
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、検索して最初に出てくるのは任意売却や債務整理の案内です。どちらも実在する手段ですが、その手前に、手数料のかからない手続があります。
住宅金融支援機構は、返済方法の変更メニューを公表しました。対象となる条件も、期間の上限も、効果の金額例も、すべて数字で出ています。そのうえで、手続に手数料はかからないと明記されました。
それでも足りない場合に、住宅を残したまま他の債務を整理する法的な手段があります。民事再生法の住宅資金特別条項です。使える場合と使えない場合が、条文に書かれています。
この記事では、この2つを順番に整理します。使うのは住宅金融支援機構が公表している返済方法変更の案内と、民事再生法(第196条・第197条・第198条・第199条・第202条・第203条)です。
なお、ここで扱うのは制度の中身だけです。どの手続を選ぶべきかという判断には踏み込みません。返済方法の変更は返済中の金融機関、法的手続は弁護士または法テラスにご相談ください。
結論:順番がある。滞納する前に使える手続がある
3つの段階
整理すると、段階は3つあります。第1段階が返済方法の変更、第2段階が法的な再建手続、第3段階が住宅を手放す選択です。
多くの記事が第3段階から書き始めます。任意売却を扱う事業者も、債務整理を扱う事務所も、そこに相談してもらうことで成り立っているためです。第1段階の返済方法変更は、誰の収益にもならないため、あまり紹介されません。
しかし条件に当てはまるなら、第1段階が最も負担の小さい選択肢です。機構の案内には「なお、この手続に手数料はかかりません」と明記されています。
最初に連絡する先
返済方法の変更を申し出る先は、機構ではなく返済中の金融機関です。機構は「ご返済中の金融機関にお申し出ください」「申請用紙は、ご返済中の金融機関にてご用意しております」としています。
手続の流れも公表されました。①事前の申し出および相談、②必要な申請書の提出、③審査結果の通知、④返済方法変更契約の締結、という4段階です。③について機構は「今後のご返済に無理がないかを審査した上で、承認いたします」と説明しています。
審査がある以上、希望が通るとは限りません。機構も「審査の結果、お客様のご希望に添えない場合もありますので、あらかじめご了承ください」と書いています。それでも、申し出ないことには始まりません。
この記事で扱う範囲
以下で紹介する返済方法変更のメニューは、住宅金融支援機構が同機構の融資を返済中の人に向けて公表しているものです。民間金融機関が独自に扱う住宅ローンについては、各金融機関の取扱いによります。
ご自身の借入がどの商品なのかは、返済予定表や融資額残高証明書で確認できます。住宅ローンの必要書類については住宅ローンの必要書類で整理しました。
また、返済が滞ると信用情報にどう記録されるかは、自分で開示請求して確かめられます。読み方は信用情報開示報告書の読み方にまとめました。
機構が公表している返済方法変更のメニュー
3つのタイプ
機構は「タイプ別返済方法変更メニュー」として、A・B・Cの3類型を示しています。
| タイプ | 内容(機構の表記) | 想定される場面 |
|---|---|---|
| A | 返済期間の延長などにより、返済額を減額 | 離職や病気等で返済が困難 |
| B | 一定期間、返済額を減額 | 進学による教育費、入院による医療費 |
| C | ボーナス返済の変更 | ボーナス支給額の減少 |
注目したいのはBタイプです。機構は「お子様の進学による教育費、入院による医療費など一定期間支出の増加が見込まれる場合」を挙げています。収入が減っていなくても、支出が増える見込みがあれば対象になり得るという設計です。
返済が苦しくなってから動く制度と思われがちですが、Bタイプは見込みの段階で相談できます。進学の時期は事前に分かるものです。
Aタイプの条件は数字で公表されている
Aタイプには、3つの項目すべてに当てはまることが求められます。1つめが「離職や病気等の事情により返済が困難となっている方」であること。
2つめは、次のいずれかに該当するかどうかです。
| いずれかに該当(機構の表記) |
|---|
| 年収が機構(旧公庫)への年間総返済額の4倍以下の方 |
| 月収が世帯人員×64,000円以下の方 |
| 返済負担率が年収に応じた率を超える方で、収入減少割合が20%以上の方 |
3つめが「返済方法の変更により、今後の返済を継続できる方」であることです。変更後も返せる見込みが立つことが条件です。
3つめの項目に出てくる返済負担率の基準も、表で公表されています。
| 年収 | 返済負担率 |
|---|---|
| 300万円未満 | 30% |
| 300万円以上400万円未満 | 35% |
