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不動産の囲い込みとは|売主が「されたら」気づく確認手順と、国交省・都道府県への通報先【2026年版】

家の鍵を手渡す場面。不動産の売却で売主が知っておきたい囲い込みの確認手順

家を売りに出して2か月。担当者からは「問い合わせはまだありません」と言われ続けている。ところが知人の不動産会社に聞くと「その物件、紹介したいと連絡したら『商談中』と断られましたよ」と言われた。こういう話が、不動産の売却では珍しくありません。

これが「囲い込み」です。売主から預かった物件を、他の不動産会社に紹介させないようにして、自社で買主も見つけ、売主と買主の両方から手数料を得ようとする行為を指します。売主は、もっと早く、もっと高く売れたかもしれない機会を、知らないうちに失っていることになります。

この記事では、囲い込みがなぜ起きるのか、2025年1月から何が変わったのか、そして売主が自分の物件について「されているか」を確認する手順と、疑いがあるときの相談先・通報先を、宅地建物取引業法・国土交通省・レインズ(指定流通機構)の一次情報だけで解説します。

結論:囲い込みは「見えない」から起きる。2025年1月から売主が自分で確認できる

囲い込みとは何か。なぜ売主が損をするのか

不動産会社が売主から売却を任されると、その会社は買主を探します。買主を他社が見つけて連れてくれば、売主側の手数料はその会社、買主側の手数料は他社に入ります(片手仲介)。自社で買主も見つけた場合は、両方の手数料が自社に入ります。これが両手仲介です。

両手仲介そのものは違法ではありません。問題は、両手にするために他社からの紹介を意図的に断ることです。他社が「お客様に紹介したい」と問い合わせても「もう商談中です」「売主の都合で今は見せられません」と嘘を言って断り、自社の買主が現れるまで待つ。これが囲い込みです。

売主から見ると、本来なら全国の不動産会社の顧客が候補になるはずの物件が、1社の顧客だけに絞られます。買い手の数が減れば、売れるまでの時間は延び、値下げを勧められる場面も増えます。手数料を2倍にしたいのは不動産会社の事情で、売主の利益とは正面から衝突します。

結論:2025年1月から「取引状況」が法令上の登録事項になり、売主が自分で見られる

囲い込みが長く問題になってきた理由は、売主から見えなかったからです。他社への断りは電話で行われ、記録が残りません。売主は担当者の「問い合わせがない」という言葉を信じるしかありませんでした。

ここが2025年1月に変わりました。専任媒介・専属専任媒介で預かった物件について、不動産会社がレインズに登録すべき事項に「取引の申込みの受付に関する状況」(取引状況)が法令で明記され、売主は登録証明書に記載されたIDとパスワード(2025年1月4日以降は二次元コードも)で、自分の物件の取引状況を確認できる仕組みが整いました。国土交通省は、この取引状況の登録内容が事実と異なる場合は宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象になることも明記しています。

つまり、売主が確認画面を見るだけで、「商談中」と他社に言っているのに自分には「問い合わせなし」と言っている、というズレを見つけられるようになったのです。この記事の中心は、その確認の手順です。

囲い込みの仕組み。両手仲介とレインズの関係

レインズは「売主を守るため」に登録が義務づけられている

レインズ(REINS)は、国土交通大臣が指定した指定流通機構(東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4機構)が運営する、不動産会社間の物件情報システムです。宅地建物取引業法第34条の2第5項は、専任媒介契約(専属専任を含む)を結んだ不動産会社に対して、国土交通省令で定める期間内に物件をレインズに登録することを義務づけています。期限は、専属専任媒介なら契約の翌日から5日以内、専任媒介なら7日以内(不動産会社の休業日を除く)です。

登録が義務なのは、1社に任せた売主が、その1社の都合で情報を止められないようにするためです。レインズに登録されれば、全国の不動産会社がその物件を自分の顧客に紹介できます。裏を返せば、囲い込みは「レインズに登録はするが、他社からの紹介は実質的に断る」という形で、この制度の趣旨をすり抜けてきました。

