
商品を並べて、SNSも始めた。でも注文が来ない。そういうとき、広告を出そうという話になります。
ただ、広告は人を連れてくるだけのものです。連れてきた先に穴があると、費用だけが出ていきます。
では、その穴はどこにあるのか。探して回る必要はありませんでした。Googleが、改善が必要なサイトの例を一覧にして公開しています。 この記事では、その一覧を軸に、広告を出す前に埋めるところを並べます。
Googleが「改善が必要なサイト」を一覧で公開していた
Google Merchant Centerの公式ヘルプに、編集基準というページがあります。ショッピング広告や無料リスティングを出すときに、サイトが満たすべき品質の基準です。
このページには、基準を3つの分野に分けた説明が置かれていました。難しい言い回しに見えますが、中身は当たり前のことばかりです。
当たり前だからこそ、できているつもりで抜けます。自分の店で確かめないと分からない項目が並んでいました。
ウェブサイトの機能とアクセシビリティ: 店舗のウェブサイトがオンラインで、完全に機能し(リンク切れやプレースホルダがない)、ナビゲーションの妨げ(ログイン要件や強制的なログインなど)なしでアクセスできることを確認します。
ビジネスの透明性と信頼性: ユーザーが明確な連絡先情報、ビジネスの詳細、返品と払い戻しに関する完全なポリシーを簡単に見つけられるようにします。
購入の完全性: 対象国のすべてのユーザーが、技術的なブロックなしで、購入と購入手続きの取引を簡単かつ正常に完了できるようにします。
出典:Google Merchant Center ヘルプ「編集基準」(日本語)
そのまま、点検の項目になります
同じページには、問題のある状態が5つの見出しで並べられていました。サイトにアクセスできない、連絡先情報に不備がある、返品と払い戻しのポリシーがない、ログインが必要です、ユーザーが購入を完了できない、の5つです。
広告を出す前にどこを直せばいいか、という問いに対して、Googleが答えを先に書いてくれている形になります。
この記事では、このうち自分で埋められる3つを詳しく見ます。1つ目のサイトにアクセスできない、は主にサーバーやドメインの話なので、カートを使っているなら当てはまりません。
ただし、検索広告とショッピング広告では要求が違う
ここは先に整理しておきます。上に挙げた基準は、Merchant Centerを使うショッピング広告と無料リスティングのためのものです。
検索結果に文字で出る通常の検索広告については、要求が違いました。Google広告のポリシーには、リンク先についてこう書かれています。
正しく機能する広告のリンク先にユーザーが誘導されるようにするため、広告のリンク先とコンテンツが一般的なブラウザとデバイスで正常に機能する必要があります。
出典:Google 広告ポリシー ヘルプ「リンク先の要件」(日本語)
ページが正常に動くこと。求められているのはここまでで、返品ポリシーの掲載は検索広告の出稿条件には入っていませんでした。
それでも、埋めておいたほうがいい
条件に入っていないなら後回しでいいのか、というとそうでもありません。返品の条件が書かれていない店で、初めての人が買うかどうかという話だからです。
広告の審査を通ることと、広告費が回収できることは別です。Googleが基準として挙げている項目は、買う側が気にする項目でもあります。
だからこの記事では、検索広告だけを出すつもりの人にも同じ3つを見てもらうつもりで書いています。審査のためではなく、費用を無駄にしないためです。
穴1:連絡先情報に不備がある
1つ目の穴です。公式ヘルプには、問題のある状態としてこう書かれていました。
連絡先情報が欠落しているウェブサイト、または表示されている連絡先情報がMerchant Centerのアカウントの詳細と矛盾しているサイト。有効なメールアドレスや電話番号が例として挙げられています。
ここで押さえておきたいのは、欠落だけでなく矛盾も問題として挙げられている点です。書いてあればいい、という話ではありませんでした。
推奨事項: オンライン ショップに明確でアクセスしやすい連絡先情報を記載します。これらの詳細情報が、Merchant Center アカウントで提供された情報と照合されていることを確認してください。
