
ネットショップを開くとき、どこで開くかを決めます。モールに出店するのか、カートを借りるのか、自分でサーバーを用意するのか。
比較の記事を読むと、たいてい月額の金額が並んでいます。ただ、公式ページを開いて確かめると、月額だけでは比べられない作りになっていました。
この記事では、各社の公式の料金ページから、費用がどこで発生するかを並べます。金額は変わることがあります。
開く場所は、大きく3つあります
まず、選択肢を整理します。呼び方はいろいろありますが、仕組みで分けると3つでした。
1つ目がモールへの出店。楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどです。2つ目がASPカート。BASE、STORES、カラーミーショップ、Shopifyなど、この媒体でよく扱っているものです。
3つ目が、自分でサーバーを借りてソフトを入れる方法になります。
3つの違い(費用の出かた)
モール:月額の出店料に加えて、売上に応じた項目がいくつも重なります
ASPカート:月額0円から始められて、売れたときの率が中心です
自分でサーバー:サーバー代が固定でかかり、売上に対する率はありません
どれが安いかは、売上によって変わります
固定費が大きいほど、売れていないうちは重くのしかかります。逆に売れてくると、率の低いほうが有利になります。
この関係は、どの組み合わせで比べても同じでした。だから「どれが安いか」は、自分の月商を入れてみないと出ません。
以下、公式ページに書かれている数字をそのまま並べます。自分の数字を当てはめて計算してください。
「固定費は月1万円だけ」の続きに6項目
まず、Yahoo!ショッピングの費用のページです。ここの書き方が分かりやすかったので、最初に取り上げます。
ページの冒頭には、初期費用が無料で、開店後の固定費も月額システム利用料の1万円のみだと書かれていました。低い固定費で始められるという説明です。
ただ、その下の表に、売上が発生したときにかかる項目が並んでいます。
Yahoo!ショッピングの費用(公式ページの表より)
初期費用 0円/月額システム利用料 固定費 10,000円(税抜)
売上ロイヤリティ 2.5%(売上が発生した場合のみ)
決済サービス利用料 決済方法により異なる
ストアポイント原資負担料 1%は必須(1%〜15%で設定可能/売上が発生した場合のみ)
アフィリエイトパートナー報酬 2%〜4%は必須(2%〜50%で設定可能/アフィリエイト経由で売上が発生した場合のみ)
アフィリエイト手数料 アフィリエイトパートナー報酬の30%(アフィリエイト経由で売上が発生した場合のみ)
出典:Yahoo!ショッピング 出店案内「費用」
「必須」と書かれている項目があります
ポイントの原資が1%は必須、アフィリエイトパートナー報酬が2%〜4%は必須。どちらも、下げられない下限が決まっている書き方でした。
ただ、この2つは、かかる範囲が違いました。公式ページの注記を読むと、売上ロイヤリティとポイント原資は「売上が発生した場合のみ」。アフィリエイトの2項目には「アフィリエイト経由で売上が発生した場合のみ」と書かれています。
つまり、どの注文にもかかるのは、売上ロイヤリティ2.5%とポイント原資1%の3.5%。 ここに決済サービス利用料が加わります。アフィリエイト経由の注文には、さらに報酬2%〜4%と、その報酬の30%が乗ります。
費用を見積もるときは、この2段になっている形で計算することになります。全部の注文に一律でかかる率と、アフィリエイト経由の注文にだけかかる率を、ひとまとめにしてしまうと合いません。
なお、LINEショッピングタブ掲載経由料金という項目もありましたが、「※2026年は経由料金は発生しません」と注記されていました。
楽天市場は、費用が6つに分かれています
楽天市場のほうも見てみます。サービス・料金詳細のページに、費用の内訳が番号つきで並んでいました。
この書き方が、モールの費用の作りをよく表していると思います。1つの率ではなく、項目ごとに積み上がる形です。
そのまま引きます。番号がついているので、何項目あるかが分かりやすくなっています。
この6つが、毎月の請求の中身になります。
楽天市場の月額課金システム(公式ページより)
1 出店料 2 システム利用料 3 システムサービス利用料
