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送信先は業種で選ぶものではない
フォーム営業の送信先を決めるとき、多くの場合は業種と規模で絞ります。IT業界の従業員50名以上、といった形です。
この切り方は間違いではありませんが、フォーム営業では効きが弱い。理由があります。
業種で切ると外れる理由
業種と規模が示すのは、商材が合うかどうかです。フォーム営業で先に効いてくるのは、その会社が外部からの提案を受け付ける気があるかどうかです。
同じ業種・同じ規模でも、問い合わせ窓口を開いている会社と、営業を明確に断っている会社があります。後者に送れば、商材が完璧に合っていても結果は同じです。
そして断っている会社に送ると、返信率が下がるだけでは済みません。苦情になり、会社ごと接触不可になります。
フォームの作りが受け入れ度を示す
ここで使えるのが、フォームそのものです。問い合わせフォームは、その会社が誰からの連絡を想定しているかを示しています。
お問い合わせ種別に「営業・提案」がある会社は、営業の連絡が来ることを前提に窓口を設計しています。逆に「営業目的のご連絡はお断りします」と書いてある会社は、意思を表示しています。
この情報は、リストを買っても付いてきません。送信の直前に、1社ずつ見て判断します。
3群と除外に分ける
3群に分けて配分を決める。除外は配分の対象外で、そもそも送らない。
お問い合わせ種別を見る
最初に見るのは、お問い合わせ種別のプルダウンです。ここに何が並んでいるかで、群が決まります。
種別に「営業・提案」がある場合
| 選択肢の例 | 読み取れること |
|---|---|
| 営業・提案のご連絡 | 営業の連絡が来る前提で窓口を分けている。読む担当者も決まっている |
| 協業・アライアンス | 外部との取り組みを探している。提案の余地がある |
| 取材・メディア掲載 | 広報窓口。商材の提案には使わない |
| 採用に関するお問い合わせ | 人事窓口。送らない |
1つ目と2つ目がある会社が、S群です。種別を分けているということは、振り分ける人がいるということでもあります。文面が適切なら、担当者まで届く確率が高くなります。
そして送るときは、必ずその種別を選んでください。営業の提案を「その他」で送ると、振り分けの手間を相手に押し付けることになります。
「その他」しかない場合
種別はあるが、営業に該当する選択肢がない。この場合はA群です。
拒否もしていないので、送ること自体に問題はありません。ただし振り分けの仕組みが無いので、1行目で用件が分からないと読まれません。文面の重要度が上がります。
1行目の設計はフォーム営業の文面で書きました。A群にはそちらの型をそのまま使ってください。
種別そのものが無い場合
名前、メール、本文だけのフォーム。これがB群です。
小規模な会社や、サイトを作ったまま更新していない会社に多い形です。そもそも問い合わせが来ることを強く想定していない可能性があります。
送ってはいけないわけではありませんが、通知先のメールアドレスが生きているかも分かりません。配分を少なくして、反応を見てから増やしてください。
判定にかける時間
1社ずつ見ると聞くと、時間がかかる作業に思えます。実際には1社あたり20秒から30秒です。
見るのは3つだけだからです。種別のプルダウン、営業お断りの記載、必須項目。フォームのページを開いた時点で、3つとも画面に入っています。
100社で30分から50分。この時間を惜しんで断っている会社に送ると、1件の苦情で数時間が消えます。割に合いません。
そして判定は一度やれば、その会社に対しては当面使えます。送るたびにやり直す作業ではありません。
送らない相手を先に外す
群を分ける前に、除外を確定させます。順番が逆だと、除外すべき相手が配分の中に混ざります。
明示の記載がある
| 記載の例 | 扱い |
|---|---|
| 営業目的のご連絡はお断りします | 除外。恒久 |
| 営業・勧誘目的でのご利用はご遠慮ください | 除外。恒久 |
| お取引のご提案はお受けしておりません | 除外。恒久 |
| 個人情報の取り扱いに同意のうえ送信してください | 除外ではない。通常の注意書き |
上の3つは、意思の表示です。ここに送ると、法令以前に信用の問題になります。判断の根拠はフォーム営業は違法なのかで整理しました。