レインズを一般の人が見られるかどうか、成約価格をどこで調べられるかは、レインズを一般人が見る方法の記事で手順を書いています。

図解:正常な流れと、囲い込みの流れ

制度どおりの流れと囲い込みの流れを並べると、違いは1か所だけです。どちらもレインズへの登録はされています。違うのは、他社から「紹介したい」と言われたときに、紹介させるか、口頭で断るかです。売主から見える情報(登録証明書、レインズの登録内容)は両方とも同じなので、2024年までは外から区別がつきませんでした。

下の図の上段が制度どおりの流れ、下段が囲い込みです。囲い込みでは、B社からの紹介の申し出を「商談中です」と断り、A社の顧客だけに紹介して両手仲介を狙います。この「断り」の部分が電話で行われ、記録に残らないことが、長く問題を見えにくくしてきました。

正常な流れ(片手・両手どちらもありうる) 売主 → 専任媒介 → A社 ↓ A社がレインズに登録(5日または7日以内) ↓ B社・C社が見つけて 自社の顧客に紹介 A社も自社の顧客に 紹介 買い手の候補は全国に広がる 囲い込みの流れ 売主 → 専任媒介 → A社 ↓ レインズには登録する(形式上は義務を満たす) ↓ B社「紹介したい」 →A社「商談中です」 A社の顧客だけに 紹介(両手を狙う)
上が制度どおりの流れ、下が囲い込み。どちらもレインズ登録はされているため、売主からは違いが見えなかった。

典型的な断り方と、記録が残らない理由

他社からの問い合わせを断るときの言い方には型があります。「すでに商談中です」「申し込みが入っています」「売主の都合で今は内見を受けていません」「先に自社で案内している方がいるので」。どれも、その時点では嘘かどうか外から判断できません。

これらのやり取りは電話で行われ、売主には報告されません。宅地建物取引業法第34条の2第8項は、媒介契約を結んだ不動産会社に、購入の申込みがあったときは遅滞なく依頼者(売主)に報告する義務を課していますが、「他社からの紹介の申し出を断った」ことまで報告する義務はありません。だから売主は、他社が興味を持っていた事実そのものを知る手段がなかったのです。

囲い込みが「立証しにくい違反」と言われてきたのは、この構造のためです。2025年1月の改正は、この「見えない」部分の一部を、売主が自分で見られる形に変えました。

2025年1月に何が変わったか(法令と国交省の通知)

「取引状況」が法令上の登録事項になった

レインズには、平成28年(2016年)から「ステータス管理機能」が実装されていました。物件が「公開中」なのか「申込あり」なのかを不動産会社が登録し、売主や他の不動産会社が確認できる機能です。ただし、これはレインズ側の運用上の仕組みで、法令上の義務ではありませんでした。

国土交通省は、宅地建物取引業法施行規則を改正(令和6年6月28日公布・令和6年国土交通省令第70号)し、専任媒介契約を結んだときに指定流通機構に登録すべき事項として「当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況」を明記しました(施行規則第15条の11第2号)。この規定は令和7年(2025年)1月1日に施行されています。

あわせて「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」が改正され、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課の事務連絡(令和6年12月24日付)では、次の3点が明記されたと説明されました。

  • 依頼者に対して、レインズのステータス管理機能を通じて依頼物件の取引状況などの登録内容を確認することを特に注意喚起すること
  • 不動産会社は、登録証明書を依頼者に交付するときに、ステータス管理機能を分かりやすく説明すること
  • 登録した物件について、取引状況の登録内容が事実と異なる場合は、宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象となること

登録証明書に二次元コードが載り、売主専用画面に入りやすくなった

国土交通省の報道発表(令和6年12月24日)によると、令和7年1月4日から、不動産会社が売主に交付する登録証明書に二次元コードが記載され、売主専用画面へのアクセスが改善された、という内容です。指定流通機構と協力して、売主向けのリーフレットも作成されています。