| 400万円以上700万円未満 | 40% |
| 700万円以上 | 45% |
この返済負担率には、機構の融資だけでなく民間等の住宅ローンも含めると注記がありました。借入先が分かれている場合は、合算して計算することになります。返済負担率そのものの計算方法は住宅ローン審査に落ちる理由で扱いました。
返済期間の延長は最長15年、元金据置は最長3年
条件に当てはまった場合に何ができるかも、数字で示されています。
まず「返済期間の延長(最長15年)」。毎月の返済額を下げる効果があります。
さらに、現に失業中の方、または収入が20%以上減少した方は、返済期間の延長に加えて「元金のお支払いを一時休止し、利息のみをお支払いいただく期間(最長3年)の設定」ができるとされています。機構は「利息のみをお支払いいただく期間中は、金利を引き下げることができる場合があります」とも付け加えました。
「離職等」「病気等」の意味も定義されています。離職等については「倒産による解雇、リストラによる転職・退職・出向による減収、業績悪化などによる給与・ボーナスの減収、超過勤務減による減収など」、自営業の場合は「業績不振による倒産・廃業、受注減や売上減による減収など」。病気等については「病気、事故によるけがや後遺症、高度障害、家族の病気による介護などによる減収・支出増」。介護による支出増も含まれている点は見落とされやすいところです。
BタイプとCタイプ。効果は数字で示されている
一定期間だけ減らすBタイプ
Bタイプについて、機構は具体的な金額例を出しています。融資額2,000万円、金利3.00%、35年返済、返済開始4年経過時点で適用した場合の例です。
| 時期 | 毎月の返済額 |
|---|---|
| 減額前 | 76,970円 |
| 減額期間中(3年間) | 50,000円 |
| 減額期間後 | 81,436円 |
減額期間中は毎月26,970円軽くなります。ただし機構は「減額期間が終了した後の返済額は増加します。また、総返済額も増加します」と注記しています。3年後には減額前より4,466円多く払うという数字です。
この例は機構が示した前提条件でのものであり、実際の金額は借入条件によって変わります。それでも、減額は先送りであって免除ではないという構造は、この3行の表から読み取れます。
ボーナス返済を組み替えるCタイプ
Cタイプには3つの内容があります。ボーナス返済月の変更、毎月・ボーナス月返済額の内訳変更、ボーナス返済の取り止めです。
内訳変更の例として、機構は融資額2,000万円(毎月分1,400万円、ボーナス分600万円)、金利3.00%、35年返済、返済開始4年経過時点の数字を挙げています。毎月53,879円・ボーナス139,034円が、毎月62,707円・ボーナス85,861円になるという例です。ボーナス返済月の合計は192,913円から148,568円に下がります。
ボーナス返済を取り止める場合の例も出ています。同じ前提で、毎月53,879円・ボーナス139,034円が、毎月76,964円・ボーナス0円になります。毎月の負担は増えますが、ボーナス月にまとまった支出が生じなくなるという組み替えです。ボーナスが不安定になった場合に、この形が合うことがあります。
組み合わせられる
機構は「(ご参考)組合せ事例」として、CタイプとAタイプを組み合わせた場合も示しています。毎月・ボーナス月返済額の内訳を変更したうえで、返済期間を15年延長する、という組み方です。
タイプごとに排他的なわけではないということになります。自分の事情がどのタイプに当てはまるかを先に決めてから相談するのではなく、事情をそのまま伝えて、組み方を相談するのが実際的でしょう。
なお、返済方法の変更にはA・B・C以外のものもあります。機構は別ページで、払込期日の変更、ボーナス払い月の変更、毎月払いとボーナス払いの併用の切り替え、元金均等返済と元利均等返済の切り替え、返済期間の短縮を挙げています。負担を減らす方向だけでなく、返し方の形を変える手続も並んでいます。
変更には代償がある。注記に書いてある
総返済額は増える
返済期間の延長について、機構は注記で「毎月の返済額は少なくなりますが、返済期間が延びるため総返済額は増えます」と書いています。
当然のことのようですが、明記されている点に意味があります。月々の負担が下がった分、利息を払う期間が延びる。最長15年の延長を使えば、完済時期も15年後ろにずれます。
完済時の年齢は、この時点で一度確認しておく必要があります。現役で働ける期間を超えて返済期間が伸びると、退職後の返済をどう組み立てるかという別の問題が生じるためです。
期間短縮で10年未満になると住宅ローン控除が切れる
これは負担を減らす話ではなく、逆方向の変更に関するものですが、見落としが起きやすいので触れておきます。
