
新規のお客さんを集めるには、広告費もSEOの時間もかかります。一方で、一度買ってくれた人にもう一度買ってもらうのは、連絡先がすでに手元にあるぶんだけ安く済みます。
それなのにリピート施策が後回しになりがちなのは、「何を、いつ、どう送ればいいのか」が決まっていないからです。この記事では、そこを順番に決めていきます。
お金をかけずに今日から始められる同梱物から入り、メールとLINEの設計、そして専用ツールが必要になるラインまで扱います。
リピートは「2回目」で決まる
リピート施策というと「常連さんを増やす」話に聞こえますが、実際にいちばん大きな壁は1回目から2回目のあいだにあります。業界では「F2転換」と呼ばれる部分です。
2回買った人が3回目を買う確率は、1回買った人が2回目を買う確率よりずっと高くなります。つまり2回目さえ超えてもらえれば、あとは楽になるということです。だから施策は、まず2回目に集中させます。
まず数えるのは1つだけ
いろいろな指標がありますが、最初に見るのは「初回購入者のうち、2回目を買った人の割合」だけで十分です。カートの管理画面で、期間を区切って初回購入者数と、そのうち2回以上購入した人数を数えれば出せます。
この数字を出さずに施策を始めると、何をやっても効果がわかりません。逆にこの1つさえ追っていれば、同梱物を変えたときもメールを足したときも、効いたかどうかが判断できます。
段階ごとに打ち手が変わる
購入回数で分けると、それぞれに必要なものが違うことが見えてきます。
ここを分けずに全員へ同じ内容を送ると、どちらにも刺さりません。とくに、何度も買ってくれている人に割引を配るのは、もともと買う人に割り引いているだけになります。
分け方は難しくありません。購入回数で分けるだけです。カートの管理画面から出せます。
1回目 → 2回目
お客さんの状態:店を覚えていない。商品は気に入っているかもしれない
打ち手:同梱物で店を記憶させる。次回クーポンで「もう一度買う理由」を作る
2回目 → 3回目
お客さんの状態:店を認識している。ただし他店も見ている
打ち手:別カテゴリの商品を提案する。使い方の情報を送って接触を保つ
3回目以降
お客さんの状態:買うことが習慣になりつつある
打ち手:新商品の先行案内。まとめ買いや定期購入の提案に進む
まず同梱物から始める
リピート施策の中で、同梱物がいちばん先に手をつけるべきです。理由は単純で、荷物にはどのみち箱や袋を使うので、紙を1枚入れても追加の配送コストがゼロだからです。
メールは開かれないことがあり、LINEは登録してもらう手間があります。同梱物は、箱を開けた人が必ず目にします。到達率という意味では最強の手段です。
入れるものは3つまで
同梱物で失敗しやすいのが、詰め込みすぎることです。お礼状、クーポン、使い方の説明、他商品の案内、SNSの案内、アンケート。全部入れたくなります。
ただ、全部入れると、どれも読まれません。 1枚あたりの注目が分散するからです。3つまで、と先に決めてしまうほうが結果的に効きます。
あれもこれも入れると、封を開けた瞬間に紙が散らばって、逆に読まれません。3つまでに絞ってください。
- お礼のカード:買ってくれたことへのお礼を1〜3文。ここに次回クーポンのコードと有効期限を入れる
- 商品の使い方の紙:手入れの方法、保管の仕方、よくある質問。これがあると問い合わせが減る
- 次に見てほしいものの案内:関連商品、またはLINE登録のQRコード。どちらか一方に絞る
優先順位をつけるなら、お礼のカードが最優先です。これだけでも、店の名前を覚えてもらえる確率が変わります。
手書きはどこまでやるか
手書きのメッセージは効果がありますが、注文が増えると必ず破綻します。1日5件なら続きますが、1日50件になると1件1分でも50分です。
現実的な線引きはこうです。カード本体は印刷、宛名か一言だけ手書き。 あるいは初回購入の人にだけ手書き。全部を手書きにしようとすると、忙しい日に「今日はやめておこう」となり、結局やらなくなります。