4 R-Messe利用料 5 楽天ペイ(楽天市場決済)利用料 6 オプション利用料
「※月額出店料は月々のお支払いではなく、プランに応じて6ヶ月ごとの2回払い、もしくはご一括でお支払いいただきます」
出典:楽天市場 出店案内「サービス・料金詳細」
ポイントの原資も、店の負担です
3番目のシステムサービス利用料の中に、楽天ポイントの説明がありました。「店鋪様には、ポイント原資を負担していただきます」と書かれています。
計算の仕方も具体的でした。楽天会員の購入金額1商品ごと100円(税抜)につき1ポイント(=1円)の合計額。
それから、モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料として、月間の売上高の0.1%(税別)という項目もありました。
楽天市場の出店プランと料率
プランのページには、3つの出店プランが並んでいます。月額と、売上に対する料率が書かれていました。
プランによって料率が変わるので、月額だけを見ても比べられない作りです。パソコン経由とモバイル経由でも率が違います。
数字を引きます。表記はすべて税別です。月額と料率を、セットで見てください。
あわせて、プランに関係なくかかる費用も並べます。
出店プラン(月額・システム利用料)
がんばれ!プラン 25,000円/月額 パソコン3.5%〜6.5% モバイル4.0%〜7.0%
スタンダードプラン 65,000円/月額 パソコン2.0%〜4.0% モバイル2.5%〜4.5%
メガショッププラン 130,000円/月額 パソコン2.0%〜4.0% モバイル2.5%〜4.5%
全プラン共通の料金
初期登録費用 60,000円
楽天ポイント 楽天会員の購入代金(税抜)×付与率(通常1.0%)
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料 月間売上高の0.1%
楽天ペイ利用料 月間決済高の2.5%〜3.5%
出典:楽天市場 出店案内「プラン・費用」。いずれも税別
スタンダードプランには目安が書かれています
プランのページには、それぞれ向いている事業者の説明がついていました。スタンダードプランのところには「目標月商が約178万円以上の事業者様におすすめ!」とあります。
月額の差は40,000円で、料率は1.5ポイントから2.5ポイント下がります。この差を埋める月商として示されているのが、178万円という数字です。
なお、がんばれ!プランは年間一括払、ほかの2つは半年ごとの2回分割払と書かれていました。契約期間はいずれも1年です。
同じ会社の2ページで、数字の出方が違いました
ここは、読むときに気をつけたい部分です。アフィリエイトの費用について、2つのページで違う数字が出てきました。
プランのページには「楽天スーパーアフィリエイト アフィリエイト経由売上の2.6〜5.2%」とあります。
一方、サービス・料金詳細のページには、計算が2つに分けて書かれていました。AとBに分かれている形です。
A. 楽天スーパーアフィリエイト経由の売上×アフィリエイト料率(購入された商品のジャンルに応じて2.0%~4.0%) B. 楽天スーパーアフィリエイト システム利用料=パートナーへの成果報酬合計×適用料率
出典:楽天市場 出店案内「サービス・料金詳細」
片方は合計、片方は内訳でした
詳細のページには、パートナーへの成果報酬の合計に応じた適用料率も表になっていました。30万円までが30%、100万円までが25%、という段階です。
つまり、プランのページの2.6〜5.2%は、この2つを合わせた数字だと読めます。どちらかが間違っているのではなく、まとめ方が違いました。
費用を計算するときは、詳細のページのほうを見たほうが確実です。まとめた数字だけを見ると、内訳が分からなくなります。
ASPカートは、固定費がありません
次に、ASPカートです。この媒体でよく扱っているBASEやSTORESが当たります。
モールとの違いは、無料で始められるプランがあることでした。固定費がないかわりに、売れたときの率が高くなる作りです。
公式の料金ページから、無料で始められるプランの数字を引きます。どちらも、この媒体の別の記事で計算に使った数字です。
無料で始められるプラン
BASE スタンダードプラン:初期費用0円/月額費用0円/決済手数料3.6%+40円/サービス利用料+3%