変更前と変更後を整理すると、次のようになります。

項目 2024年まで → 2025年1月から
取引状況の登録 レインズの運用上の機能(平成28年〜)→ 施行規則第15条の11に明記された法令上の登録事項
事実と異なる登録 明確な位置づけなし → 宅建業法第65条第1項の指示処分の対象(解釈・運用の考え方に明記)
売主の確認方法 ID・パスワードで確認画面へ → 同じ。二次元コードも記載(1月4日〜)
不動産会社の説明義務 特段の定めなし → 登録証明書の交付時にステータス管理機能を説明し、確認を注意喚起

それでも「囲い込みがなくなった」わけではない

改正で見えるようになったのは「取引状況の登録内容」です。他社からの問い合わせを電話で断る行為そのものが記録されるわけではありません。取引状況を「公開中」のままにして、他社には口頭で「商談中」と伝える、という手口は理屈のうえでは残ります。

だからこそ、売主の側でできる確認は、確認画面を見ることだけではなく、担当者からの報告と照らし合わせることまで含める必要があります。次の章で、その手順を順番に説明します。

売主が「されているか」を確認する手順

手順1:登録証明書を受け取る(渡されていなければ請求する)

宅地建物取引業法第34条の2第6項は、レインズに登録した不動産会社に対して、登録を証する書面(登録証明書)を遅滞なく依頼者に引き渡すことを義務づけています。専属専任媒介なら契約の翌日から5日以内、専任媒介なら7日以内(休業日を除く)に登録され、その後すぐに登録証明書が渡されるのが本来の流れです。

媒介契約から2週間たっても登録証明書が届いていなければ、担当者に「レインズの登録証明書をください」と伝えてください。これは売主の権利で、遠慮する必要はありません。登録証明書には、物件の登録番号、登録日、売主専用画面にログインするためのID・パスワード、2025年1月4日以降は二次元コードとURLが記載されています。

ここで最初のチェックができます。登録証明書に書かれた登録日が、媒介契約日の翌日から期限内に収まっているかを見てください。期限を過ぎているなら、その理由を聞く材料になります。

手順2:売却依頼主専用の確認画面にログインする

東日本レインズの案内によると、売却依頼主用の物件確認画面にログインすると、レインズに登録されている主な物件情報(概要)、図面(登録されている場合)、そして取引状況と、取引状況を補足する情報をリアルタイムで確認できます。対象は専属専任・専任媒介契約の売買物件だけで、賃貸物件は利用できません。

ログインは、登録証明書の二次元コードを読み取るか、記載されたURLを開き、物件ごとに付与されたIDとパスワードを入力します。パソコンでもスマートフォンでも使えます。最初に見るべき項目は次の3つです。

  • 登録内容:価格、面積、間取り、所在などが媒介契約で合意した内容と一致しているか。合意より高い価格で登録されていれば、他社からの問い合わせは減ります
  • 取引状況:「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のどれになっているか
  • 取引状況を補足する情報:一時紹介停止中の場合の理由など、不動産会社が入力した補足

手順3:取引状況の3区分を、自分の認識と照らす

取引状況には3つの区分があります。それぞれ「自分の認識と合っているか」を照らし合わせるのが、この手順の核心です。

① 公開中

本来の意味:他社が紹介できる状態。

照らすこと:「公開中」なのに、担当者が「他社からの問い合わせはゼロ」と言い続けていないか。他社に「商談中」と言っていれば、この表示と矛盾します。

② 書面による購入申込みあり

本来の意味:買主から書面の申込みが入っている。

照らすこと:自分がその申込みの報告を受けているか。宅建業法第34条の2第8項により、申込みは遅滞なく売主に報告する義務があります。報告がないのにこの表示なら、確認が必要です。

③ 売主都合で一時紹介停止中

本来の意味:売主の事情で紹介を止めている。

照らすこと:自分がそう頼んだ覚えがあるか。頼んでいないのにこの表示なら、他社への紹介を止める口実に使われている可能性があります。

3区分のうち、売主の側で意味を取り違えやすいのが「売主都合で一時紹介停止中」です。たとえば「リフォーム中だから」「親族に相談中だから」と担当者に伝えた覚えがあれば、この表示は正しい。そうでなければ、なぜその表示になっているかを担当者に確認してください。