利用規約や注意書きに書いてある場合
フォームの近くではなく、サイトの利用規約に書いてある会社があります。これも意思の表示です。
ただし、全社の利用規約を読むのは現実的ではありません。フォームのページ内と、そこからリンクされている注意書きまでを見る。これを基準にしてください。
基準を決めておくと、担当者によって判断が変わりません。「どこまで見たか」が揃っていないと、除外リストの精度が人によって変わります。
一度断られた相手
返信で断られた会社は、その場で除外リストに入れてください。数か月後に別の担当者が送る事故は、ここを怠ると起きます。
除外の持ち方は名刺を営業リストに入れていいのかで書いた列設計と同じです。会社の表に状態を持ち、抽出条件で外します。
そして除外は会社単位です。支店や部署のフォームが別にあっても、送りません。
必須項目から読む
種別の次に見るのが、必須項目です。ここからも読み取れることがあります。
個人名と電話が必須の場合
氏名と電話番号が必須のフォームは、返答の前に人を特定する運用になっています。いい加減な問い合わせを弾く設計です。
ここに送る場合、こちらも実在の担当者名と、つながる番号を書いてください。代表番号だけ書いて折り返しに出られない状態は、最も印象が悪い。
逆に言えば、折り返しを受けられる体制が無いなら、このフォームには送らないという判断もあります。
項目が多いフォーム
会社規模、業種、導入時期、予算。こうした項目が並ぶフォームは、既存の見込み客向けに作られています。
営業の提案をここから送ると、項目を埋められません。埋めないと送信できず、適当に埋めると内容と合わなくなります。
この形のフォームは、別の窓口を探してください。会社概要のページや、代表メールアドレスの記載があることがあります。
自由記述の文字数制限
本文欄に文字数の上限があるフォームがあります。200字や400字で切られる場合、用意した文面が入りません。
送信前に上限を確認して、入らないなら短い版を使ってください。途中で切れた文面が送られるのが最悪です。
短い版は、用件と問いだけに絞ります。詳細は返信が来てから送る。この切り替えができるように、文面を2つ持っておくと止まりません。
送信ボタンの前の同意チェック
個人情報の取り扱いに同意するチェックボックスがあるフォームが増えています。これ自体は通常の注意書きで、除外の理由にはなりません。
ただし、同意した内容は読んでおいてください。「送信された情報を自社のサービス案内に利用する場合があります」と書かれていることがあります。
つまりこちらの担当者名とメールアドレスが、相手の営業リストに入る可能性があるということです。困るわけではありませんが、知らずに送るのと知って送るのでは違います。
実務としては、フォーム送信に使うアドレスを代表窓口のものに統一しておくと迷いません。個人のアドレスを入れないだけで、この論点は消えます。
フォームの置き場所と種類
同じ会社に複数のフォームがある場合、どれを使うかで結果が変わります。
グローバルナビにあるか
サイト上部のメニューに「お問い合わせ」がある会社は、外部からの連絡を想定しています。フッターの奥にしか無い会社は、想定が弱い。
これは絶対の基準ではありませんが、群を判断するときの補助になります。種別が「その他」だけでも、ナビに窓口があるならA群の中で優先度を上げてよい。
資料請求・見積もりフォームは使わない
資料請求や見積もり依頼のフォームは、買う側が使うものです。ここから営業の提案を送ると、相手の営業担当が対応してしまいます。
対応した側から見れば、見込み客だと思って動いた時間が無駄になります。これは苦情になりやすい形です。
フォームが1つしかなく、それが資料請求用だった場合は、送らない判断をしてください。B群ではなく除外に近い扱いです。
採用・取材フォームは使わない
採用フォームと取材フォームも同じです。人事や広報の担当者が対応することになり、目的と合いません。
そして採用フォームは応募者の個人情報を扱う窓口です。営業の提案がそこに混ざると、相手の運用を乱します。
この3種類を避けるだけで、苦情の多くは防げます。リストを作る段階で、フォームの種類を列に持ってください。
優先順位を4段に分ける
ここまでの判断を、4段にまとめます。
4段の定義
| 段 | 条件 | 配分 |
|---|---|---|
| S | 種別に「営業」「提案」「協業」がある | 1日の50% |