続けられる形にするのが最優先です。ショップ名を入れたスタンプを作っておくと、押すだけで統一感が出て、手書きの負担も減らせます。
そろえるもの
同梱物を始めるのに必要なものは多くありません。月額のかかるツールも不要です。
ここが同梱物から始める理由でもあります。印刷代だけで済み、契約も設定も要らない。 今日決めて今日から入れられます。
| もの | 用途 | 価格 |
|---|---|---|
| メッセージカード | お礼と次回クーポンを書く土台。クラフト紙100枚入り | 799円 |
| オリジナルスタンプ | ショップ名やロゴを押す。手書きの手間を減らしつつ統一感が出る | 2,999円 |
※価格は2026年9月時点のものです。変動します。
クラフト紙のカードなら100枚で799円、1枚8円です。印刷業者に発注する前に、まずこの形で始めて、文面が固まってからオリジナル印刷に切り替えるほうが無駄が出ません。
メールとLINEは「送るタイミング」で決まる
同梱物の次がデジタル側です。ただ、新しい配信を始める前に見直してほしいものがあります。
すでに送っているメールです。注文確認と発送通知。この2つは必ず送っているはずで、そのうち発送通知がいちばん読まれています。 お客さんが届く日を知りたくて開くからです。
同梱物を整えたら、次はデジタル側です。ここでよくある失敗が、「月に何通送るか」から考えてしまうことです。回数から決めると、送る中身がなくても送ることになり、解除されます。
決めるのは回数ではなく、購入からの経過時間に対して何を送るかです。
| タイミング | 送るもの | 中身 |
|---|---|---|
| 出荷 | 出荷通知 | 追跡番号に加えて、届いたら最初に何をすればいいかを1行足す |
| +3日 | 到着後のフォロー | 感想を聞く。売り込まない。返信が来たら個別に返す |
| +2週 | 使い方の提案 | 商品を活かす別の使い方や、合わせて使うと良いものを紹介する |
| +1月 | 次回の案内 | ここで初めてクーポンや再購入の案内を出す |
出荷通知は「一番読まれるメール」
出荷通知は、お客さんが待っている状態で開くメールです。開封率がいちばん高いのに、追跡番号だけ書いて終わりにしているショップがほとんどです。
ここに1〜2行足すだけで変わります。「届いたらまず〇〇してください」「〇〇な場合は△△してください」。商品を正しく使ってもらえれば満足度が上がり、それがそのまま2回目につながります。
到着3日後は、売り込まない
3日後に送るのは、感想を聞く連絡です。ここで商品を売りに行くと、「結局売りたいだけか」と受け取られます。
聞き方は具体的にします。「いかがでしたか」より「サイズは合いましたか」のほうが返信が来ます。返信が来たら、必ず個別に返します。 ここで1往復すると、その人はほぼ確実に2回目を買います。
消耗品なら「なくなる頃」を狙う
食品、化粧品、日用品のように使い切るものを扱っているなら、タイミングは自動的に決まります。商品がなくなる少し前です。
1か月で使い切る商品なら、25日目あたりに「そろそろですか」と送る。これは売り込みではなく、お客さんにとっても助かる連絡になります。自分の商品が何日で使い切られるかを把握しておくのが前提です。
実際に送る文面の型
タイミングが決まっても、書く内容で手が止まります。型を1つ持っておくと毎回悩まずに済むので、そのまま使える形で置いておきます。
出荷通知に足す1〜2行
届きましたら、まず〇〇をご確認ください。(例:タグを外す前にサイズをお確かめください/開封後は冷蔵で保存してください)
気になる点があれば、このメールにそのまま返信してください。
効いているのは最後の1行です。「返信してください」と明示するだけで、問い合わせのハードルが下がります。 不満を持ったまま黙って離れる人を減らせるので、低評価レビューの予防にもなります。
到着3日後のフォロー
〇〇(商品名)は届きましたでしょうか。サイズは合いましたか。
