
梱包の記事は世の中にたくさんありますが、そのほとんどが「緩衝材で包んで、隙間を埋めましょう」で終わっています。実際にショップを回してみると、困るのはそこではありません。
困るのは1個あたりの送料が思ったより高くて、利益が残らないことです。そして送料は、梱包の仕方でほぼ決まります。
この記事では、送料の決まり方から逆算して梱包を組み立てます。資材選び、実際の手順、使える割引まで、順番どおりに書きます。
梱包の前に、送料の決まり方を知る
梱包の解説を読むと、たいてい「緩衝材で包んで、隙間を埋める」という話から始まります。商品を守るための話です。
ただ、実際に運営してみると、先に困るのは別のことでした。1個あたりの送料が思ったより高くて、利益が残らないことです。そして送料は、梱包の仕方でほぼ決まります。だから、包み方より先に料金の決まり方を押さえます。
宅配便の料金は、「縦・横・高さの合計(3辺合計)」で区分が決まります。 重さで決まると思っている人が多いのですが、実際には重さは上限の判定に使われるだけで、料金を動かしているのはサイズです。
主要2社の基本ルール
| 項目 | ヤマト運輸 宅急便 | 日本郵便 ゆうパック |
|---|---|---|
| サイズ上限 | 3辺合計200cm以内 | 3辺合計170cm以下 |
| 重さ上限 | 30kgまで | 25kgまで |
| 区分 | 60〜200サイズ | 60〜170サイズ |
| 補償 | 1個につき30万円まで | 最高30万円まで |
ゆうパックは25kgを超えると通常の扱いでは送れず、25kgを超え30kg以下は重量ゆうパックという別のサービスになります。ヤマトには1辺の長さにも決まりがあり、1辺は170cmまで、上下逆さまにできないなど輸送状態に定めのある荷物は1辺100cmまでです。長尺のものを扱うなら、ここで引っかかります。
なお、ヤマトの宅急便は2025年10月1日に届出運賃・料金が改定されています。 それ以前に作った送料表をそのまま使っていると、実際の請求と合いません。ショップの送料設定を見直していない場合は、まずここが出発点になります。
料金は発送元と届け先の組み合わせで変わる
同じ60サイズでも、同一都道府県内に送るのと、本州から沖縄に送るのでは料金がまったく違います。「60サイズ=いくら」という固定の金額は存在しません。
だから送料無料にするなら、いちばん遠い地域に送ったときの料金を基準に商品価格を組む必要があります。全国平均で組むと、遠方の注文が入るたびに赤字が出ます。
3辺合計を1cm削ると、送料の区分が変わる
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。サイズ区分はおおむね20cm刻みで上がり、境目を1cm超えただけで、ひとつ上の区分の料金になります。
料金がなだらかに上がるなら、1cmの差は1cmぶんの金額にしかなりません。ところが段階式なので、境目をまたいだ瞬間に一段ぶんの差が出ます。中身はほとんど変わっていないのに、です。
たとえば3辺合計が60cmなら60サイズですが、61cmになった瞬間に80サイズの料金です。中身は1cmしか変わっていないのに、料金は1段上がります。
だから「商品を測ってから箱を選ぶ」
やりがちなのは、手元にある箱に商品を入れて、そのまま送ってしまうことです。これだと箱のサイズがそのまま送料になります。正しい順番はこうです。
- 商品を緩衝材で包んだ状態で測る。 裸の状態ではなく、包んだあとの寸法が実際に必要なサイズです
- その寸法に対して、余裕が2〜3cm以内の箱や袋を選ぶ。 余裕が大きいほど隙間が増え、緩衝材も余計に要ります
- 組んだ状態でもう一度、3辺合計を測る。 テープの厚みや箱のフタの膨らみで、数mm変わることがあります
この3ステップのために、メジャーを作業台に常備してください。372円の道具ですが、この記事で買うものの中でいちばん元が取れます。 区分をひとつ下げられれば、1個あたり数百円が浮きます。月100個なら、それだけで数万円です。
厚みを減らすほうが効く商品もある
衣類や布製品のように潰せるものは、箱ではなく宅配ビニール袋に切り替えるだけで3辺合計が大きく下がります。空気を抜いて平たくすれば、厚みは数cmに収まります。
ただし、潰れて困るもの、角があるもの、水濡れに弱いものは袋に向きません。 商品カテゴリごとに「箱で送るもの」「袋で送るもの」を最初に決めておくと、毎回迷わなくなります。
そろえる梱包資材と、その選び方
サイズの考え方が分かったところで、資材をそろえます。ここでかかる費用は、撮影機材ほどではありません。
選び方にはコツがあって、扱う商品によって要るものと要らないものがはっきり分かれます。 全部そろえる必要はありません。箱で送るのか袋で送るのかを先に決めると、買うものが半分になります。
