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注文から発送までを1本に整える|前払いの注文は、法律が「通知」を求めていた

段ボール箱に囲まれて、1人で発送作業をしているところ

注文が入ってから発送するまでの流れは、慣れてしまえば単純です。確認して、梱包して、送り状を出して、渡す。

ただ、1人で回しているとその都度考える箇所が残ります。どのステータスにすればメールが飛ぶのか。キャンセルしたら在庫は戻っているのか。

それから、調べていて意外だったものがひとつあります。前払いで注文を受けたとき、法律が通知を義務づけている場合があります。 条文と各カートの公式ヘルプを確かめたので、流れの形にして書きます。

前払いの注文には、法律が通知を求めていた

銀行振込やコンビニ払いを用意していると、商品を送る前にお金を受け取ることになります。この形には、特定商取引法に条文があります。

第13条第1項です。長い条文なので、読みやすい形に区切って引きます。読み飛ばしたくなる文章ですが、自分に関係するかどうかがここで決まります。

販売業者又は役務提供事業者は、商品…につき売買契約…の申込みをした者から当該商品の引渡し…に先立つて当該商品…の代金…の全部又は一部を受領することとする通信販売をする場合において、郵便等により…申込みを受け、かつ、当該商品…の代金…の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨…その他の主務省令で定める事項をその者に書面により通知しなければならない。

出典:特定商取引に関する法律 第13条第1項(e-Gov法令検索。中略は筆者)

先に代金を受け取る売り方で、実際に受け取ったら、遅滞なく通知しなければならない。 こう書かれています。

ただし、すぐ送れば要りません

同じ項に、ただし書が続いています。ここを読まないと話が違ってきます。

ただし、当該商品…の代金…の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付し…たときは、この限りでない。

出典:特定商取引に関する法律 第13条第1項ただし書

入金を確認してすぐ発送するなら、通知は不要になります。在庫を持っていて、入金の翌日に出せる。この形なら当てはまりません。

当てはまるのは、入金からすぐには送れないときです。 受注生産、取り寄せ、予約販売。あるいは在庫を切らしていて仕入れから始まる場合。ここは通知が必要になる側です。

メールで済ませることもできます

条文には「書面により通知しなければならない」とあります。ただ、第2項に代わりの方法が置かれていました。

販売業者又は役務提供事業者は、前項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、当該申込みをした者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。

出典:特定商取引に関する法律 第13条第2項

電磁的方法、つまりメールなどで出せます。ただし「当該申込みをした者の承諾を得て」という条件が付いています。勝手にメールに切り替えていい、とは書かれていません。

なお、第14条第1項では第13条第1項の違反が主務大臣による指示の対象として挙げられています。罰則の話をしたいのではなく、ここは自由に決めていい部分ではないということです。

通知に書く内容は、施行規則が6つ決めている

では、その通知に何を書くのか。条文は「主務省令で定める事項」としか書いていないので、施行規則まで降りました。

特定商取引に関する法律施行規則の第37条に、6つ並んでいます。カートが自動で送っている入金確認メールが、この6つを満たしているとは限りません。

条文が「主務省令で定める事項」と書いているときは、そこで止まらずに省令まで見にいく必要があります。本則だけを読んで判断すると、内容がまるごと抜け落ちます。今回もそうでした。

1. 申込みを承諾する旨又は承諾しない旨

2. 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号

3. 受領した金銭の額及びそれ以前に受領した金銭があるときはその合計額

4. 当該金銭を受領した年月日

5. 申込みを受けた商品名及びその数量又は権利若しくは役務の種類

6. 申込みを承諾するときは、その商品の引渡時期

出典:特定商取引に関する法律施行規則 第37条(e-Gov法令検索)

つまずきやすいのは2番と6番

2番は、氏名または名称に加えて住所と電話番号が並んでいます。広告表示のほうには一定の条件で省略できる規定がありますが、第37条にそれにあたる規定は見当たりませんでした。

6番は引渡時期です。第38条には「商品の引渡時期…は期間又は期限をもつて表示すること」とあります。「準備でき次第」では、期間にも期限にもなりません。 「10月20日までに発送します」「入金確認から2週間以内に発送します」といった書き方になります。

それから、承諾しない場合の決まりもありました。第38条第1号は「申込みを承諾しない旨を通知するときは、既に受領している金銭を直ちに返還する旨及びその方法を記載すること」としています。断るときは、返金することとその方法まで書く必要があります。