手順4:業務報告と申込報告を、確認画面の内容と突き合わせる

専任媒介契約を結んだ不動産会社には、業務の処理状況を売主に報告する義務があります(宅地建物取引業法第34条の2第9項)。頻度は専任媒介で2週間に1回以上、専属専任媒介で1週間に1回以上で、文書または電子メールで行われます。この報告と、確認画面の内容を並べて見るのが手順4です。

具体的には、次の3点を見比べてください。

  • 報告書の「問い合わせ件数」「内見件数」と、確認画面の取引状況が矛盾していないか
  • 報告書に「申込みあり」の記載がないのに、確認画面が「書面による購入申込みあり」になっていないか
  • 報告の頻度が法定の間隔(2週間または1週間)を守っているか

確認画面は、見た日付とあわせてスクリーンショットで残しておくことをおすすめします。取引状況は不動産会社が変更できるため、後から「その時点でどう表示されていたか」を示せるのは売主の記録だけです。1回30秒程度の作業なので、報告書が届くたびに撮る習慣にすると、突き合わせが楽になります。

手順5:囲い込みが疑われる場面を知っておく

確認画面と報告書だけでは判断がつかない場合に、あわせて見ておきたい場面を挙げます。どれか1つに当てはまるだけで囲い込みと断定はできませんが、複数が重なるなら担当者への確認を急いでください。

  • 媒介契約から期限を過ぎてもレインズに登録されていない、または登録証明書が渡されない
  • 大手ポータルサイトには掲載されているのに、確認画面の取引状況が「一時紹介停止中」になっている(一般の買主には見せるが、他社には見せない状態)
  • 売り出しから1か月以内に、根拠の説明がないまま値下げを勧められる
  • 知人の不動産会社に問い合わせてもらったところ「商談中」と断られたが、自分には申込みの報告がない
  • 内見に来るのが、担当者の会社の顧客だけである

最後の「知人の不動産会社に問い合わせてもらう」は、囲い込みを確かめる方法として昔から使われてきたものです。他社の営業担当者に、自分の物件について「紹介できるか」を聞いてもらい、その回答と確認画面の取引状況を比べます。「商談中です」と断られたのに表示が「公開中」なら、その時点で登録内容と実態が食い違っていることになります。

疑いがあるときの対応。担当者、会社、免許行政庁の順に進める

まず担当者に、根拠を示して確認する

疑いを持ったら、最初にすべきは担当者への確認です。感情的にならず、事実だけを並べて聞きます。「確認画面では公開中になっていますが、他社から紹介の問い合わせはありましたか」「2週間ごとの報告に問い合わせ件数を書いてください」といった形です。

ここで、法律上の根拠を知っておくと会話が対等になります。申込みの報告義務(第34条の2第8項)、業務処理状況の報告義務(同第9項)、登録証明書の引渡し義務(同第6項)、そして取引状況が事実と異なる場合の指示処分(第65条第1項)。これらは売主が「お願い」しているのではなく、不動産会社が「守らなければならない」ことです。

担当者個人の判断で囲い込みをしているケースもあれば、会社の方針であるケースもあります。担当者の説明に納得できなければ、その会社の責任者(店長や宅地建物取引士の名前が媒介契約書に載っています)に同じことを聞いてください。

相談先・通報先は「免許を出した行政庁」が基本

会社に聞いても解決しない、あるいは説明が明らかに事実と違う場合は、その不動産会社に免許を出している行政庁に相談・通報できます。不動産会社の免許は2種類あり、媒介契約書や会社の看板に書かれた免許番号で見分けられます。

都道府県知事免許

免許番号の書き方:「東京都知事(3)第12345号」のように都道府県名が入る。

相談・通報先:その都道府県の宅地建物取引業免許の担当課。国土交通省のサイトに「都道府県に関する窓口」として一覧があります。

国土交通大臣免許

免許番号の書き方:「国土交通大臣(5)第1234号」のように大臣名が入る。

相談・通報先:本店所在地を管轄する地方整備局など。都道府県の担当課でも、区域内の業務については指示ができます(第65条第3項)。

国土交通省の「都道府県に関する窓口」ページには、47都道府県の担当課名と電話番号が一覧になっています。たとえば東京都は住宅政策本部 民間住宅部 不動産業課、神奈川県は県土整備局 事業管理部 建設業課 宅建指導グループ、埼玉県は都市整備部 建築安全課 宅建相談・指導担当です(2026年9月時点の掲載内容)。電話番号は変わることがあるため、必ず国土交通省のページで最新のものを確認してください。