出典:Google Merchant Center ヘルプ「編集基準」(日本語)
矛盾しているサイト、のほうが起きやすい
連絡先をまったく書いていない店は、あまり無いと思います。特定商取引法に基づく表記を用意していれば、そこに入っているからです。
起きやすいのは、後半の矛盾です。 引っ越したのに表記を直していない。電話番号を変えたのにサイトだけ古いまま。登録した情報と、サイトに出ている情報が食い違う。
広告を出す前に、自分のサイトの表記と、登録に使った情報を並べて見比べてください。1分で終わります。
穴2:返品と払い戻しのポリシーがない
2つ目です。ここは要求が具体的でした。ページがあるかどうかではなく、何が書かれているかまで示されています。
問題のある状態として挙げられているのは、店舗の返品ポリシーのページが存在しない、返品に関する要件が不完全である、払い戻しに関する条件がわかりにくいか見つけにくい、の3つです。
3つ目に注目してください。書いてあっても、わかりにくい場所にあれば同じ扱いになります。フッターの小さな文字の中に埋もれている状態は、ここに当たる可能性があります。
推奨事項: 返品と払い戻しに関する重要な情報がすべて記載され、簡単に見つけられるようにしてください。返品可能期間、返品方法、関連する送料、払い戻し手続きの費用と時間に関する詳細など、返品に関するすべての条件を明記します。
出典:Google Merchant Center ヘルプ「編集基準」(日本語)
4つの項目が名指しされている
引用の後半を分解すると、書くべきものが並んでいます。返品可能期間。返品方法。関連する送料。払い戻し手続きの費用と時間。
「不良品以外の返品はお受けできません」の1行では、このどれも埋まりません。受けない場合でも、その条件と、不良品だったときの手順は書くことになります。
返送の送料を誰が持つのかについては、特定商取引法にも条文があります。そちらは別の記事にまとめました。ここで確認したいのは、書いてあるかどうかと、見つけやすいかどうかです。
穴3:ユーザーが購入を完了できない
3つ目です。当たり前に見えて、いちばん見落とされる場所だと思います。
公式ヘルプには、指定された国の買い物客が簡単に取引を完了できないウェブサイト、または基本的な購入手続き機能が備わっていないウェブサイト、と書かれていました。
カートを使っていれば購入手続きの機能は付いてきます。ただ、決済の設定が終わっているかどうかは別の話です。設定の途中で止まったまま公開されている店は、実際にあります。
例: 購入ファネルの破損: [カートに追加]、[今すぐ購入]、ご購入手続きボタンが破損している、反応しない、エラーページに移動する。
推奨事項として「ショッピング カートと購入手続きのパイプラインが正しく機能し、普及しているすべてのデバイスで十分にテストされていることを確認してください」とあります
出典:Google Merchant Center ヘルプ「編集基準」(日本語)
自分では買わないから、気づかない
店を作った人は、購入ボタンを押しません。管理画面から商品を登録して、表示を確認して終わりにします。
ところが、決済の設定が途中で止まっていたり、特定の決済方法だけエラーになっていたりする。これは通してみないと分かりません。
だから、広告を出す前に自分で1件買ってください。スマホから、実際に決済まで通します。決済手数料は数十円で済みますし、あとから返金もできます。
そのときに、どのタイミングでどんなメールが届くかも見ておくと一度で済みます。メールの種類については別の記事で書きました。
ログインを強制すると引っかかる
5つの見出しのうち、もう1つ触れておきたいものがあります。ログインが必要です、という項目です。
会員制にして囲い込む作りを考えている場合、ここは先に読んでおいてください。メールアドレスを先にもらってから商品を見せる、という設計は、この基準とぶつかります。
囲い込みたい気持ちは分かりますが、まだ何も知らない人にとっては、見る前に個人情報を出せと言われている状態になります。
ログインまたは登録の強制: ユーザーが商品を確認したり、価格を確認したり、ストアフロントを閲覧したりするだけで、認証情報の提供やアカウントの作成を強制される。