もし合わなかった場合や気になる点があれば、遠慮なくお知らせください。
この文面に商品の宣伝もクーポンも入れていないのがポイントです。ここで売り込むと、以降のメールも「売り込み」として扱われて開かれなくなります。1通まるごと、聞くことだけに使ってください。
1か月後の案内
〇〇と一緒に使うと便利な△△を扱っています。
今回のご購入に使えるクーポン(コード:〇〇/有効期限:〇月〇日)をお送りします。
ここで初めて売り込みます。有効期限を必ず入れてください。 期限のないクーポンは「いつでも使える」ので、結局使われません。1〜2週間程度が動きやすい長さです。
カートの標準機能で足りるか、専用ツールが要るか
ここまでの内容は、ツールを入れなくても実行できます。同梱物は印刷するだけですし、メールもカートの機能で送れることが多い。
それでも手が回らなくなったときに、はじめてツールの話になります。順番を逆にすると、使わない機能に月額を払うことになります。
この分野の情報は、CRMツールやMAツールを提供している会社が書いていることが多く、だいたい「ツールを導入しましょう」に着地します。実際には、最初は使っているカートの標準機能で足ります。
標準機能で足りるケース
まず自分のカートの管理画面を開いて、購入者への一斉配信や自動送信の機能が何まで用意されているかを確認します。カートによって差が大きいところです。
次のどれかに当てはまるなら、まだツールは要りません。
- 扱っている商品が数種類で、送る内容を出し分ける必要がない
- 月の注文数が数十件で、手動で送っても回る
- まだ2回目購入率を測っていない(測る前に道具を増やしても判断できない)
まずは自分のカートの管理画面を開いて、購入者への一斉配信や自動送信の機能が何まで用意されているかを確認します。カートによってできることの幅が違うので、持っている道具を把握するのが先です。
専用ツールを検討するケース
標準機能で足りなくなる場面は、だいたい決まっています。件数が増えて手作業が追いつかないか、送る内容を人によって変えたくなったときです。
逆に、次のような状態になってきたら、専用ツールを見る価値があります。
- お客さんによって送る内容を変えたい(初回の人と3回目の人に同じ文面を送りたくない)
- 購入から〇日後に自動で送る、を複数パターン組みたい
- メールとLINEを1か所で管理したい
- 手動配信に月10時間以上かかっている
特に3つ目は大きくて、メールは配信システム、LINEは別のツール、という状態になると、誰にいつ何を送ったかが追えなくなります。
1つにまとめる選択肢
メール配信、LINE配信、ステップ配信、決済までを1つにまとめられるサービスとしてUTAGEがあります。ECのカートそのものを置き換えるものではなく、カートは今のまま使いながら、リピート施策の部分だけを任せる使い方ができます。
公式サイトによると、初期費用は無料で月額19,700円(税込21,670円)、14日間の無料お試しが用意されています。月額がかかるので、手動配信にかけている時間を金額に換算して、それを上回るかどうかで判断します。 月10時間かかっているなら、時給換算で比較すれば答えは出ます。
逆に、まだ注文が月に数十件なら、この金額を払うより商品を増やすか集客に回したほうが効きます。ツールは、手が回らなくなってから入れるものです。
やってはいけない3つ
ここまでは何をするかの話でした。最後に、やらないほうがいいことを挙げておきます。
どれも善意から始まるのが厄介なところです。お客さんのためと思ってやったことが、解除や利益の減少につながります。
共通しているのは、相手を分けずに一律で扱っている点です。全員に同じものを送る、全員に同じ頻度で送る、全員に同じ割引を出す。この3つを避けるだけで、無駄がかなり減ります。
- 全員に同じ内容を送る。 初回の人と5回目の人に同じ「初めまして」を送ると、常連ほど冷めます。せめて初回かどうかだけは分けてください
