
商品ページに「よくある質問」を置きましょう、という話はよく聞きます。理由として挙げられるのが、検索結果に質問と答えが並んで表示されるというものです。
その表示は、もうありません。Googleの公式ドキュメントに、そう書かれていました。
ただ、よくある質問を置くこと自体はおすすめです。 理由が変わっただけです。この記事では、公式の記載を確かめたうえで、何をどう書くかを並べます。
よくある質問のリッチリザルトは、もう出ません
まず、確かめたことから書きます。Googleの構造化データのドキュメントには、よくある質問のためのページがありました。FAQPageというものです。
そのページを開こうとしたところ、別の場所に転送されました。転送先は、Google 検索セントラルの変更履歴です。
よくある質問のリッチリザルト機能に関するドキュメントを削除
内容: よくある質問のリッチリザルト機能に関するドキュメントを削除しました。
理由: 2026年5月の変更履歴のエントリで発表されたとおり、よくある質問のリッチリザルト機能は Google 検索の検索結果に表示されなくなったためです。出典:Google 検索セントラル「ドキュメントの更新履歴」2026年6月15日の項(日本語)
ドキュメントごと消えています
機能が終わったのではなく、その機能を説明していたページ自体が削除されました。 以前のURLは、この変更履歴に転送されます。
つまり、いまから構造化データを書いても、検索結果に質問と答えが並ぶことはありません。それを目的に作業するのは、時間の使い方としてもったいないことになります。
同じ変更履歴には、手順を示すHow-toのリッチリザルトについても、サポートを終了したためドキュメントを削除した、という記載がありました。この種の機能がいくつか整理された流れのようです。
2023年に絞られて、2026年に無くなった
急に無くなったわけではありませんでした。変更履歴をさかのぼると、途中の段階が残っています。
2023年9月14日の項に、こう書かれていました。ここを読むと、いつから効かなくなっていたのかが分かります。
「よくある質問」の構造化データのドキュメントを更新し、この機能が、よく知られた信頼のおける政府機関および保健衛生関連のウェブサイトにのみ表示されることを記載しました。
出典:Google 検索セントラル「ドキュメントの更新履歴」2023年9月14日の項(日本語)
この時点で、対象が政府機関と保健衛生関連のサイトだけに絞られています。ネットショップは、すでに対象外でした。
機能そのものは残っていたので、構造化データを書くこと自体はできました。ただ、書いても表示されない状態です。
3年前から効かなくなっていた
つまり、個人のネットショップにとっては2023年の時点で効果が無くなっていたことになります。そして2026年に、機能そのものが無くなりました。
いま検索して出てくる解説の中には、この変更より前に書かれたものが混ざっています。構造化データを書けばリッチリザルトが出る、という前提の記事が残っています。
作業の前に、それが今も有効かどうかを確かめる。SEOまわりは特に、情報の賞味期限が短い分野です。
それでも書く理由は、別のところにある
では、よくある質問を置く意味は無くなったのか。そうではありません。理由が2つあります。
1つ目は、問い合わせが減ることです。 これがいちばん直接的な効果になります。
同じ質問が週に何度も来ると、その都度返信を書くことになります。1件5分でも、週に5件なら25分です。ページに書いておけば、その時間が浮きます。
2つ目は、広告の審査に関わること
Google Merchant Centerの編集基準には、改善が必要なサイトの例として、返品と払い戻しのポリシーがないこと、連絡先情報に不備があることが挙げられていました。
推奨事項として「返品可能期間、返品方法、関連する送料、払い戻し手続きの費用と時間に関する詳細など、返品に関するすべての条件を明記します」とも書かれています。
よくある質問は、こうした情報を買う人が探しやすい形で置く場所になります。規約のページに書いてあっても読まれませんが、質問の形なら読まれます。
広告を出すかどうかの話は、別の記事にまとめました。ここでは、書いておくと二度手間が減る、とだけ書いておきます。
何を書くかは、自分で考えない
ここからが本題です。よくある質問を作るときに、いちばんやってはいけないのが質問を想像で作ることだと考えています。
「送料はいくらですか」「配送日数はどれくらいですか」。こういう一般的な質問を並べても、たいして読まれません。他の店にも同じことが書いてあるからです。