推奨事項は「すべてのランディング ページと商品の詳細が、認証を必要とせずに一般公開されていることを確認します」
出典:Google Merchant Center ヘルプ「編集基準」(日本語)
ポップアップも同じ扱いでした
同じ項目の中に、もうひとつ例が挙げられています。購読を促すポップアップや全画面広告が、アイテムの閲覧を妨げたり、一般的なナビゲーションを妨げたりする、というものです。
推奨事項は「プロモーション要素やポップアップを簡単に閉じられるようにして、ブラウジングが中断されないようにしてください」でした。
メールアドレスを集めたくて、開いた瞬間に全画面のポップアップを出す。広告費を払って連れてきた人を、その画面で追い返していることになります。出すなとは書かれていませんが、閉じられるようにはしておきます。
予算は1日で2倍になることがある
穴が埋まったとして、次は費用の話です。ここで最初に知っておきたい仕組みが1つあります。
Google広告では1日の平均予算を設定しますが、これは日々ぴったりの上限ではありませんでした。
トラフィックの変動を利用して収益を獲得できるように、ある日のキャンペーンの費用が 1 日の平均予算の 2 倍になることもありますが、月末の時点で、1 日の平均予算の 30.4 倍を超える費用が発生することはありません。
出典:Google 広告ヘルプ「超過配信と1日の平均予算について」(日本語)
1日単位では2倍になることがある。ただし1か月で見ると、1日の平均予算の30.4倍までに収まる。 こういう仕組みです。
だから、月の上限から逆算します
1日いくらにするかを先に考えると、月にいくらかかるのかが見えません。逆から決めます。
月に3万円までと決めたなら、3万円を30.4で割って、1日の平均予算はおよそ986円。1日単位では2000円近くかかる日があっても、月末には3万円に収まります。
途中の数日だけを見て、思ったより使っている、と慌てて止める必要はありません。見るのは月の合計です。
なお、Google広告の最低予算額については、予算に関するページをいくつか見ましたが記載を見つけられませんでした。「最低でも月◯万円は必要」といった説明を見かけますが、公式に書かれているものは確認できていません。
掲載順位は、入札額だけでは決まらない
広告というと、お金を多く払ったほうが上に出る、という理解になりがちです。公式の説明は違いました。
Google広告ヘルプには「広告ランクのスコアは、大まかに次の6つの要素に基づいて決定されます」とあり、6つが並んでいます。
並べてみると、自分で動かせるものと動かせないものが混ざっています。競合の状況や検索した人の背景は、こちらでは決められません。動かせるのは入札額と、飛び先のページの出来です。
1. 入札単価
2. 広告とランディングページの品質
3. 広告ランクの下限値
4. オークションにおける競争力
5. ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)
6. 広告アセットやその他の広告フォーマットの効果
出典:Google 広告ヘルプ「広告ランクについて」(日本語)
2番目が、この記事の話とつながります
2番目の説明には、広告とランディングページの有用性と関連性、ユーザーのランディングページに対する期待値、ランディングページのナビゲーションのしやすさなどを評価する、と書かれていました。
つまり、飛び先のページの出来が、掲載にも効いてきます。 穴を埋めるのは審査のためだけではない、ということになります。
入札額を上げて順位を買うより、ページを直すほうが安く済む場面がある。そう読める書き方でした。
この記事で確認した公式の記述まとめ
広告を出す前に見るところを、公式の記載で並べ直します。上から順に点検すれば、1時間もかかりません。
それから、公式に書かれていなかったことも分けて書きます。よく言われている話のうち、根拠を確認できなかったものです。
広告の分野は、経験談として語られる数字が多く出回っています。公式に書かれていないものは書かれていないと分かるようにしておけば、そのつど自分で確かめ直せます。
サイト側の点検(Merchant Centerの編集基準)