行政庁のほかに、レインズを運営する指定流通機構の事務局、不動産会社が加盟している業界団体(全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会など)の無料相談窓口も相談先になります。ただし、行政処分につながるのは免許行政庁への申し出です。業界団体は会員の指導はできますが、処分の権限はありません。

通報のときに用意するもの

行政庁に相談するときは、口頭の主張だけでは動きにくいのが実情です。次の資料をそろえてから連絡すると、話が早く進みます。

  • 媒介契約書(契約日、契約の種類、免許番号、担当の宅地建物取引士名が分かる)
  • 登録証明書(登録日、登録番号)
  • 売却依頼主確認画面のスクリーンショット(日付入りで複数回分)
  • 不動産会社からの業務報告書やメール
  • 他社に問い合わせてもらった場合は、その日時と回答の内容(可能なら他社の担当者名)

処分の法的根拠を整理しておくと、次のとおりです。取引状況の登録内容が事実と異なる場合は指示処分(第65条第1項)。第34条の2第1項・第2項(媒介契約書面の交付、価額の根拠明示)に違反した場合や、指示に従わない場合は、1年以内の業務停止(第65条第2項)の対象になりえます。実際に処分が出るかどうかは行政庁の調査次第ですが、根拠を示して申し出ることが、動いてもらう前提です。

媒介契約を切り替えるという選択肢

通報とは別に、売主には媒介契約を見直す選択肢があります。専任媒介契約の有効期間は3か月を超えられず(第34条の2第3項)、更新は依頼者の申出によるものです(同第4項)。つまり、3か月たてば、自動更新されることなく契約は終わります。

契約期間中に解除したい場合は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に解除に関する規定があるので、媒介契約書の該当条項を確認してください。不動産会社が義務に違反している場合、依頼者から契約を解除できる旨の定めが置かれているのが一般的です。解除の可否や費用の扱いは個別の契約内容によるため、判断に迷うときは都道府県の相談窓口や弁護士に相談するのが確実です。

よくある誤解と注意点

両手仲介そのものは違法ではない

「両手仲介=囲い込み」ではありません。売主と買主の両方を1社が仲介すること自体は、宅地建物取引業法で禁止されていません。問題になるのは、両手にするために他社の紹介を嘘で断ることです。両手仲介の割合が高い会社だから悪い、という判断も早計で、大手で顧客が多ければ両手が自然に増えることもあります。見るべきは割合ではなく、自分の物件についての取引状況と報告の整合性です。

一般媒介にすれば囲い込みは起きないのか

複数の会社に依頼できる一般媒介契約なら、1社に情報を止められることはありません。その意味で囲い込みのリスクは下がります。ただし、一般媒介にはレインズへの登録義務がなく、登録証明書も発行されないことが多いため、売却依頼主用の確認画面も使えません。各社がどれだけ真剣に動くかは、売主が自分で確かめる必要があります。専任にして確認画面で監視するか、一般にして複数社を比べるか。どちらにも手間があり、一方が万能ではありません。

買主の立場で「囲い込まれている物件」を見抜けるか

買主側から見ると、気に入った物件について自分の担当会社経由で問い合わせたら「商談中」と言われた、というのが典型です。確認画面は売主専用なので、買主は使えません。できることは、少し時間を置いて再度問い合わせる、その物件を預かっている会社に直接連絡する、の2つです。直接連絡して内見できるなら、他社からの紹介だけを断っていた可能性が高い、と判断できます。