読まれるのは、自分の店にだけ来る質問です。そしてそれは、すでに手元にあります。
材料はこの3つ
1. 問い合わせメールの履歴
2. SNSのコメントとダイレクトメッセージ
3. 返品・交換の理由
まだ1件も来ていない場合
開店直後だと、履歴がありません。その場合は、身近な人に商品ページを見せて、分からないところを聞いてください。
3人に見せれば、だいたい重なる質問が出てきます。自分では当たり前だと思っている部分が、いちばん抜けています。
それでも足りないなら、最初は3つで始めます。書くことが無いのに数を増やすと、読む価値のないページになります。売れ始めてから足していくほうが、質問の質が上がります。
問い合わせを3つに分ける
集めた質問を、そのまま並べるわけではありません。分類してから、置く場所を決めます。
分け方は3つです。買う前の質問、買ったあとの質問、そして商品そのものの質問。
分けるのは、置く場所と優先順位が変わるからです。全部を同じ扱いにすると、いちばん急ぐものが後回しになります。
それぞれが何を意味しているかも、あわせて書いておきます。質問の内容より、その質問が来たという事実のほうが情報になることがあります。
買う前の質問
送料、配送日数、支払い方法、ギフト対応。これが来るということは、買おうとして止まったということです
買ったあとの質問
届かない、返品したい、使い方が分からない。こちらは対応の手間になります
商品そのものの質問
サイズ感、素材、色味、手入れの方法。これは商品説明に足りないものを教えてくれます
優先順位は、買う前の質問から
3つのうち、最初に埋めるのは買う前の質問です。ここで止まっている人は、まだ1円も払っていません。
買ったあとの質問は、すでにお金をもらっている相手からのものです。対応の手間はかかりますが、売上は立っています。
そして、3つ目の商品そのものの質問が来たら、それはよくある質問に書く前に商品説明を直す合図です。サイズ感を聞かれるなら、説明文にサイズ感を書きます。質問と答えを増やすのは、その次です。
商品ページに置くか、別ページに置くか
置き場所も決めます。ここは分類がそのまま答えになります。
商品そのものの質問は、その商品ページに置きます。サイズ感や素材の話は、その商品を見ている人にだけ必要なものだからです。
送料や支払い方法のような、店全体に共通する質問は別ページにまとめます。商品ごとに同じことを書くと、変えるときに全部直すことになります。
ただし、リンクは商品ページから張る
別ページにまとめても、そこへの入り口が無ければ読まれません。商品ページの下のほうに、よくある質問へのリンクを置いておきます。
カートによっては、フッターに固定のリンクを置けます。そちらも設定しておくと、どのページからでもたどれます。
なお、検索に載せる目的なら、別ページのほうが有利になる場面があります。「店名 送料」のような検索に対して、そのページが答えになるからです。ただし、これは構造化データの話とは別です。
書き方は、1問1答に閉じる
質問と答えの書き方にも、決めておくことがあります。1つの質問に、1つの答えだけを書く。これだけです。
答えの中に別の話を混ぜると、読む人が探している情報が埋もれます。関連することがあるなら、別の質問として立てます。
1つの答えが長くなってきたら、質問が大きすぎる合図です。「配送について」のような広い質問を立てると、こうなります。
質問の書き方
聞かれた言葉そのままにする。「配送について」ではなく「注文してから何日で届きますか」
検索する人も同じ言葉を使います
答えの書き方
1行目で結論を書く。「はい、できます」「いいえ、できません」から始める
条件や例外は、そのあとに書きます
できないことも、書く
ギフト包装に対応していない。海外には送れない。領収書は発行していない。こういう「できないこと」も書いておきます。
書かないでおくと、聞かれます。そして、期待させたぶん断りにくくなります。先に書いておくほうが、双方にとって早いです。
それから、答えを曖昧にしないでください。「原則として」「基本的に」を付けると、例外があるのかと聞かれます。例外があるなら、その条件を書きます。
書いたあとに確かめること
作ったら、効いているかを見ます。見る数字は1つだけで足ります。
同じ質問が来る回数です。 よくある質問に書いたのに、まだ同じ質問が来る。その場合、原因は2つのどちらかになります。
どちらなのかは、返信のときに聞けば分かります。よくある質問のページに書いてあるのですが、見つけにくかったでしょうか。この一文を添えるだけです。
原因1:見つけられていない
置き場所か、リンクの問題です。商品ページからたどれるかを確かめます