- クーポンを配りすぎる。 毎回割引していると、定価では買わなくなります。クーポンは「今買う理由」を作る道具で、常に出すものではありません
- 返信を放置する。 感想メールへの返信を無視するくらいなら、最初から送らないほうがましです。聞いておいて答えないのは、印象を悪くするだけです
よくある失敗と、その直し方
リピート施策は、効果が出るまでに時間がかかります。同梱物を変えても、それを見た人が2回目を買うまでに数か月かかるからです。
だからこそ、早い段階で潰せる失敗は潰しておきます。 下の4つは、数字を待たなくても直せるものです。
いずれも、やっていること自体は間違っていません。やり方の一部がずれているために効かなくなっているケースです。原因が分かれば、その場で直せます。
同梱物を入れているのに2回目が増えない
原因:お礼だけで、次に何をすればいいかが書かれていない
直し方:カードに「次回使えるクーポンコード」と有効期限を入れる。行き先がないと動きようがない
メールを送ると解除される
原因:頻度が高いか、毎回売り込みになっている
直し方:売り込みは4回に1回まで。残りは使い方や豆知識に充てる
LINEに登録してもらえない
原因:登録する理由が「お得情報」だけになっている
直し方:登録した瞬間に受け取れるもの(クーポン・使い方ガイド)を明示する。同梱物にQRコードを刷る
クーポンを出すと利益が消える
原因:全員に一律で配っている
直し方:初回購入者だけ、または一定金額以上だけに絞る。全員に配ると、放っておいても買う人にも割引することになる
この記事でそろえたもののまとめ
同梱物から始めるなら、必要なのは2点だけです。合計3,798円。デジタル側はまず今のカートの機能を使い、手が回らなくなってから、はじめてツールを検討する順番です。
今日から始める2点(合計3,798円)
- クラフト紙のメッセージカード 100枚 … 799円(1枚8円)。まずはこれ1つでいい
- オリジナルスタンプ(ショップ名・ロゴ) … 2,999円。手書きの負担を減らしたくなったら
手が回らなくなってから検討するもの
- UTAGE … メール・LINE・ステップ配信を1つにまとめるサービス。初期費用無料、月額19,700円(税込21,670円)、14日間の無料お試しあり
※価格は2026年9月時点。変動します。
順番としては、799円のカードから始めてください。 同梱物は追加の配送コストがかからず、必ず目に入ります。ここで2回目購入率が動くかを確かめてから、デジタル側に手を広げるのが失敗の少ない進め方です。
よくある質問
クーポンは何%offにすればいいですか
利益率から逆算します。割引率だけを先に決めると、売れば売るほど苦しくなります。粗利がどれだけあるかを確認し、その一部を上限にします。率で出しにくい場合は「送料無料」にするほうが、金額のコントロールがしやすいこともあります。
メールとLINE、どちらを優先すべきですか
お客さんの年齢層で変わります。ただ、どちらを選ぶかより「登録してもらう理由を作れているか」のほうが影響が大きいです。登録した瞬間に受け取れるものがないと、どちらも増えません。同梱物にQRコードを刷るのが、いちばん確実な入口です。
2回目購入率はどれくらいあればいいですか
商材によって大きく違うため、他店の数字と比べてもあまり意味がありません。見るべきは自分の店の前月比です。同梱物を変えた月、メールを足した月に数字が動いたかどうかで判断します。
手書きのカードは本当に効果がありますか
効果はありますが、続かなければ意味がありません。毎回手書きにして途中でやめるより、印刷したカードを毎回必ず入れるほうが結果は安定します。手書きにこだわるなら、初回購入の人だけに絞るのが現実的です。
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まず、いまの2回目購入率を出してみる
施策を足す前に、数字を1つ持っておくと判断が速くなります。カートの管理画面で、初回購入者数と、そのうち2回以上買った人数を数えるところから始めてください。