機構は返済期間の短縮について、括弧書きでこう注記しています。「返済期間の短縮をした結果、返済期間(初回返済日から最終回返済日まで)が10年未満になった場合、所得税の税額控除(住宅借入金等特別控除)の対象外になります。そのため、税額控除を受けるのに必要な『融資額残高証明書』は送付されません」。
繰上返済や期間短縮を検討するときに、この10年の線を意識しないまま手続を進めると、控除が使えなくなります。住宅ローン控除の要件そのものは住宅ローン控除の条件で整理しました。
審査がある
3点目は、変更が申し出れば通るものではないという点です。機構は「返済方法変更のご利用に当たっては返済方法変更中及び変更期間終了後についてご返済の継続が可能であることを確認させていただきます」としています。
確認されるのは、変更期間中だけではありません。変更期間が終わったあとも返していけるかどうかが見られます。Bタイプの例で減額期間後の返済額が上がっていたのは、この審査の対象になる数字です。
逆に言えば、変更後の返済計画を自分で作って持ち込めるなら、話は早くなります。収入がいくらになり、支出がいつまで増え、いつ元に戻るのか。この3点を整理してから相談してください。
それでも足りないとき。民事再生法の住宅資金特別条項
住宅ローンは減らない。減るのは他の債務
返済方法の変更でも立て直せない場合に、住宅を残したまま他の債務を整理する法的な手段があります。民事再生法が定める住宅資金特別条項です。
誤解されやすいのは効果の中身です。この条項によって住宅ローンそのものが減額されるわけではありません。民事再生法第199条第1項は、住宅資金貸付債権について「その全額を(中略)支払うこと」「約定に従って支払うこと」と定めています。
住宅ローンは全額払う。減るのは、それ以外の債務です。他の債務の負担が下がることで住宅ローンを払い続けられるなら、住宅を手放さずに済む可能性がある、という構造になります。
「住宅」の定義は床面積の2分の1以上
使えるかどうかは、まず定義で決まります。民事再生法第196条第1号は「住宅」をこう定義しています。
「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」。そして「当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る」とされています。
店舗併用住宅や賃貸併用住宅の場合、居住用部分が床面積の2分の1以上あるかどうかが分かれ目になります。また、複数の建物を所有していても、対象になるのは主として住んでいる1棟だけです。
他の担保権があると使えない
もう1つ、実務上大きな制約があります。第198条第1項のただし書です。
同項は住宅資金特別条項を定めることができるとしたうえで、「ただし、住宅の上に第五十三条第一項に規定する担保権(第百九十六条第三号に規定する抵当権を除く。)が存するとき(中略)は、この限りでない」としています。
住宅ローンの抵当権以外の担保権が住宅に設定されていると、この条項は使えません。事業資金の借入のために自宅に後順位の抵当権を設定している場合などが、これに当たります。住宅に何の担保が付いているかは、登記事項証明書で確認できます。相談の前に取っておくと話が早くなります。
条文が定める3つの型と、年齢の上限
原則型・期限延長型・元本猶予型
第199条は、住宅資金特別条項の内容を段階的に定めています。前の型で認可の見込みがない場合に、次の型に進むという構造です。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第199条第1項 | 滞納分等を一般弁済期間内に支払い、それ以外は約定どおり支払う |
| 第199条第2項 | 第1項で認可の見込みがない場合、弁済期を約定最終弁済期より後の日に定める |
| 第199条第3項 | 第2項でも見込みがない場合、元本猶予期間中は元本の一部と利息のみを支払う |
| 第199条第4項 | 権利の変更を受ける者の同意があれば、上記以外の変更もできる |
第1項の「一般弁済期間」については、条文が「当該期間が五年を超える場合にあっては、再生計画認可の決定の確定から五年」と定めています。滞納していた分を払い切る期間は、原則として最長5年ということになります。
約定最終弁済期から10年、かつ70歳まで
第2項の期限延長型には、2つの上限が条文に書かれています。第2項第2号です。
「住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期が約定最終弁済期から十年を超えず、かつ、住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期における再生債務者の年齢が七十歳を超えないものであること」。
延ばせるのは10年まで。そして延ばした結果の完済時年齢が70歳を超えてはいけない。この2つは「かつ」でつながっているので、両方を満たす必要があります。現在の年齢と約定最終弁済期によっては、10年まで延ばせないことになります。