原因2:読んだが、答えになっていない
書き方の問題です。質問の言葉が違うか、答えが曖昧かのどちらかになります
月に1回、5分で足ります
問い合わせの件名を並べて、同じものが2回以上あるかを見る。あれば、それを1つ追加する。この作業を月に1回やるだけで、ページが育ちます。
最初から完成させようとすると手が止まります。3つで公開して、毎月1つ足す。 1年で15個になります。
そして、来なくなった質問は残しておいて構いません。来なくなったのは、書いたから読まれているという意味かもしれないからです。
この記事で確認した公式の記述まとめ
Googleの公式ドキュメントで確かめた内容を並べます。作業を始める前に、この2つを知っておいてください。
SEOのために書く、という目的が消えたぶん、何のために書くのかがはっきりします。目的が変われば、書く内容も変わります。
検索のために書くなら、検索されそうな質問を並べることになります。問い合わせを減らすために書くなら、実際に来た質問だけを書きます。後者のほうが数は少なくなりますが、読まれます。
よくある質問のリッチリザルト
2026年、「Google 検索の検索結果に表示されなくなった」としてドキュメントが削除された
2023年の時点で、対象は「よく知られた信頼のおける政府機関および保健衛生関連のウェブサイト」に限られていた
同時期のその他の変更
How-toのリッチリザルトも、サポート終了に伴いドキュメントが削除されている
それでも書く理由
同じ問い合わせが減る
Merchant Centerの編集基準が、返品と払い戻しの条件を明記するよう求めている
この記事の提案(公式の記載ではありません)
質問は想像せず、問い合わせ履歴から拾う
買う前・買ったあと・商品そのもの、の3つに分ける
商品そのものの質問が来たら、まず商品説明を直す
※Google 検索セントラルとGoogle Merchant Center ヘルプの日本語ページを確認したものです。ドキュメントと機能は変わります。
よくある質問
FAQの構造化データは書いたほうがいいですか
検索結果への表示を目的にするなら、いまは効果がありません。Google 検索セントラルの更新履歴に「よくある質問のリッチリザルト機能は Google 検索の検索結果に表示されなくなったためです」と書かれていて、説明していたドキュメント自体が削除されています。2023年の時点でも、対象は「よく知られた信頼のおける政府機関および保健衛生関連のウェブサイト」に限られていました。ネットショップは以前から対象外だったことになります。よくある質問のページ自体は、問い合わせを減らす目的で作る価値があります。
何個くらい書けばいいですか
3つで始めてください。書くことが無いのに数を増やすと、読む価値のないページになります。質問は想像で作らず、問い合わせメールやSNSのコメント、返品の理由から拾います。まだ1件も来ていないなら、身近な人3人に商品ページを見せて、分からないところを聞いてください。自分では当たり前だと思っている部分がいちばん抜けています。あとは月に1回、同じ質問が2回以上来ていないかを見て、1つずつ足していけば十分です。
商品ページと別ページ、どちらに置きますか
質問の種類で分けます。サイズ感や素材のような商品そのものの質問は、その商品ページに置きます。送料や支払い方法のような店全体に共通する質問は、別ページにまとめます。商品ごとに同じことを書くと、変えるときに全部直すことになるからです。ただし別ページにまとめた場合は、商品ページの下のほうからリンクを張っておいてください。入り口が無いと読まれません。
できないことも書くべきですか
書いてください。ギフト包装に対応していない、海外には送れない、領収書は発行していない。こうした「できないこと」を書かないでおくと、結局は聞かれます。しかも、期待させたぶん断りにくくなります。先に書いておくほうが、双方にとって早く済みます。それから「原則として」「基本的に」といった言葉は避けてください。例外があるのかと聞かれる原因になります。例外があるなら、その条件まで書きます。
書いたのに同じ質問が来ます
原因は2つのどちらかです。1つは見つけられていない場合で、置き場所かリンクの問題になります。商品ページからたどれるか、フッターにリンクがあるかを確かめてください。もう1つは、読んだけれど答えになっていない場合です。質問の言葉が実際に聞かれる言葉と違っているか、答えが曖昧かのどちらかになります。質問は聞かれた言葉のまま書き、答えは1行目で結論から書くと、この問題は減ります。
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