STORES フリープラン:月額0円/決済手数料5.5%〜
出典:BASE 公式料金ページ/STORES 公式料金ページ
有料プランにすると、率が下がります
売れてきたら、月額のあるプランに切り替える形です。STORESのスタンダードプランは月額3,300円(税込・年間契約の場合)で決済手数料3.6%〜、BASEのグロースプランは月額16,580円(年払いの1か月あたり)で決済手数料2.9%。
切り替える線は、自分の月商と客単価で変わります。この計算のやり方は、BASEとSTORESを比べた記事でまとめています。
モールと違うのは、ポイントの原資やアフィリエイトの費用が発生しないことです。そのかわり、人が集まる場所ではないので、来てもらう工夫が必要になります。
自分でサーバーを借りる場合
3つ目が、自分でサーバーを用意する方法です。レンタルサーバーを借りて、ネットショップのソフトを入れます。
費用の構造は、いちばん単純でした。サーバー代が固定でかかって、売上に対する率はありません。決済の手数料は、契約した決済代行会社に払う形です。
ただ、今回はソフトの部分を確かめられませんでした。正直に書いておきます。
確認できなかったこと
代表的なソフトであるEC-CUBEの公式サイトは、今回アクセスできませんでした。HTTP 403が返り、ヘッダーにボット判定を示す値が付いていました。ライセンスの費用は確認できていないので、この記事には書きません
自分で借りる場合に増える仕事があります
サーバーを自分で借りると、更新の作業も自分の仕事になります。ソフトの更新、サーバーの設定、動かなくなったときの対応です。
カートの会社が代わりにやっていた部分が、そのまま自分に来ると考えてください。
費用だけを見ると安く見えますが、その時間を商品の準備や写真に使えたかどうかも、あとから効いてきます。
レンタルサーバーの価格には、期間の条件がついています
サーバー代そのものも見ておきます。ここにも、読むときの注意がありました。
エックスサーバーの料金ページを開くと、プランごとの月額が並んでいます。契約期間が長いほど、1か月あたりの金額が下がる作りでした。
そして、期間限定の注記がついています。いま出ている金額が、いつまでのものかが書かれていました。
ここを読まずに比較すると、あとで違う請求になります。
エックスサーバー(税込・スタンダードプラン)
初期費用 0円
3ヶ月 1,320円/6ヶ月 1,210円/12ヶ月 1,100円/24ヶ月 1,045円/36ヶ月 990円
「※2026/9/7 17:00 – 2026/10/5 17:00までのキャンペーン価格が適用されています」
出典:エックスサーバー「料金プラン」
読む時期によって、金額が違います
いま表示されているのはキャンペーンの価格で、期間が明記されていました。この記事を読んでいる時点では、別の金額になっている可能性があります。
キャッシュバックで実質いくら、という表示もありました。実質の金額と、実際に払う金額は別です。
なお、独自SSLについては無料で使えると書かれていました。ネットショップを動かすうえで必要になるものなので、ここは確かめておく項目です。
月商50万円で、固定費の重さを見てみる
数字を並べたので、組み合わせて考えます。月商50万円の店で、固定費がどれくらいの比率になるかです。
ここで出すのは固定費だけの比較です。決済の手数料や売上に対する率は、どの方法でも別にかかります。
公式ページに書かれていた金額をそのまま使います。月額を50万円で割っただけの、単純な計算です。
並べると、差がはっきりします。
月商50万円に対する固定費の比率
楽天市場 がんばれ!プラン 月額25,000円 → 5.0%
Yahoo!ショッピング 月額10,000円 → 2.0%
BASE スタンダード/STORES フリー 月額0円 → 0%
レンタルサーバー(12ヶ月契約) 月額1,100円 → 0.22%
売れてくると、この関係が逆転します
月商が10倍の500万円になると、同じ月額でも比率は10分の1です。楽天市場のがんばれ!プランなら0.5%になります。
一方、率で取られるものは売上に比例して増え続けます。だから、売れていないうちは固定費の小さいほう、売れてきたら率の低いほうが有利になります。