通報しても、すぐに処分が出るわけではない

行政庁は申し出を受けてから調査を行い、事実が確認できた場合に指示や業務停止などの処分を決めます。時間がかかりますし、処分に至らないこともあります。通報は「自分の物件が今すぐ売れるようになる」手段ではなく、「事実と異なる登録や説明を記録に残し、是正を求める」手段だと考えてください。自分の売却を早く進めたいなら、担当者への確認と媒介契約の見直しのほうが直接的です。

まとめ

囲い込みは、売主から預かった物件を他社に紹介させず、自社で両手仲介を狙う行為です。売主は買い手の候補を絞られ、時間と価格の両方で損をする可能性があります。

2025年1月1日から、専任媒介・専属専任媒介の物件について「取引状況」がレインズへの法令上の登録事項になり、事実と異なる登録は宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象になりました。売主は登録証明書のIDとパスワード(または二次元コード)で、自分の物件の取引状況を確認できます。

確認の手順は5つです。登録証明書を受け取る。確認画面にログインする。取引状況の3区分を自分の認識と照らす。業務報告と突き合わせる。疑わしい場面を知っておく。この5つを、報告書が届くたびに30秒で繰り返すだけで、囲い込みに気づける確率は大きく上がります。

疑いがあれば、担当者、会社の責任者、免許行政庁の順に進めてください。行政処分につながるのは免許行政庁への申し出で、国土交通省のサイトに都道府県ごとの窓口が一覧になっています。資料をそろえ、法律上の根拠を示して申し出ることが、動いてもらう前提です。

よくある質問(FAQ)

囲い込みは違法ですか

「囲い込み」という行為名で直接禁止する条文はありません。ただし、2025年1月からレインズの取引状況が法令上の登録事項になり、事実と異なる登録は宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象になると国土交通省が明記しています。他社への嘘の説明や、売主への報告義務違反も、同法の規定に照らして問題になりえます。

登録証明書をもらっていません。どうすればいいですか

宅地建物取引業法第34条の2第6項で、レインズに登録した不動産会社は登録証明書を遅滞なく依頼者に引き渡す義務があります。担当者に請求してください。渡されない、またはレインズに登録されていない場合は、その時点で法令違反の可能性があるので、都道府県の宅建業担当課に相談できます。

取引状況が「公開中」なら囲い込みはされていないと考えていいですか

断定はできません。取引状況を「公開中」にしたまま、他社には電話で「商談中」と伝える手口は理屈のうえでは残ります。確認画面だけでなく、業務報告の内容や、知人の不動産会社に問い合わせてもらった結果と照らし合わせることで、判断の精度が上がります。

一般媒介契約でも確認画面は使えますか

使えません。売却依頼主用の確認画面は、専属専任・専任媒介契約の売買物件だけが対象です。一般媒介はレインズへの登録が任意で、登録証明書も発行されないことが多いため、登録状況を知りたい場合は指定流通機構の事務局に問い合わせる形になります。

通報先はどこですか

その不動産会社に免許を出している行政庁です。免許番号に都道府県名が入っていれば、その都道府県の宅地建物取引業免許の担当課。国土交通大臣免許なら、本店所在地を管轄する地方整備局などです。国土交通省のサイトに「都道府県に関する窓口」の一覧があります。指定流通機構の事務局や業界団体の相談窓口も相談先になりますが、処分の権限があるのは免許行政庁です。

賃貸物件でも囲い込みはありますか

賃貸でも、貸主から預かった物件を他社に紹介させない行為は起こりえます。ただし、取引状況の登録義務や売却依頼主用の確認画面は売買の専任媒介が対象で、賃貸物件は使えません。賃貸の場合は、複数の会社に募集を依頼するか、募集状況を自分でポータルサイトで確認するのが現実的な対策です。

売主向けの公式案内は、国土交通省と指定流通機構が出しています

取引状況の確認方法や登録証明書の見方は、国土交通省の消費者向けページと、東日本レインズの売却依頼主向け案内で確認できます。担当者に聞く前に、一次情報を手元に置いておくと話が早く進みます。

国土交通省の消費者向けページ
東日本レインズ 売却依頼主向け案内

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の物件・投資・税務の判断は、宅地建物取引士・税理士など専門家にご相談ください。法令・窓口の情報は2026年9月時点で確認したものです。

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