最初にそろえるのは、次の6つです。扱う商品によって要らないものもあるので、下の用途を見て選びます。
| 資材 | 用途 | 価格 |
|---|---|---|
| 宅配ビニール袋 | 衣類・雑貨など、潰れても大丈夫なもの。100枚入り | 900円 |
| 緩衝材(プチプチ) | 壊れもの全般。箱の隙間埋めにも。幅600mm×42mのロール | 2,750円 |
| OPPテープ | 箱を留める。透明で見た目が荒れない。48mm×100m×5巻 | 1,277円 |
| メジャー | 3辺合計を測る。これが一番重要 | 372円 |
| OPP袋 | 商品を包む。水濡れとホコリを防ぐ | 628円〜 |
| ダンボール | 箱が必要な商品を扱うなら。60サイズ120枚入り | 4,450円 |
※価格は2026年9月時点のものです。変動します。
資材は「まとめ買い」が前提になる
梱包資材は、1枚あたりの単価が枚数でまったく変わります。宅配ビニール袋なら100枚で900円、つまり1枚9円です。10枚入りを都度買うと、1枚あたり数十円になります。
ただし、最初から1,000枚単位で買わないでください。 商品が変われば必要なサイズも変わります。まずは100枚単位で試して、自分の商品に合うサイズが確定してから、まとめ買いに切り替えるのが安全です。
テープはOPPテープを選ぶ
テープは種類が多くて迷うところですが、結論から言うとOPPテープです。
ガムテープ(クラフトテープ)でも留まりますが、OPPテープのほうが向いています。透明なので箱の見た目が荒れず、水にも強く、重ねて貼っても剥がれにくいためです。布テープは強度がありますが、単価が上がります。
梱包の手順:この6つを順番にやる
資材がそろったら、実際の手順です。ここも順番が決まっていて、入れ替えると無駄が出ます。
いちばん重要なのが4つ目です。箱を選ぶのは、商品を包んだあと。 先に箱を決めてから商品を入れると、箱の大きさがそのまま送料になります。慣れれば1個あたり2〜3分で回せます。
1個あたり2〜3分で回せるようになります。順番に意味があるので、上から進めてください。
① 商品を確認して、汚れを落とす
梱包前に、商品そのものを確認します。汚れ、傷、付属品の欠品。ここで見落とすと、届いてからクレームになります。 発送後に気づいても取り返せないので、包む前の数十秒を惜しまないでください。
タグや説明書を同梱する場合も、この段階で用意します。あとから箱を開け直すのは時間の無駄です。
② OPP袋か薄手の袋で商品を包む
まずOPP袋などで商品自体を包みます。目的は2つで、輸送中の水濡れを防ぐことと、ホコリや緩衝材の粉が商品に付くのを防ぐことです。
受け取った人が最初に触る部分でもあるので、袋にシワが寄っていたり、テープが曲がっていたりすると印象が下がります。この1枚が、開けた瞬間の印象を決めます。
③ 緩衝材で包む(角を重点的に)
プチプチを使うときは、粒のある面を商品側に向けます。 逆向きだと緩衝の効果が落ちます。
全体を均等に巻くより、角と突起を厚めにします。輸送中にぶつかるのは必ず角です。マグカップの取っ手、家電の端子、額縁の四隅。ここだけ二重に巻けば、全体を厚く巻くより資材も減って、サイズも小さく収まります。
④ 包んだ状態で3辺を測り、箱か袋を選ぶ
ここでメジャーを使います。 包んだあとの寸法を測り、3辺合計を計算して、どの区分に入るかを確認します。境目ギリギリなら、緩衝材の巻き方を薄くして1段下げられないか試してください。
箱を使う場合は、包んだ商品より各辺2〜3cm大きいものを選びます。それ以上大きいと、隙間を埋めるための緩衝材が余計に必要になり、結局サイズが上がります。
⑤ 隙間を埋めて、振って確認する
箱に入れたら、隙間に緩衝材を詰めます。詰め終わったら箱を持って軽く振ってください。 中で音がするなら、まだ動いています。音がしなくなるまで足します。
この「振って確認する」を毎回やるだけで、破損クレームはかなり減ります。目視だけでは、底の隙間が見えません。
⑥ テープはH貼りで留める
フタの合わせ目に1本、その両端に垂直に1本ずつ。上から見るとHの字になる貼り方です。合わせ目だけ留めると、輸送中に横から開くことがあります。
貼る前に、貼る面を手で軽く払ってください。ダンボールの粉が付いた面に貼ると、テープが浮きます。まっすぐ1本で貼るのも大事で、何度も貼り直した箱は見た目で分かります。
送料を下げる:使える割引を全部使う
サイズを下げるのと並行して、割引も効きます。ヤマト運輸が公式に案内している割引には、次のようなものがあります。
| 割引 | 内容 |
|---|---|
| 持込割 | 1個につき100円引き |
| クロネコメンバーズの持込割 | 1個につき150円引き(持込割との併用は不可) |
| デジタル割 | 1個につき60円引き(アプリでの送り状予約など) |
| 複数口減額 | 1個につき100円引き |