やることは、テンプレートを1つ作るだけ

ここまで読むと面倒に見えますが、やることは1回だけです。上の6項目を入れた文面を作って、保存しておく。

受注生産や予約販売のときだけ、その文面に金額と日付と引渡時期を入れて送る。毎回考える作業ではありません。

自分の店が在庫販売だけで、入金後すぐ発送しているなら、ただし書に当てはまるので今は要りません。ただ、受注生産を始める日が来るかもしれないので、そのときに読み返せるようにしておくといいと思います。

注文のステータスは、カートで名前も数も違う

ここから運用の話です。まず、注文の状態を表す名前がカートごとに違いました。他の店の手順をそのまま真似できないのは、これが理由です。

BASEは6つあります。公式ヘルプに、それぞれの意味まで書かれていました。

BASEの注文ステータス

入金待ち → 銀行振込決済・コンビニ決済で、まだ入金されていない注文

未対応 → 発送が必要な注文

対応中 → 複数商品が購入された注文のうち、一部発送済みに変更した商品がある注文

対応済 → 発送済みの注文

キャンセル → キャンセル済みの注文

対応開始前 → 予約販売Appで長期予約商品の注文に表示される

STORESはもっと少なく、公式ヘルプの説明では「入金待ち」から「未発送」に切り替わり、発送すると完了になる流れです。支払い期限を過ぎると「注文は自動的にキャンセルされ、ステータスは『入金待ち』から『キャンセル』に変更されます」と書かれていました。

カラーミーショップは考え方が違って、入金の状態と発送の状態が別々の項目になっています。発送側は「未発送」と「発送済」で管理します。

Shopifyはさらに分かれていて、注文の状況・決済状況・フルフィルメント状況・返品状況が別々に持たれる作りでした。

「対応中」のような状態があるかを、先に見ておく

細かい違いに見えますが、1つだけ効くところがあります。一部だけ発送したときの扱いです。

複数の商品を1回で注文されて、1つだけ先に送る。この場面でBASEには「対応中」という状態が用意されています。自分のカートに同じものがあるかどうかで、運用の仕方が変わります。

無ければ、全部そろってから発送する運用にするか、注文を分けてもらうか、備考で管理するかを決めることになります。あとから困る前に、一度ステータスの一覧を開いて眺めておく価値はあります。

キャンセルしても、在庫が自動で戻るとは限らない

ここは実際に困る部分です。キャンセルしたら在庫は戻っている、と思い込まないほうがいいカートがありました。

キャンセルは、支払い期限を過ぎた注文や、購入者からの申し出で起きます。どちらも自分が望んで起こすことではないので、そのあとの処理まで気が回りません。返金の手続きを終えたところで、済んだ気になります。

ところが在庫は別の話でした。カートによって、戻る・選ぶ・別操作、と扱いが分かれています。公式ヘルプの記載を並べます。

Shopify

「『在庫を補充する』オプションはデフォルトで選択されており、キャンセルされたアイテムが在庫に戻されます」。既定で戻りますが、外すこともできます

STORES

キャンセル操作の途中で「在庫を元に戻すかを選択し」と案内されています。その場で選ぶ形です

BASE

「ステータスがキャンセルの場合、対象の商品をチェックすることで『選択した商品の在庫を戻す』ことができます」。別の操作が必要です

カラーミーショップ

受注編集で数量を変更した場合について「数量を変更した場合、在庫数に自動的に反映されます」と案内されています

売り切れていないのに、売れない状態になる

在庫が戻らないと、手元に商品があるのにサイトでは在庫ゼロのままになります。買いたい人が来ても買えません。

しかも、この状態は自分では気づきにくいところです。注文が来ないだけなので、売れていないのか、買えない状態なのかが見分けられません。

キャンセル処理をしたら、その商品ページを開いて在庫数を見る。この確認を手順に組み込んでおきます。 月に何度も起きることではないので、起きたときに必ずやる形にしておくほうが確実です。

どの操作でメールが飛ぶかを、先に知っておく

自動で送られるメールも、カートによって種類が違いました。ここを知らないと、同じ内容を二重に送ることになります。

BASEの公式ヘルプには、送信のタイミングが5つ並んでいました。注文確定時、入金確認時、入金催促、商品発送時、注文キャンセル時です。

入金催促については、細かい条件まで書かれていました。「コンビニ決済は、注文日より2日後、4日後の計2回送信されます」「銀行振込決済は、注文日より2営業日後、4営業日後の計2回送信されます」とあります。

商品発送時のメールについても、「発送手続き時に備考欄に入力いただいたコメントがメール内に記載されます」という説明がありました。備考欄に書いたことが、そのまま購入者に届きます。 社内向けのメモを書く欄ではない、ということです。