| A | 種別が「その他」だけ、または種別なしでナビに窓口がある | 1日の35% |
| B | 種別なし。窓口の想定が読めない | 1日の15% |
| 除外 | 営業お断りの記載、資料請求・見積もり・採用・取材のみ、過去に断られた | 送らない |
この配分は、始めるときの目安です。数か月動かして群ごとの返信率が出たら、実測に合わせて動かしてください。
1日の配分
配分を決める理由は2つあります。
1つ目、S群だけに送ると、すぐ枯れるからです。S群は全体の一部しかありません。使い切ると、次の月にリストを作り直すことになります。
2つ目、群ごとの返信率を測るには、どの群にも送り続ける必要があるからです。B群を0にすると、B群の数字が永遠に出ません。
Bを完全に捨てない理由
B群の返信率は、おそらくS群より低い。それでも捨てない理由は、群の判断が外れることがあるからです。
種別の選択肢が無い会社でも、社長が直接見ている小さな会社なら、反応は速い。フォームの作りから読み取れるのは想定であって、実際の運用ではありません。
15%という配分は、この誤差を測り続けるための枠です。測って本当に低ければ、そのとき減らせばよい。
配分を守る仕組み
配分を決めても、抽出のときに守られないと意味がありません。
単純なのは、その日の送信対象を抽出する条件に群を含める形です。1日60件なら、S群から30件、A群から21件、B群から9件を別々に抽出して結合します。
全件をまとめて抽出して上から60件にすると、リストの並び順でS群に偏ったりB群に偏ったりします。並び順は配分の設計ではありません。
そして各群の中では、最終送信日が古い順に並べてください。同じ会社に繰り返し当たるのを、これで防げます。
記録に持つ列
群で分けた効果は、記録が無いと分かりません。必要な列を決めます。
フォーム種別の列
会社の表に足す列 フォームURL フォームの群 S / A / B / 除外 種別の選択肢 営業 / 協業 / その他のみ / なし フォームの用途 問い合わせ / 資料請求 / 採用 / 取材 必須項目 氏名 / 電話 / 会社名 / 本文のみ 本文の文字数上限 数値、無ければ空欄 確認日 この判定をした日
7列。最後の確認日が無いと、いつ時点の判断かが分からなくなる。
確認日を持つ理由は、フォームが変わるからです。サイトの改修で種別が増えることも、営業お断りの記載が追加されることもあります。
この鮮度の考え方は営業リストの鮮度で書いたとおりです。フォームのURLは寿命が短い項目でした。
送信できた率を群ごとに出す
群ごとに2つの率を出してください。送信できた率と、返信率です。
送信できた率は、群の判定が正しいかを見る指標になります。B群でエラーが多いなら、そもそも窓口が機能していません。
返信率の分母と分子の決め方はフォーム営業の返信率で書きました。群ごとに出すときも、定義は1つに揃えてください。群ごとに定義が違うと比較になりません。
群の定義を見直す頻度
3か月に1回で足ります。それより短いと、群ごとの件数が溜まりません。
見直すのは配分です。群の定義そのものは変えないでください。定義を変えると、それ以前のデータと比較できなくなります。
やりがちな失敗
最後に、送信先の選び方でよく見る失敗を3つ挙げます。
同じ会社の複数フォームに送る
問い合わせフォームと、事業部ごとのフォームが別にある会社があります。両方に送ると、社内で同じ内容が2通回ります。
受け取った側から見れば、手当たり次第に送っていることが分かります。1社1フォームを原則にしてください。
どれを選ぶかは、種別の選択肢が最も整っているものです。整っているほど、振り分けの仕組みがあります。
グループ会社に同時に送る
親会社と子会社の両方がリストに入っていることがあります。同じ週に両方へ送ると、グループ内で共有されます。
法人番号でグループを判定するのは難しいので、社名の前方一致で束ねる方法が現実的です。同じ束からは、同じ月に1社だけ選ぶ。
名寄せの考え方は営業リストの重複をどう潰すかで書きました。グループの束ね方は、そこでの名寄せとは別の処理になります。
リストを作ってから寝かせる
フォームを1社ずつ見て群を判定するのは時間がかかります。まとめて判定して、数か月かけて送っていく運用になりがちです。
ここで問題が起きます。判定から送信までの間に、フォームが変わっている可能性があるからです。