| クロネコメンバー割 | 送料を最大15%引き |
| 営業所受け取りサービス | 1個につき60円引き |
注意点として、持込割とクロネコメンバーズの持込割は併用できません。 どちらか有利なほうを使います。また発送する場所(営業所・コンビニ・取扱店・宅配ロッカー)によって使える割引が変わるので、自分の発送手段で何が使えるかを一度確認しておいてください。
個人で少量を送るうちは差が小さく感じますが、1個150円の差でも月100個なら15,000円です。 サイズを1区分下げる工夫と合わせれば、月あたりの物流コストは目に見えて変わります。
60サイズより小さいなら専用サービスも見る
ヤマトには宅急便コンパクトという、60サイズ未満の荷物を専用BOXで送るサービスがあります。小さい商品を数多く扱うなら、通常の宅急便より有利になる場合があります。専用BOXの購入が必要なので、扱う商品が確実に収まるかを先に確かめてください。
よくある失敗と、その直し方
梱包の失敗は、届いてから分かることが多いのが厄介なところです。中で商品が動いていたかどうかは、こちらからは見えません。
ただ、失敗のパターンは限られています。どれも発送前に自分で確かめられるものなので、気づいた時点で手順に組み込んでしまうのが早いです。
逆に言うと、1回起きた失敗を手順に反映しないと、同じことが繰り返されます。件数が増えるほど影響も大きくなるので、早いうちに潰しておきます。
箱の中で商品が動く
原因:隙間を埋めていない。輸送中に商品どうしがぶつかって傷がつく
直し方:隙間に緩衝材を詰める。箱を持って軽く振り、音がしなくなるまで足す
あと1cmで区分が上がってしまった
原因:箱のサイズを先に決めてから商品を入れている
直し方:商品を測ってから箱を選ぶ。順番が逆だと必ず無駄が出る
テープが浮いて剥がれる
原因:ホコリの付いた面に貼っている、または貼り方が斜め
直し方:貼る面を手で払ってから、まっすぐ1本で貼る。H貼り(上下の合わせ目と両端)にすると強度が出る
袋が破れて中身が見えた
原因:薄手の袋に角のあるものを直接入れている
直し方:先にOPP袋か緩衝材で包んでから宅配袋へ。角を保護するだけで破れなくなる
この記事でそろえた資材のまとめ
まず買うのは4点です。合計5,299円。ダンボールとOPP袋は、扱う商品が決まってから足してください。
この中でいちばん安いのがメジャーで、いちばん元が取れるのもメジャーです。区分をひとつ下げられれば1個あたり数百円が浮くので、月に100個出すなら数万円の差になります。
まず買う4点(合計5,299円)
- メジャー(2m) … 372円。最優先。区分を1段下げれば1個数百円変わります
- 宅配ビニール袋 100枚 … 900円(1枚9円)
- プチプチ ロール 幅600mm×42m … 2,750円
- OPPテープ 透明 48mm×100m 5巻 … 1,277円
扱う商品に応じて足すもの
- OPP袋 テープ付き … 628円〜。商品を直接包む用
- ダンボール 60サイズ 120枚 … 4,450円。箱で送る商品があるなら
※価格は2026年9月時点。変動します。
順番としては、メジャーを最初に用意します。 372円で、1個あたり数百円の送料差を毎回取りにいけます。資材の中でいちばん投資対効果が高いのは、実は緩衝材でも箱でもなく、測る道具です。
よくある質問
送料無料にすべきですか
送料無料にする場合は、送料を商品価格に含めることになります。問題は、地域によって送料が倍以上違うことです。一番遠い地域を基準に価格を組むと近隣のお客さんには割高になり、平均で組むと遠方の注文で赤字が出ます。判断がつかないうちは「一定金額以上で送料無料」にして、注文単価を上げる方向で設計するほうが安全です。
ダンボールは新品でなければいけませんか
規約上は再利用でも送れますが、ショップとして販売するなら新品をおすすめします。他社のロゴが入った箱で届くと、それだけで印象が下がります。コストを抑えたいなら、広告入りの安いダンボールという選択肢もあります。
緩衝材は環境に配慮したものにすべきですか
扱う商品とお客さんの層によります。ハンドメイドや自然派の商品なら、紙緩衝材のほうが世界観に合います。一方で精密機器や割れものは、保護性能を優先すべきです。見た目のために保護を落として破損が増えると、結果的に環境負荷も配送コストも増えます。
発送代行はいつから検討すべきですか
明確な基準はありませんが、判断材料は「梱包と発送に使っている時間」です。1個3分でも1日30個なら90分、月にすると30時間を超えます。その時間を商品開発や集客に回したときの効果と、代行の費用を比べてください。サービスによって料金体系が大きく違うので、同じ条件で複数社の見積もりを取るのが前提です。
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