自分で送る前に、自動で送られていないかを見る

親切心で「入金を確認しました」と手で送ると、カートの自動メールと重なります。受け取る側からすると、同じ内容が2通届きます。

確かめ方は簡単です。テスト用に自分で1つ注文してみて、どこで何が届くかを見る。1回やっておけば、あとは迷いません。

そのうえで、自動で送られないところにだけ手を入れます。発送が遅れる連絡、在庫を切らしたときの連絡。ここは自動では出ないので、自分で送る場面になります。

発送の連絡に入れる項目

発送したことを伝えるとき、何を入れるか。カートの機能として用意されている項目を見ると、だいたい共通していました。

BASEは「変更するさいに配送業者、追跡番号、購入者へのコメントなどを入力することができます」と案内されています。カラーミーショップは配送会社と配送伝票番号の欄があり、「登録すると、受注メール及び発送メールに配送伝票番号が記載されます」とありました。

発送連絡に入れる4つ

1. 発送したこと(いつ出したか)

2. 配送会社名

3. 追跡番号(伝票番号)

4. 到着のおおよその目安

4番目は、書けるなら書いておくと問い合わせが減ります。ただし断定はしないほうが安全です。天候や交通の事情で遅れることがあるので、「2日から3日ほどで届く見込みです」くらいの書き方にします。

1人で回すときの型

ここまでの内容を、注文が入ってから発送するまでの順番に並べ直します。毎回これをなぞる形にすると、判断する場面が減ります。

1人で回していると、考える回数そのものが負担になります。手順を固定してしまうと、注文が増えても1件あたりの時間は増えません。

1. 注文を開いて、中身を確認する

商品と数量、配送先、備考欄。備考にギフト指定や日付の希望が書かれていることがあります

2. すぐ送れないなら、その場で連絡する

前払いで受けていて発送まで間が空くときは、第13条の通知にあたります。作っておいた文面に金額・日付・引渡時期を入れて送ります

3. 梱包して、送り状を出す

先に梱包を終えてから送り状をまとめて出すほうが、行ったり来たりが減ります

4. 管理画面で発送済みにして、伝票番号を入れる

ここで発送メールが飛びます。伝票番号を入れてから状態を変える順番にすると、番号の無いメールが飛びません

5. 集荷を呼ぶか、持ち込む

締め切り時刻を過ぎると翌日扱いになります。自分の地域の時刻を一度調べておきます

4番の順番だけ、少し気をつけてください。伝票番号を入れる前に状態を変えると、番号が書かれていないメールが先に届きます。受け取る側からすると、追えない連絡が来たことになります。

送り状は、無料のソフトで出せる

手書きの送り状は、枚数が増えると時間を取られます。宛先を書き写す作業そのものが、書き間違いの原因にもなります。

配送会社が無料のソフトを出していました。どちらも公式サイトで確認できます。有料のツールを探す前に、まずこちらで足りるかを見たほうが早いです。

どちらも、宛先を1件ずつ打ち込む道具ではありません。手元のデータを取り込んで、まとめて印字する作りになっています。手書きと比べると、時間の使い方そのものが変わります。

ヤマト運輸「送り状発行システムB2クラウド」

「宅急便の送り状やネコポスの宛名ラベルをお客さまがご利用されているプリンタで無料で発行いただけるサービスです」

「弊社とご契約いただいた法人や各種団体のお客さま、個人事業主のお客さまがご利用できます」

エクセル・CSV形式でのデータ取込み、配送状況の一括問合せができると案内されています

日本郵便「ゆうパックプリントR」

「お客さまがお持ちのパソコンとプリンタを使って、簡単に送り状などを印字できる無料のソフトウェアです」

データの取り込み、各種送り状の印字、発送履歴の管理ができると案内されています

カート側からデータを出せます

送り状ソフトに手で入力し直すのでは、手書きと変わりません。カート側から注文データを書き出せます。

カラーミーショップの公式ヘルプには、ヤマト運輸のB2クラウド、佐川急便のe飛伝II、ゆうパックプリントの形式に適した出力ができると案内されていました。Shopifyも管理画面の注文管理からCSV形式で書き出せます。STORESもオーダーCSVの機能があり、一度に出せる件数の上限が案内されていました。BASEは注文データダウンロードのAppを入れる形です。

ここを1回つなげておくと、発送作業の時間がまとまって減ります。注文が10件を超えたあたりから、差が出てきます。

集荷の締め切り時刻は、一度調べておく

日本郵便のWeb集荷のページには、申し込みができる時間帯が郵便番号単位で決まっていると書かれていました。東京23区などでは4つの区分があり、「7時までの受付」なら当日の8時から13時の枠を指定できる、といった形です。

締め切りを過ぎると、その日には取りに来てもらえません。1日ずれます。 自分の地域の時刻を一度調べて、作業を終える時刻の目標にしておくと、発送が翌日にずれ込むことが減ります。