ただし、この計算には集客の効果が入っていません。モールには人が来ているという前提の違いがありますが、その効果を公式の数字で示すことはできませんでした。ここは自分で判断する部分です。
選ぶ順番と、確認できなかったこと
最後に、判断の順番を整理します。金額を並べるだけでは決まりませんでした。
先に決めるのは、固定費をいくらまで払えるかです。売れなかった月にも出ていく金額なので、ここが上限になります。この順番だと、選択肢が自然に絞られます。
そのうえで、確かめられなかったことも書いておきます。公式ページに記載を見つけられなかった項目です。
選ぶ順番
1. 売れなかった月に払える固定費の上限を決める
2. 公式ページで、売上に応じてかかる項目を全部書き出す
3. 自分の想定月商を入れて、合計を出す
4. 同じ条件で比べる(決済の構成をそろえる)
確認できなかったこと
EC-CUBEのライセンス費用。公式サイトにアクセスできませんでした
モールに出店した場合の独自ドメインの可否と、顧客情報の扱い。楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonの公開ページには、該当する記載を見つけられませんでした
モールの集客効果を示す公式の数字
※楽天市場・Yahoo!ショッピング・BASE・STORES・エックスサーバーの公式ページを確認したものです。料金と条件は変わります。
よくある質問
いちばん安く始められるのはどれですか
固定費だけで見れば、ASPカートの無料プランです。BASEのスタンダードプランは初期費用0円・月額費用0円、STORESのフリープランは月額0円と公式ページに書かれています。ただし、売れたときの率は高くなります。BASEは決済手数料3.6%+40円にサービス利用料3%、STORESのフリープランは5.5%〜です。売上が増えてくると、固定費のあるプランのほうが安くなる場面が出てきます。
モールの費用は月額だけですか
違います。楽天市場の公式ページには、費用が「1 出店料 2 システム利用料 3 システムサービス利用料 4 R-Messe利用料 5 楽天ペイ(楽天市場決済)利用料 6 オプション利用料」と6つに分けて書かれています。Yahoo!ショッピングも、月額システム利用料10,000円(税抜)のほかに、売上ロイヤリティ2.5%、ストアポイント原資負担料1%必須、アフィリエイトパートナー報酬2%〜4%必須などが表に並んでいました。
楽天市場のプランはどれを選びますか
公式ページに目安が書かれています。がんばれ!プランは月額25,000円で「ネットショップ運営のご経験が少ない事業者様におすすめ!」、スタンダードプランは月額65,000円で「目標月商が約178万円以上の事業者様におすすめ!」、メガショッププランは月額130,000円です。システム利用料の率もプランで変わり、がんばれ!プランはパソコン3.5%〜6.5%、スタンダードとメガショップはパソコン2.0%〜4.0%とされています。いずれも税別です。
自分でサーバーを借りると安いですか
サーバー代だけで見れば安く見えます。エックスサーバーのスタンダードプランは初期費用0円、12ヶ月契約で月額1,100円(税込)と表示されていました。ただし「※2026/9/7 17:00 – 2026/10/5 17:00までのキャンペーン価格が適用されています」という注記があるので、読む時期によって金額が違います。また、ソフトの更新やトラブルの対応は自分の仕事になります。代表的なソフトであるEC-CUBEの公式サイトは、今回アクセスできませんでした。
モールと自分の店、両方やってもいいですか
費用の面では、両方に固定費がかかります。楽天市場のがんばれ!プランなら月額25,000円、これにカートの費用が加わる形です。判断の材料としては、同じ商品を売るときの在庫の管理や、注文の処理が2か所に分かれることも考えてください。なお、モールに出店した場合の独自ドメインの可否や顧客情報の扱いについては、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonの公開ページに記載を見つけられませんでした。
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