連絡先情報が書かれていて、登録情報と食い違っていないか
返品可能期間・返品方法・関連する送料・払い戻しの費用と時間が明記されているか
カートと購入手続きが最後まで通るか
閲覧にログインを強制していないか。ポップアップを閉じられるか
検索広告との違い
上の基準はショッピング広告と無料リスティングのもの
検索広告のリンク先に求められているのは「一般的なブラウザとデバイスで正常に機能する」こと
費用の仕組み
1日の費用は1日の平均予算の2倍になることがある
月末の時点で、1日の平均予算の30.4倍を超える費用は発生しない
公式に見つけられなかったこと
Google広告の最低予算額(予算に関するページに記載を見つけられませんでした)
Instagram広告にFacebookページが必須であること(確認できた公式の記載では、プロアカウントと支払い情報で投稿を宣伝できるとされています)
※Google 広告ヘルプ、Google 広告ポリシー ヘルプ、Google Merchant Center ヘルプの日本語ページを確認したものです。仕様とポリシーは変わります。
よくある質問
広告はいつから出せばいいですか
サイト側の穴を埋めてからです。Google Merchant Centerの編集基準には、改善が必要なサイトの例として、連絡先情報に不備がある、返品と払い戻しのポリシーがない、ユーザーが購入を完了できない、といった項目が並んでいます。広告は人を連れてくるだけなので、連れてきた先でこれらが欠けていると費用だけが出ていきます。まず自分のサイトをこの一覧で点検して、直してから出してください。点検自体は1時間もかかりません。
検索広告にも返品ポリシーは必要ですか
出稿の条件としては求められていません。返品ポリシーが挙げられているのはMerchant Centerの編集基準で、これはショッピング広告と無料リスティングのためのものです。検索広告のリンク先について公式が求めているのは「広告のリンク先とコンテンツが一般的なブラウザとデバイスで正常に機能する必要があります」までです。ただし、返品の条件が書かれていない店で初めての人が買うかどうかは別の話になります。審査を通ることと、広告費を回収できることは違います。
1日の予算を超えて請求されることはありますか
日単位ではあります。Google広告ヘルプに「ある日のキャンペーンの費用が1日の平均予算の2倍になることもありますが、月末の時点で、1日の平均予算の30.4倍を超える費用が発生することはありません」と書かれています。月で見れば上限が決まっているということです。だから、月にいくらまで使うかを先に決めて、それを30.4で割った額を1日の平均予算にします。月3万円なら1日およそ986円です。途中の数日を見て慌てて止める必要はありません。
お金を多く払えば上に表示されますか
入札額だけでは決まりません。Google広告ヘルプには「広告ランクのスコアは、大まかに次の6つの要素に基づいて決定されます」とあり、入札単価のほかに、広告とランディングページの品質、広告ランクの下限値、オークションにおける競争力、ユーザーが検索に至った背景、広告アセットやその他の広告フォーマットの効果が挙げられています。2番目の説明には、ランディングページの有用性や関連性、ナビゲーションのしやすさを評価するとあります。飛び先のページを直すほうが安く済む場面があります。
会員登録しないと商品を見られない作りでも大丈夫ですか
Merchant Centerの編集基準では、問題のある状態として挙げられています。「ユーザーが商品を確認したり、価格を確認したり、ストアフロントを閲覧したりするだけで、認証情報の提供やアカウントの作成を強制される」が例です。推奨事項は「すべてのランディングページと商品の詳細が、認証を必要とせずに一般公開されていることを確認します」となっています。同じ項目には、閲覧を妨げるポップアップや全画面広告も挙げられていて、簡単に閉じられるようにすることが推奨されています。
あわせて読みたい
広告を出す前に、自分で1件買う
スマホから、実際に決済まで通してみてください。カートが途中で止まっていないか。返品の条件はすぐ見つかるか。連絡先は合っているか。ここを通してから、広告に進みます。