシック以上のプラン限定
カラーミーショップ:エコノミー以上は追加料金なし。フリーは月額550ポイントのオプション
BASE:独自ドメインAppで反映。ドメインは他社サービスで取得する前提
ドメイン名そのもの(JPRS)
汎用JPに文字列の変更手続きは見当たらず。廃止した場合、廃止日から1か月間は再登録申請ができない
英数字は3文字以上63文字以下。先頭と末尾にハイフンは使えない
co.jpは「日本国内で登記を行っている会社」限定で、原則1組織1つ
WHOISと商標
非表示にできるのは登録者名。公開連絡窓口には連絡のつく情報を登録するよう案内されている
商標法第36条で差止請求ができ、第37条は類似する商標の使用も侵害とみなす
確認できなかったこと
商標の出願料と登録料の現在の額(特許庁の手数料一覧のページにアクセスできませんでした。条文で確認できたのは上限の定め方のみです)
Shopifyで独自ドメインを使うために必要な最低プランと購入価格
※各社の公式ヘルプ、JPRSの公式サイトと規則、e-Gov法令検索の条文を確認したものです。仕様と法令は変わります。商標の判断については専門家に確かめてください。
よくある質問
ショップのURLは後から変えられますか
カートによります。BASEは公式ヘルプに「あとから変更できません」とあり、退会して別のURLで新規登録することになります。同じURLの再利用もできません。カラーミーショップも変更できず、解約して再申し込みとなり、そのたびに初期費用がかかると案内されています。STORESは変更できますが、オーダー履歴があるストアと独自ドメインを取得済みのストアは対象外です。Shopifyはmyshopify.comの部分を1回だけ変更できるとされています。
無料プランで始めて、あとから独自ドメインにすればいいですか
できますが、順番として損をします。無料のURLで運営している間に、そのURLがブックマークされ、SNSに書かれ、検索結果に載ります。あとから独自ドメインに移すと、それが全部作り直しになります。年に千円台から数千円の維持費で、この作り直しを避けられます。ドメインはカートを決める前に取っても構いません。どのカートにも当てられるので、先に押さえておくほうが選択肢が減りません。
ドメイン名は後から変えられますか
汎用JPドメイン名について、文字列そのものを変更する手続きは見当たりませんでした。JPRSの規則にあるのは廃止と再登録の規定で、第24条は「廃止された汎用JPドメイン名…は、廃止日から1か月間、再度の登録申請ができないものとする」としています。つまり、新しく取り直すことになります。なお、属性型・地域型のJPドメイン名(co.jpなど)には変更の規定が置かれていますが、そちらは登記した会社が対象です。
個人でドメインを取ると、住所が公開されますか
JPRSの公式ページには「JPドメイン名の登録情報は、Whoisで公開することを原則としております」とあります。非表示にできる機能もありますが、対象は汎用JPと都道府県型JPで、隠せるのは登録者名です。同じページには「公開連絡窓口には、登録者に確実に連絡のつく情報を登録してください」という注意も書かれています。自宅で運営しているなら、取得した後に自分のドメインをWHOISで検索して、何が出るかを確かめておいてください。登録を代行する事業者によって扱いが変わります。
同じ名前の店があったら問題になりますか
相手が商標を登録している場合は、問題になる可能性があります。商標法第36条第1項は、商標権者が「侵害の停止又は予防を請求することができる」としています。さらに第37条は、登録商標に類似する商標の使用も侵害とみなすと定めています。同じでなくても対象になるということです。名前の候補が出た段階で、特許庁のJ-PlatPatで調べてください。無料です。読み方から探す場合は、商標検索から出願・登録情報を選び、検索項目で称呼(類似検索)を選んで、全角カタカナで入力する手順が特許庁の公式ページに案内されています。
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売れる前に、名前を確定させる
1件でも注文が入るとURLを変えられなくなるカートがあります。開店の前に、名前を決めて、J-PlatPatで調べて、独自ドメインを当てる。この順番だけ守ってください。