この記事で確認した仕様のまとめ

条文と各カートの公式ヘルプで確かめた内容を並べ直します。法律の部分は自分の売り方によって関係するかどうかが変わるので、まずそこから見てください。

運用の部分は、自分のカートの欄だけを見れば足ります。他のカートの話は、乗り換えを考えるときに読み返せば十分です。

そして、確かめられなかったものも一緒に並べます。書かれていないことを書かれているように扱わないためです。仕様は変わるので、気になったときにどこを開けば確かめられるかも合わせて残しておきます。

前払いの通知(特商法第13条)

先に代金を受け取る売り方で、受領したら遅滞なく通知する義務がある

ただし、受領後すぐ送ったときは不要(ただし書)

申込者の承諾を得れば電磁的方法でもよい(第2項)。書く内容は施行規則第37条の6項目

キャンセル時の在庫

Shopify:既定で戻る(解除も可能)

STORES:キャンセル操作の途中で戻すかを選ぶ

BASE:キャンセル後に商品を選んで「在庫を戻す」操作をする

自動送信メール

BASE:注文確定時・入金確認時・入金催促・商品発送時・注文キャンセル時

発送メールには、備考欄に入力したコメントが記載される

送り状

B2クラウド:無料。ヤマト運輸との契約が必要で、個人事業主も対象

ゆうパックプリントR:無料のソフトウェア。印字と発送履歴の管理ができる

確認できなかったこと

STORESのオーダーCSVの列項目の一覧

Shopifyの発送処理の手順ページの日本語版(英語にしか到達できませんでした)

ヤマト運輸の集荷の締め切り時刻(地域により異なると案内されています)

※各社の公式ヘルプとe-Gov法令検索の条文を確認したものです。仕様と法令は変わります。法律の適用については、自分の売り方に当てはまるかどうかを専門家に確かめてください。

よくある質問

在庫を持っていて、入金後すぐ発送しています。通知は必要ですか

特定商取引法第13条第1項のただし書に「代金…の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付し…たときは、この限りでない」とあります。入金を確認してすぐ発送しているなら、この場合にあたります。必要になるのは、受注生産や取り寄せ、予約販売のように、入金から発送まで間が空く場合です。自分の売り方が変わったときに読み返せるよう、文面だけ作って保存しておくと安心です。

その通知は、メールで送っても大丈夫ですか

第13条第2項に、書面による通知に代えて電磁的方法で提供できるという規定があります。ただし条文には「当該申込みをした者の承諾を得て」という条件が付いています。書く内容は施行規則第37条の6項目で、申込みを承諾する旨、事業者の氏名または名称と住所と電話番号、受領した金額、受領した年月日、商品名と数量、引渡時期です。引渡時期は第38条で期間または期限をもって表示することとされています。

キャンセルしたら在庫は自動で戻りますか

カートによります。Shopifyは「在庫を補充する」オプションが既定で選択されていて、キャンセルしたアイテムが在庫に戻ります。STORESはキャンセル操作の途中で在庫を元に戻すかを選ぶ形です。BASEは公式ヘルプに「ステータスがキャンセルの場合、対象の商品をチェックすることで『選択した商品の在庫を戻す』ことができます」とあり、別の操作が必要になります。手元に商品があるのに在庫ゼロのままだと、買いたい人が買えません。キャンセル後は商品ページの在庫数を見る習慣にしておいてください。

発送しましたという連絡は、自分で送るべきですか

まず、カートが自動で送っていないかを確かめてください。BASEは商品発送時に自動送信されると案内されています。自動で送られているところに手で送ると、同じ内容が2通届きます。テスト用に自分で1件注文してみると、どこで何が届くかが一度で分かります。そのうえで、自動では送られない連絡だけを手で送ります。発送が遅れるときや、在庫を切らしたときがこれにあたります。

送り状を手書きしています。楽にする方法はありますか

配送会社が無料のソフトを出しています。ヤマト運輸のB2クラウドは「無料で発行いただけるサービス」で、契約した法人や団体に加えて個人事業主も利用できると案内されています。日本郵便のゆうパックプリントRも「無料のソフトウェア」です。さらに、カート側から注文データをCSVで書き出して、そのまま取り込めます。カラーミーショップはB2クラウドやゆうパックプリントの形式に合わせた出力ができると案内されていました。注文が10件を超えるあたりから、差がはっきり出ます。

自分のカートで、3つだけ確かめる

キャンセルで在庫が戻るか。どの操作でメールが飛ぶか。注文データをCSVで出せるか。この3つが分かれば、発送の手順は固定できます。

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