判定から送信までは2週間以内に収めてください。それ以上空くなら、送信の直前にフォームURLだけでも確認し直す。判定のやり直しまでは要りません。
まとめ
- 業種と規模が示すのは商材が合うか。フォーム営業で先に効くのは提案を受け付ける気があるか
- その情報はリストを買っても付いてこない。送信の直前に1社ずつ見る
- 最初に見るのはお問い合わせ種別のプルダウン
- S群。種別に「営業」「提案」「協業」がある。振り分ける人がいるので担当者まで届きやすい
- S群に送るときは必ずその種別を選ぶ。「その他」で送ると振り分けを相手に押し付ける
- A群。種別が「その他」だけ。拒否はしていないが振り分けの仕組みが無く、1行目の設計がそのまま出る
- B群。種別なし。通知先が生きているかも分からないので配分を少なくする
- 除外を先に確定させる。群分けより前。順番が逆だと配分に混ざる
- 除外は会社単位。支店や部署のフォームが別にあっても送らない
- 「どこまで読んで除外とするか」の基準を決める。フォームのページ内とそこからの注意書きまで
- 氏名と電話が必須なら、折り返しを受けられる体制が無い限り送らない
- 項目が多いフォームは既存の見込み客向け。別の窓口を探す
- 本文の文字数上限を送信前に確認する。短い版の文面を用意しておく
- 資料請求・見積もり・採用・取材のフォームは使わない。相手の担当者の時間を奪う
- 配分はS 50% / A 35% / B 15%。Bを0にすると、B群の数字が永遠に出ない
- 会社の表に7列足す。確認日を必ず持つ
- 1社1フォーム。グループ会社は同じ月に1社だけ
- 判定から送信までは2週間以内。空くならフォームURLだけ確認し直す
送信先を選ぶ工程は、リストを絞る作業ではありません。相手が用意した窓口の形から、どこまで想定されているかを読む作業です。読んでから送れば、返信率も上がりますし、苦情も減ります。
よくある質問
フォーム営業の送信先はどう選べばいいですか
業種と規模ではなく、フォームの作りで選んでください。業種が示すのは商材が合うかどうかで、フォーム営業で先に効くのは提案を受け付ける気があるかどうかです。お問い合わせ種別に「営業」「提案」「協業」がある会社をS群、「その他」だけをA群、種別がないものをB群として配分します。
「営業お断り」と書いてある会社はどうしますか
除外してください。恒久です。これは意思の表示なので、送ると法令以前に信用の問題になります。判断の基準は「フォームのページ内と、そこからリンクされている注意書きまでを見る」と決めておくと、担当者によって判断が変わりません。除外は会社単位で、支店や部署の別フォームにも送りません。
資料請求フォームから営業を送ってもいいですか
使わないでください。資料請求や見積もりのフォームは買う側が使うもので、送ると相手の営業担当が見込み客だと思って対応します。動いた時間が無駄になるため、苦情になりやすい形です。採用フォームと取材フォームも同じで、人事や広報の運用を乱します。
S群だけに送ったほうが効率がいいのでは
2つ理由があります。S群は全体の一部しかないので、集中させるとすぐ枯れてリストを作り直すことになります。そして群ごとの返信率を測るには、どの群にも送り続ける必要があります。B群を0にすると、B群の数字が永遠に出ません。15%という配分は、判断の誤差を測り続けるための枠です。
同じ会社に複数のフォームがある場合はどうしますか
1社1フォームを原則にしてください。両方に送ると社内で同じ内容が2通回り、手当たり次第に送っていることが相手に分かります。選ぶのは、種別の選択肢が最も整っているものです。整っているほど振り分けの仕組みがあり、担当者まで届きやすくなります。
フォームの本文に文字数制限があったらどうしますか
送信前に上限を確認し、用意した文面が入らないなら短い版を使ってください。途中で切れた文面が送られるのが最悪です。短い版は用件と問いだけに絞り、詳細は返信が来てから送ります。この切り替えができるよう、文面を2つ持っておくと作業が止まりません。
群の判定はいつまで有効ですか
判定から送信までは2週間以内に収めてください。サイトの改修で種別が増えることも、営業お断りの記載が追加されることもあります。2週間以上空くなら、送信の直前にフォームURLだけでも確認し直してください。判定のやり直しまでは要りません。会社の表には確認日の列を持たせます。