競売を止める中止命令
時間に関する定めも条文にあります。第197条第1項です。
裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、「相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている(中略)抵当権の実行手続の中止を命ずることができる」としています。
競売の手続が始まっていても、止められる場合があるということです。ただし条文は「できる」であり、認可の見込みがあると裁判所が認めることが前提です。また第202条第2項第3号は、「再生債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき」を不認可事由として挙げています。住宅を失う見込みなら、そもそも認可されません。
保証会社が代位弁済したあとの6か月
代位弁済で何が起きるか
滞納が続くと、保証会社が本人に代わって金融機関に返済します。これが代位弁済です。保証料を払っているのはこのための保証であり、本人の債務が消えるわけではありません。保証料の仕組みは住宅ローンの保証料で扱いました。
代位弁済が行われると、債権者が金融機関から保証会社に移ります。保証会社は求償権に基づいて一括での支払いを求めることになり、応じられなければ抵当権の実行、つまり競売に進みます。
この時点で住宅ローンの分割払いという枠組みは失われています。だからこそ、代位弁済の前に動けるかどうかが分かれ目になります。
6か月以内なら、巻き戻せる場合がある
ただし、条文には期間の定めがあります。民事再生法第198条第2項です。
「保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、(中略)住宅資金特別条項を定めることができる」。
代位弁済がされた後でも、全部を履行した日から6か月を経過する日までに再生手続開始の申立てがあれば、住宅資金特別条項を定めることができると定められています。起算点は代位弁済がされた日であり、本人がそれを知った日ではありません。通知が届いてから日数が経っていることもあり得ます。
第203条第2項は、認可の決定が確定したときは「住宅資金特別条項において、期限の利益の喪失についての定めその他の住宅資金貸付契約における定めと同一の定めがされたものとみなす」としています。契約の枠組みが戻るという構造です。
相談先
ここまで見てきたとおり、第2段階は条文で細かく要件が定められた手続です。使えるかどうかの判断には、住宅の登記状況、他の債務の内容、収入の見込みをすべて照らす必要があります。
相談先は弁護士です。費用の負担が難しい場合は、国が設立した法テラス(日本司法支援センター)に民事法律扶助の制度があります。資力が一定の基準以下であることなどの要件があるため、内容は法テラスの案内でご確認いただけます。
そして順番としては、第2段階に進む前に、第1段階の返済方法変更を返済中の金融機関に相談してください。手数料はかからず、審査に通れば法的手続を経ずに負担を下げられます。
まとめ
住宅ローンの返済が苦しくなったときに検索して出てくるのは、多くが第3段階、つまり住宅を手放す選択の案内です。しかし手前に2つの段階があります。
第1段階は、返済方法の変更です。住宅金融支援機構はA・B・Cの3タイプを公表しており、Aタイプの条件は数字で示されています。年収が年間総返済額の4倍以下、月収が世帯人員×64,000円以下、または返済負担率が年収に応じた率を超え収入減少割合が20%以上、のいずれか。できることは返済期間の延長が最長15年、失業中または収入が20%以上減少した場合は元金の支払いを一時休止して利息のみを払う期間を最長3年設定できます。手続に手数料はかからず、窓口は返済中の金融機関です。
Bタイプは支出の増加が見込まれる場合、Cタイプはボーナス返済の変更で、いずれも機構が具体的な金額例を出しています。ただし注記のとおり、返済期間が延びれば総返済額は増えます。減額は先送りであって免除ではありません。また返済期間を短縮して10年未満になると、住宅ローン控除の対象外になります。
第2段階が、民事再生法の住宅資金特別条項です。住宅ローン自体は減額されず、減るのは他の債務です。住宅の定義は床面積の2分の1以上が居住用であること、住宅ローンの抵当権以外の担保権が住宅にあると使えないこと、期限延長型では約定最終弁済期から10年かつ完済時70歳までという上限があることが、それぞれ条文に定められています。
保証会社が代位弁済した後でも、全部を履行した日から6か月を経過する日までに再生手続開始の申立てがあれば、この条項を定めることができると条文は定めました。期間が限られているため、通知が届いたら日付を確認してください。
制度の中身は公開されています。判断そのものは、返済方法の変更なら返済中の金融機関、法的手続なら弁護士または法テラスにご相談ください。
よくある質問(FAQ)
まだ滞納していませんが、相談してよいのでしょうか
機構が示すBタイプは「お子様の進学による教育費、入院による医療費など一定期間支出の増加が見込まれる場合」を想定しており、見込みの段階が前提になっています。Aタイプの条件も「離職や病気等の事情により返済が困難となっている方」であり、滞納が要件として挙げられているわけではありません。また、申し出る先は返済中の金融機関で、機構は「この手続に手数料はかかりません」としています。事情が生じた時点で相談するほうが、選べる手段は多くなります。ご自身の借入がどの商品かを確認したうえで、返済中の金融機関にお問い合わせください。
フラット35を返済中ですが、このメニューは使えますか
機構は返済方法の変更について「ご返済中の方」向けに案内しており、申し出る先は返済中の金融機関としています。ご自身の借入がどの商品なのかは、返済予定表や融資額残高証明書で確認できます。そのうえで、返済中の金融機関に取扱いを問い合わせてください。なお、民間金融機関が独自に扱う住宅ローンについては、機構の公表メニューとは別に、各金融機関の取扱いによります。この記事で紹介した条件や期間の上限は、機構が公表しているものです。
返済期間を15年延ばすと、返済額はどれくらい下がりますか
借入残高、金利、残りの返済期間によって変わるため、一般化した数字は出せません。機構は返済方法変更シミュレーションを公開しており、そちらで試算できます。ただし機構の注記のとおり「毎月の返済額は少なくなりますが、返済期間が延びるため総返済額は増えます」。延長後の完済時年齢も確認してください。また、変更には審査があり、機構は「返済方法変更中及び変更期間終了後についてご返済の継続が可能であることを確認させていただきます」としています。変更後の収支の見通しを整理してから相談するのが実際的です。
店舗と住居が一緒の建物です。住宅資金特別条項は使えますか
民事再生法第196条第1号は「住宅」を「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」と定義しています。したがって居住用部分が床面積の2分の1以上かどうかが判断の出発点になります。加えて第198条第1項ただし書により、住宅ローンの抵当権以外の担保権が住宅に設定されている場合は、この条項を定めることができません。事業用の借入で後順位の抵当権を設定している場合などが該当します。登記事項証明書を取得したうえで、弁護士にご相談ください。
保証会社から代位弁済の通知が届きました。もう手遅れですか
民事再生法第198条第2項は、保証会社が保証債務を履行した場合において「当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたとき」は、住宅資金特別条項を定めることができるとしています。起算点は代位弁済がされた日であり、通知を受け取った日ではありません。通知書に記載された日付を確認してください。また第197条第1項により、裁判所は認可の見込みがあると認めるときは抵当権の実行手続の中止を命ずることができるとされています。期間が限られているため、日付を確認したうえで、速やかに弁護士または法テラスにご相談ください。
住宅資金特別条項を使えば、住宅ローンも減りますか
減りません。民事再生法第199条第1項は、住宅資金貸付債権について「その全額を(中略)支払うこと」、また約定に従って支払うことを定めています。減額の対象になるのは住宅ローン以外の債務です。他の債務の負担が下がることで住宅ローンを払い続けられるなら、住宅を残せる可能性がある、という仕組みになります。なお第199条第2項以下により、弁済期を約定最終弁済期より後に定めたり、元本猶予期間を設けたりできる場合がありますが、いずれも支払う総額が減るものではありません。適用の可否と見通しは弁護士にご確認ください。
手数料のかからない手続から確認してください
返済方法変更のタイプ別メニューと条件は、住宅金融支援機構のサイトにあります。住宅資金特別条項の要件は、民事再生法の第196条から第203条までに書かれています。どちらも、相談を受ける側が積極的に紹介するとは限らない情報です。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。特定の金融機関、事業者または法律事務所を推奨または否定するものではありません。返済方法変更の可否および条件は商品と金融機関によって異なり、審査があります。法的手続の適用の可否は個別の事情によって判断されます。返済方法の変更は返済中の金融機関に、法的手続は弁護士または法テラス(日本司法支援センター)にご相談ください。